『せっかくフリーズ引いたのに』第12話

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12話
◆花

　時間も惜しいし、自分が知らない機種だからと調べることすらスキップした記憶──4号機『花火』。

　あれを打っていたヒゲのオヤジは2番目にクリアして去った。

　もしかして、なにかあるのか？

　あの時ちゃんと調べなかったことを反省しながらスマホを開く。

　すると……。
　ウソだろ？　設定5、6、そして4以下をほぼ完璧に判別できる？　しかも、ビッグボーナスを1〜2回引くだけで。
　小役減算値攻略法──。

　オレが子どもの頃にこんな破壊力抜群の技があったとは。なんていい時代……。

　いやいや、思いふけってる場合じゃねえ。整理しろ！

　あのオヤジはたしか一発正解していた。ってことは、5or6だったと見ていい。運任せじゃないならば。
　そして、4号機『花火』は残り1台。
　もし空き台の方で4以下になった場合は詰む。

　だけど……ゲームクリアの札を勝手にどかして座った場合、一瞬で殺されるかもしれない。

　決断……決断……しなければ。

　妹と母親の顔が浮かぶ。

　オレは、ヒゲオヤジのゲームクリア台に──。

(続く)

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