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パチスロライターに“なってしまって”episode.23（凄いぞ、ネット！）

佐々木真パチスロ攻略ライターの思考ルーチン

通常ゲームのどこからでも突入し、ゲーム数上乗せの概念もあるART機。『忍魂』を見ても「それもゲーム性のアイデアの一つ」と思ったくらいで、答えが出たと強く認識はすることなく。また新たなアイデアと出会える喜びを感じ、それを見逃さないように勤めていた2009年の年明けでした。その頃、私の心を掴んで離さなかったのがネット（NET）です。

ネットは、歴史上も新しいアイデアを世に提供することに長けたメーカーです。4号機時代には『サハラ』で大量獲得時代の幕開けを提案しました。CTは『クロスCT』。『ブラックジャック777』でストックの概念などなど。まあ、大手に発想をパクられたことで華開くことも多かったですが（笑）。

前にも『ドリスタ』に触れましたが、2009年から2011年にかけてのネットは特に、そのような感じでした。

★『（5号機）リノ』の原型。

▲『ドラキュラ』（ネット：2009年3月）『シーシー』（コルモ：2009年4月）

『ドラキュラ』は、通常ゲームで揃いにくい（小役やリプレイに蹴られる）ボーナスを採用。そのボーナスが揃った後は純粋な通常時に移行し、そこで成立した連チャン用のボーナスを破格の確率で抽選し、それは容易に揃えることが可能。再びハマリ用のボーナスが成立すると深く潜る。そんなシステムでした。当時、業務提携していたコルモからも、この発想を別の形にした『シーシー』を発表しました。

そう。『リノ』（山佐：2015年12月）の原型です。ボーナスの出玉バランスとかはありますが、元の発想は同じ。『リノ』はBIG中のJACインをハズすとか、それ以外も工夫が……って？それもネットが2009年に提案したアイデアです。

★初代『バジリスク』の原型。

▲『ドキッと！ビキニパイ』（ネット：2009年7月）

7月には『ドキッと！ビキニパイ』を発表。初見の取材時には気付かないというか、あまり気に留めていませんでしたが、BIG中に仕掛けがありました。BIG中に成立したJACインを目押しで入賞回避させ、保通協の出玉試験よりも良い数値でユーザーに打たせる。その分だけメリハリの効いたゲーム性に仕上げられる狙いがありました。

▲『バジリスク〜甲賀忍法帖〜』（ミズホ：2009年12月）『北斗の拳〜世紀末救世主伝説〜』（サミー：2011年12月）

正直、これは“出玉設計”の範囲で、ユーザーの感じるゲーム性とは違うので、初見では気付きませんでしたが。この発想を参考にして出玉設計に活かしたのが初代『バジリスク』や『北斗の拳〜世紀末救世主伝説〜』です。いや、他の機種を見て「ネットが元だったんだ」と気付くのは昔からよくある話なんですよ（笑）。

初代『バジリスク』のイメージが湧かない方も多いと思いますが、1Gあたりの純増3.0枚と5号機の中では最強スペックがウリとなっていました。その出玉設計を支えたのが（それだけではないでしょうが）ネットが提案したアイデアだったんですね。もちろん『リノ』も。

★5号機版AT機の発想の原型。

▲『ココナナ』（ネット：2011年4月）

2009年ではないですが、密かに凄いと感じたのが『ココナナ』です。ボーナス当選時にRT状態へ移行。ARTの権利を持っていればナビが発生し、メダルが増えます。ARTの権利を持っていなければナビが発生せずにメダルは現状維持。『2027』でも使われた発想ですな。

『ココナナ』の凄いところは、通常の3枚がけで打っていると小役揃いの組み合わせを優先して有効ラインにボーナス図柄が停止しないようになっていたんですね。小役かもしれない……で、ボーナスを蹴ってくれるのです。でも、揃えたい。そんな場合は1枚がけにすればボーナス＋ハズレの確率がアップして揃えることができます。

ボーナス成立後のRT状態で、ナビの有無によりメダルの増減が変わる。3枚がけをしている限り、成立したボーナスを高確率で成立する小役で揃わないようにする。これらの発想は、アクセルATの前の“通常ゲームからリプレイ確率の高い”5号機版AT機に採用されていきました。

「またネットさん、面白いことやってる〜」としか当時は思っていませんでしたが。

★斬新なアイデアだけではない。

▲『萌えよハーレムエース2』（ネット：2011年1月）『リオスパ』（ネット：2011年6月）

と、システムマニアが唸るような。もしくはシステムマニアでも分からず、その道のプロが参考にするような“難しそうなアイデア”を排出するだけのメーカーではございません。密かにノーマルの質も高いのです。『熊酒場』シリーズとか。

『ココナナ』の発表された2011年もそうでした。『萌えよハーレムエース2』は、打ち込むほどキャラが開放され、そこで選んだキャラで演出内容が変わるという“1機種の楽しみ方を何種類にもできる”ものでした。

リーチ目の美しさや多彩さは、若い人になかなか伝わりにくいものです。このような液晶演出も使う（リールが主で液晶が補助となる）形は、新しい時代のノーマルとして高く評価しています。

また6月には『リオスパ』が登場。その時々によってシステムがコロコロ変わるリオちゃんですが、この時はノーマルとなっていました。まあ、今はリオちゃん違うメーカーから出ていますが（汗）。

このような機種を考えまくらねばならなかったので「『忍魂』で一つの答えが出た」とは思えなかったのです。

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この記事へのコメント（1 件）

枠下蒼7: 投稿日：2023/07/25; ぷれい内容に応じてキャラが増減するのは初代ハーレムエースから採用されています。
バトル勝利でキャラ追加、敗北で獲得していたキャラが逃げます。
ちゃんと調べてほしいものです。

佐々木真: 代表作：パチスロ攻略ライターの思考ルーチン

裏モノ全盛期に“ギャンブル”としてパチスロを始めたが、技術介入機時代に最適手順を模索するなど“遊技”としての魅力にはまり、履歴書に大きな穴をあけてしまう。2000年よりパチスロ雑誌などで編集兼ライターの活動を開始。現在は、ほぼすべての機種の発表会や取材に参加。法律・規則などの知識をもとに、根幹システムの推測をライフワークとしている。