クソ台じゃないよ！ ちょっとしくじっただけ！ 元ホール店長が語る「CRおニャン子クラブ(サンセイR&D)」のしくじり物語。

「真ん中もっこり～！」
「夕やけニャンニャーン！！」

本日は2月2日ということでニャンニャン、そう、夕やけニャンニャンを連想する日ですからね、遂に『CRおニャン子クラブ』について書く絶好のタイミングですわ。ご存知の無い方のために念のために説明したしますと『夕やけニャンニャン』といえば片岡鶴太郎、とんねるず、田代まさしといった時代のスター達がMCを務め、活動期間はわずか2年半ながら当時の若者を大熱狂させたアイドルグループである『おニャン子クラブ』が毎日出演していた伝説的なバラエティ番組であります。

そんなかつての大人気番組が2005年、満を持してのパチンコ化。当時の私がどれほど期待したか、想像してくださいよ。現在30代後半の男性であれば『モー娘。』が、30代前半ぐらいでしたら『AKB48』あたりですか、20代の方は『乃木坂46』になるでしょうかね。ご自身が大好きだったアイドルがパチンコ・パチスロ化されると知った時の興奮をいまいちど思い出してください、どうです、私の興奮が伝わりましたよね！！　

え、そこまでテンション上がらなかった？　……だとしたら、ストロングゼロとか飲んで強引に気分を盛り上げてからお読みください。

 

★今回のしくじり機種は『CRおニャン子クラブ（サンセイR&D）』

導入時期は2005年10月。前年の規制改正によって確変割合の上限撤廃、大当り確率の下限が行われたことにより本機は大当り確率498.5分の1、確変突入率70％の激荒スペックがメイン（他に2スペック有り）でした。初当りまでが遠いのでホールもしっかり回せる時代だったと、当時を知るユーザーには共感していただける頃のリリースでした。今になって思えば、遊パチもリリースしていれば結果は違ったように思えますな。

 

しくじりポイント1.致し方無しの実写無し、だがしかし物足りなし

本機には、おニャン子クラブのメンバーが誰ひとりとして映像として登場いたしません。重要なことをサラッと書いてしまったのでもう一度だけ言いますよ、おニャン子クラブのパチンコなのにメンバーの実写映像は皆無であります。実写が出たらプレミアで大当り、とかじゃないですよ？　いつ何時、どのタイミングでも登場するのはデフォルメされたキャラクター（しかも誰が誰だか識別不可能なレベル）のみで新田ちゃん、なかじー、国生さん、高井さん、ゆうゆ、満里奈ちゃん、美奈代、工藤静香といった人気メンバーの映像は液晶画面内で一切活躍いたしません。私は今、この文章を半泣きで書いています……。

本機のタイトルは一応『おニャン子クラブ』でしたが厳密に言うと彼女たちが出演していた番組である『夕やけニャンニャン』を題材とした作品なのです。本放送の終了の1987年から本作リリースまでの間には既に18年もの歳月が流れており、その間に芸能界を引退したメンバーも数多く存在する中での映像化は不可能であることは、おニャン子および夕ニャンを良く知る世代には周知の事実ではありました。

それでもやはり、彼女たちの名前を冠したパチンコ台に本人達の映像が一切使用されなかった現実に、我々は改めて深い悲しみに包まれました。もちろん『セーラー服を脱がさないで』や『会員番号の唄』といった名曲こそ流れるものの、それらを笑顔で歌う彼女たちの姿は見られません。それならばパチンコ化して欲しくなかったとさえ思いましたもの、おニャン子クラブとパチンコが大好きな私でさえも。

後年、AKB48や乃木坂46がパチンコ化された際には、いずれも実写映像および楽曲が数多く使用され、またパチンコ台としての完成度も高かったことでより一層、当時の悲しみが深いものになったことも付け加えておきましょう。
 

しくじりポイント2.あまりにも簡単に故障する、因縁めいた役モノ

本機のセールスポイントのひとつが液晶画面右側に存在した『パタパタ役モノ』です。

音楽番組『ザ・ベストテン』のランキング発表時におけるパタパタとめくれるボードを模した役モノが、リーチの発展先や信頼度を告知する役割を担っていたのですが、当時としては斬新なこの役モノが非常に壊れやすく、動かなくなるトラブルが多発したのです。

ベストテンといえば、当時大人気だった『おニャン子クラブ』がリリースした楽曲が何故か低いランクで発表され続けたためテレビ局の間で火種となり、出演ボイコットまでに発展した事実があります。また『ザ・ベストテン』には奇しくも『おニャン子クラブ』の楽曲を手掛けた秋元康氏がかつて放送作家として番組に関わっていたこともあって「何故、おニャン子クラブのパチンコに夕やけニャンニャンとは無関係なベストテン風の役モノを搭載したのか？」は私にとっても開発者に聞いてみたい謎のひとつでした。

繰り返しますが役モノでリーチの信頼度を告知するパチンコ台は当時としては珍しかったので、この役モノの故障によりゲーム性が著しく損なわれてしまうのも、非常に残念なポイントのひとつでありました。

 

★元店長カタギリとCRおニャン子クラブ

テレビ番組『夕やけニャンニャン』の放送当時、私はちょうど思春期を迎える時期でした。学校を終えて帰宅した後、何気なくテレビをつけると、ブラウン管の向こう側には年上のお姉さん達の笑顔が弾けていたのです。

当時のアイドルらしからぬ、普通のお姉さん達が楽しそうにしている番組。ただそれだけの番組でしたが、それだけでじゅうぶんでした。憧れと、淡い恋心。大人になる前の純粋な気持ちのままで、彼女たちの笑顔と一緒に過ごせる時間が晩御飯までの楽しみだったのです。

そんな私がパチンコ大好きな大人になって何故『CRおニャン子クラブ』にときめかなかったのか。理由は既に述べた通りです。私は画面越しに見た彼女たちの笑顔にもう一度、心奪われる時間を取り戻したかったのですから。

 

★まとめ～約束された『しくじり』のおニャン子クラブ～

CRおニャン子クラブをリリースしたのは皆様よくご存知の『サンセイアールアンドディ』さんです。

本機の前後には『まぶや』、『セブンズロック』、『影』、『新がきデカ』、『パチクエ』といった名機を続々とリリースしており、本機から3年後にリリースした牙狼によって一気に不動の地位を確立したパチンコメーカーであります。それゆえに一層、おニャン子クラブの黒歴史感が際立っていたことも書き記しておくべきでしょうね。

とはいえ後年、おねだり！マスカットやジューシーハニー、壇蜜といった男性向けの台もリリースしており、キッチリ実写を交えた良作に仕上げているのは流石です。

『CRおニャン子クラブ』にはおそらくメーカーさんにもやむにやまれぬ事情があったのだろうなと察すると、本機は「しくじるべくしてしくじった」作品だったと言えるでしょうね。当時の開発関係者様の皆様、心中お察しいたします……！