【私の回胴人生　19の時】

物語調で書いたコラムのビューが思った以上に伸びていたので続編を書いていきます(笑)
お暇な時のお供にご一読いただけると幸いです。







18歳の高校在学中にパチスロを初めて触れたシオソは無事高校を卒業した。
人生初の実践機種であったエヴァまごころはその後もちょいちょい打っていた。

結果は勝ったり負けたりだったが基本プラスになった瞬間に即ヤメしていたこともあったのかトータルで負け越すことがなく卒業を迎えた。

卒業後の進路は鍼灸マッサージ系の専門学校。
都心のオフィス街にある学校に通っていたシオソ。

19になった瞬間地元のスロ専で遅番のバイトを始めていた。

そして学校では理想と現実のギャップに怠惰な生活を送っていた。

シ：「何にも面白くねえ…。バイトして遊んでる方が楽しいや。」

アホである。
入学金を親に払ってもらい、奨学金で通っていた自分は入学後最初の夏休みに退学届けを出した。

バイトで稼いだお金を日々の空いた時間でエヴァまごころに使う日々。
早い段階で退学したことで親からの入学金の返済を1年以内にしろと言われた。
その額教材費を含めて120万円。

当然である。
今となれば気持ちはわかるが自分の子がバイトに明け暮れ、たかが半年専門学校に通うだけで120万をドブに捨てたのだから。
寧ろ期限を設けてくれているだけ愛情を感じる。

シ：「あかんバイト代全部入れないと無理だ…。ﾊｯ！！」

思考は単純なものである。

『パチスロで勝てばよい』

上手くいけば余裕で年内で返せると高を括る始末。
絵に描いたような捕らぬ狸の皮算用であった。



現実は甘くなかった。
打てる機種はエヴァまごころのみ、高校時代の勝ち方で得られた金額は数万程度。
今まで通りのやり方で勝てる見込みなどないことは明白だったのだ。

毎月働くバイト代を捻出しながら毎月決められた10万円を入れていくが、スロットで負けが続く月にギリギリの状態だった（この時同時に家賃を月8万入れることも条件とされていた）

これに自分の携帯代を含めるだけで毎月19万円程度の支払い、ここから奨学金の返済が加わるんだからフルで入ってもギリギリになるのは当たり前。

シ：「マジで負けた分が痛すぎる…どうすれば勝てるんだ？」

アホである。
打つ金も含めてコツコツ貯めながらやりくりすれば良いものを、打つことをやめることはできなかった。
人間一度勝った成功体験をしてしまうとそれを繰り返す。
これの典型である。

ただただ実直に、勝ち方を考えて、いかに収支を上げて、いかに早く返済をするか。
これだけを考えていた。

シ：「ネットで調べよう。」

パチスロは設定の概念があり、機種によって異なる設定差が存在しそれにより出率も変わる。

ただ単純なこの文章すら理解するのに時間がかかった。
そして行き着く。

・高設定なら大きく勝てる可能性は高く、低設定なら大きく負ける可能性が高い。
・機種によっては通常時の小役（ベル、スイカ、チェリー等）の出現確率に設定差があり、その実数値から設定を推測することができる。もちろん機種によって設定差が存在するものは通常時の小役とは限らない。
・店舗によっては設定を使う店と使わない店があり、また店舗ごとにイベントを開催している為、イベント内容を把握した上で立ち回るのが良い

今となっては当たり前のこの3つの情報を手に入れた。
ここからは早かった。

まず打てる機種を増やす。
ひたすら解析サイトに載っている機種の情報をノートに取った。
間違いなく学校で書いたノートより多い情報量をノートに取り頭に叩き込んだ。

次に店選び。
バイト先のスロ専近辺にはそれなりに多くのパチンコ屋があり、バイトの頭取りの際に出玉状況やよく出ている機種、特定日のイベントでどれくらい人が集まるかをどのバイトよりも詳しく書いた。

休みの日には頭取りに行けない店にも行き、積極的に店舗のメールを読んだ。
こうやって情報を蓄えること2か月。


シオソは動き出す。
その日バイト先近くの店舗のイベント日、朝から並び抽選を受ける。
この時の狙い機種はエヴァまごころの後継機エヴァ約束の時、ハイスペック機のバイオハザード、キン肉マン、そして戦国無双の4機種。

