『僕から貸したお金』

以前趣味で知り合った人と久しぶりに再開する機会があった。

僕はプライドなど捨て、その人に連絡を取った。

プライドなんかで金は増えないからね。

「お久しぶりです、鈴木さん。お願いがあるんですけど…。」

事情を説明し、鈴木さんからお金を借りることに成功した。

しかし、とある条件付で。

その条件が。

『僕から貸したお金でパチスロを打った場合、一番苦しいことをしてもらいます。』

自分にとって一番苦しいことはなんなのか？

そんなことより今が大事な自分は、思いつくことなくお金を借りた。

とりあえず、なんとかなった。

これで今月は生活することができる。

しばらくは、パチスロとおさらばかぁ。

仕方ない、スロ禁生活でまずはお金を返すことに専念しよう。

そして、翌日後輩さんに報告をした。

「昨日は休みなのにごめんね。もう、パチスロ打てなくなったわ。」

借りた事情を説明すると、後輩さんが口を開いた。

「『鈴木さんから借りたお金』で打たなければいいんですよ。」

こいつ…なんて発想だ。

確かに『僕から貸したお金』と鈴木さんは言った。

つまりは、鈴木さんから借りたお金でパチスロを打てばいいんだ。

僕と後輩さんは気づけば、仕事終わりにパチスロを打っていた。

その日は時間が無く、ノーマルタイプを攻めることに。

僕は相性の良いコクッチーブラックへ。

後輩さんはプチマーメイドへ。

僕は色々なホールでコクッチーブラックを打ったが、この店は他のホールと違っていた。

なんせ、音が出ないのだ。

コインを入れても、停止ボタンを押しても、リールが止まっても。

とにかく無音なのである。

いろんな意味でブラックなコクッチー。

店員さんに聞くと「仕様だと思うんですが」、とのこと。

これには僕も苦笑い。

最終的には閉店後検査しますとのこと。

音が出ないコクッチーブラックは何処に行っても打てないし、続行することに。

ボーナス引けばどっか光るし、音無くても大丈夫だろうと思っていた。

ところがどっこい、ボーナス引いても何処も光らないのだ。

音無しを楽しんでいると、BAR,BAR,7,が一直線に揃った。

しかし、何処も光らない。

自分の勘違いかと思い、とりあえず7を狙ってみると揃ったのだ。

しかし、音もないし、告知もないし、当たっているのかすらわからない。

すぐに店員さんを呼び事情を説明すると、写真を取らせてくれとのこと。

写真を撮ってもらい、さすがにこんな状態のコクッチーは楽しめないので、すぐにやめてジャグラーへ。

あの台は一体なんだったのだろうか。

その日は結果としてプラスマイナス0で終わることができた。

とても貴重な体験ができた一日だった。

そんな経験をしてる最中、かっつんからとある連絡が入っていた。

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