○○とパチスロの奇妙な因果関係 『た』

今回のお題は久兵衛さんからいただいた「タスマニアデビル」。



あっれはー誰だ、誰だ、誰だ
タスマニアアローはちょうおんぱ タスマニアイヤーは地獄耳





タスマニアデビル：哺乳綱フクロネコ目フクロネコ科タスマニアデビル属に分類される有袋類。現生の肉食有袋類としては世界最大である。現在はオーストラリアのタスマニア島にのみ生息する。1800年頃入植を開始したヨーロッパ系移民に、家畜や家禽を襲う害獣として、鳴き声や死体を漁る姿を悪魔に例えて忌避された。




1990年代半ば、タスマニアデビルをある病が襲う。その名も「デビル顔面腫瘍性疾患」。音の響きだけならば小学生男子が考えた必殺技に聞こえないこともないが、これが一つの種を絶滅の危機に追い込んでいるというのだから驚きだ。顔面に大きな腫瘍を作るこの病により、タスマニアデビルはその個体数を14万匹から2万匹まで減らした。自然発生的な伝染病のみを原因として種が絶滅することは稀だが、環境的要因も加わると加速度的に個体数が減少する結果となる。




黒き毛皮に包まれた穴熊を守る手段は無いのだろうか。浮世の柵を憎み捻くれた、触る物全てと自分自身を傷付け続ける様な哀しい瞳を、絶滅より救い上げる蜘蛛の糸は存在しないのだろうか。そんな奇跡の様な方法が一つだけ存在する。タスマニアデビルをパチスロにする事だ。数学者は己の人生を賭けて世紀の難問を解き明かす事で「不滅の名誉」を得る。歴史に名を刻み付ける事で言わば不死の存在となるのだ。タスマニアデビルもまた、パチスロとなる事で人々の記憶に確かな爪痕を残す事となる。見方を変えれば永遠の存在となるのだ。




というわけで、今回はタスマニアデビルをパチスロにしてみる。アノマロカリスに続く珍生物パチスロシリーズ第2弾。オーイズミ辺りが本当に作ってくれたら嬉しい。






さて、タスマニアデビルをパチスロ化するに当たって今一度その特徴を洗い出しておく。

•世界最大の肉食有袋類
•全身が黒い体毛に覆われている
•絶滅危惧種指定済
•鳴き声が特徴的



まずスペックだが、シンプルにボーナスタイプが良いだろう。昨今の流行りに乗るならば、RTも搭載されている方が望ましい。ボーナスの連打とRTが絡み合い増加していくメダルに、打ち手は魅了される。BIGの払い出し枚数は世界最大に因み480枚。短時間勝負にも持ってこいな台となっている。




RTは絶滅危惧種に掛けて完走+ナビストック型とする。その名も「タスマニアRUSH」。純増は0.6枚で1セット30ゲーム。セット終了後は引き戻しゾーンの「デビル顔面腫瘍性疾患(DFTD)ゾーン」に突入する。絶滅(パンク)を回避して連荘を目指せ。




筐体は漆黒に覆われ、リールも勿論ブラックリール、上部にはタスマニアデビルの顔面を模した役物が配置されている。哀しい瞳が怪しく光ればボーナス確定。DFTDゾーンに突入すると腫瘍が飛び出すギミック付きだ。緊張感を煽りつつ、視覚的にもタスマニアデビルを愛でることができる。




本機には一切の楽曲を搭載していない。ボーナス・RT中を含め、流れる音は全てタスマニアデビルの鳴き声となっている。何時もと違う鳴き声がしたらチャンス、ボーナス一確目を狙ってみよう。連荘をする毎に鳴き声は増えていく。宛らそれは、絶滅の危機から脱したタスマニアデビルの群れの様に。ホールの至る所から響く鳴き声に、貴方はオーストラリアの風を感じることだろう。





いまいちイメージが掴みづらいという方には、ツインエンジェル3とTRAD480を足して二で割った良い方をコクッチーブラックみたいな色して上のとこにケロット3の様な不細工な穴熊が付いた筐体にぶち込んだ台だと思っていただければいい。何故だろう、全く打ちたくなくなった。







如何だっただろうか。馬鹿馬鹿しいと笑うことなかれ。此の世に絶対がない以上、数日後に「パチスロ タスマニアデビル」が検定を通過する可能性は誰にも否定できない。タスマニアデビルが絶滅するのが先か、トチ狂ったメーカーによりパチスロ化されるのが先か、結末は誰にも分からない。




時代は変わる、人も変わる。だからこそ、誰もがそこにいた証として爪痕を残そうと足掻くのだ。移り変わった果ての世で、「そういえばタスマニアデビルをパチスロにしようとした馬鹿がいたな」と思い出していただけたら、其れはこれ以上ない幸福である。
























引き続きお題募集中です。お題を下さった皆様に、「夏が終わったと思わない限り、夏は終わってない」という言葉をお送りします。次回は「ち」から始まる言葉で。

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