無事抽選を突破しエヴァ約束の時を確保。
バイト先でもらったカチカチ君を置き打ち出す。

当たる。面白いように当たる。
ボーナス中の小役も良好。
閉店まで打ち切り5000枚程を流した。

シ：「ッッッッッッッしゃあああああああ！！！！」

心の底から出た声だった。
自分の2か月が実ったことが何より嬉しく、今まで得てきたスロットの達成感などゴミの様に感じた。

スポーツにおいて素晴らしいプレーや、勝利した時の喜びはあるが、大多数の人は努力を積み重ねても届かない壁がある。シオソはそれを中高6年間で知ってしまった。

だがスロットはどうだ？必死に努力した2か月で結果が出るではないか。
しかも届かない壁などない、戦っているのは自分自身だけなのだから他者と競う必要はないのだ。

この日を境にシオソは打てる機種の勉強を暇があればしていた。
幸いバイト先の休憩室にパチスロ雑誌は大量にあった為、休憩中は飯を食いながらノートを取りゲーム性、システムの理解を広げていった。


ここに一人のスロットに魅了された青年が出来上がった。
起きている時間の大半はスロットのことを考え、息抜きにアニメを見る。
バイト先の先輩が薦めてくるアニメが死ぬ程面白く、毎日が楽しかった。

こうやってバイトと店舗のデータ取り、時々麻雀のヘビーローテーションで日々を過ごすスーパーフリーターは毎月の返済をしながら悠々自適な生活を送っていた。



活動の範囲も広げて積極的に遠征をしながら休みの日稼働することをしている中でとある店舗で一人のヤンキーと出会う。

金髪で、あごと首の境界線がないくらいに太く大柄な男。

Ｋ太郎であった。
高校の時に挨拶をしてから最後一度も顔を合わせることがなかったあのＫ太郎である。

K：「あれ？シオソじゃんｗなにやってんの？てかスロとか打つんだｗ」

シ：「あぁ…うん。〇〇〇〇ってスロ専で働きながら結構打ってるよ。」

K：「えぇ！あそこ？！意外だわｗシオソがスロ打つなんてイメージ全然なかったから！ｗ」

不思議と話せていた。
今でも不思議だがむしろこいつともっと話したいと思っている自分がいた。

シ：「Ｋ太郎はいつから打ってんの？」

K：「え？中2！」

青天の霹靂だった。
全身から汗が噴き出るほど一瞬で興奮した。

シ：「マジ？！今度打ちに行こうよ！」

K：「いいよ！俺バイクで色んなとこ回ってるからｗてかＳ吾も最近打ってんだよｗ」

Ｓ吾も中学の同級生である。
スポーツ万能で短距離で市の代表にもなったほどのやつだった。
頭もよくシオソより頭の良い高校に行っていた。

シ：「どの辺でよく打ってんの？やっぱこの辺？」

K：「いや～〇〇の方が多いかなｗてかそっちの方が結構状況いいよ！」

シ：「てか今何してんの？進学してるわけじゃないよね？」

Ｋ：「何ってｗ普通にスロットで食ってるｗ」

後に再開したＫ太郎と長い間共に稼働をするのだが…。それはまた次回。







ちなみにこの土日マイジャグラーの設定狙いをするだけの短時間稼働でした。
いずれもツモれなかったのもあり、-24000円。

う～む。ひたすら我慢かな。
平日は仕事がてんやわんやになり、思わずTwitterで愚痴る始末。

近隣の稼ぎ頭のスナイパイも青に変わり、私も真っ青。
スナイパイ赤なら皆さん打った方がいいですよ。
大事なのは根気と目押しのミスを恐れないこと、失敗しなきゃうまくならないと私は思っています。
練習をするなら低貸しでもいいと思っていますし、もっと稼働が盛り上がらないと必然的に設置も減ってしまいます。

あーひぐらしまでに少しでも余裕を持ちたいのに…。

今はそんな葛藤と戦っているシオソでした。

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