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パチスロ攻略ライターの思考ルーチン
2023.04.04
パチスロライターに“なってしまって”episode.16(5号機アイデアの萌芽)
契約書などの関係上、2006年 7月より正式に777@niftyの一員となります。担当する機種はほぼすべて。発表会に行ってニュース原稿を書き、その後に取材に行って導入初日の前に攻略原稿をアップすることとなりました。
いや、体がいくつあっても足りないですよ。一人で担当するには機種数が多すぎますもの。「同じ仕事ができる人を誰か紹介してください」と編集部に言われ、そこで加入してもらったのがワサビさんです。ワサビさんは当時から売れっ子でしたから。結局はほとんどの機種を私が担当することになりましたが(笑)。
ただ、この時期にほとんどの機種を打てたのはラッキーでした。前にも書いたように、まだ5号機の基本システムが定まっていない時代。各メーカーとも手探りでアイデアを出し続けることになります。その階段を上がっていくのを目の当たりにできるのです。
最初期の2006年は、ボーナスとRTを活かした設計が基本。遊技機規則にきちんと書かれた付加機能が「リプレイ確率を変動できるタイミング」だったので、まずはそこから攻めてみようと思うのは当然。
5号機以降で“ならでは”の使い方をできるのは2種BB(第二種特別役物・MB)もありますが、2006年時点ではまだ海のものとも山のものとも分かっておらず、特殊な使い方をしてくるメーカーも多くはなかったかと思います。
5号機最初にホールから高評価を得た機種といえば『超お父さん』となるでしょうか。SNKプレイモアの工場が量産できるようになるのはもう少し後のことなので、台数こそ多くはないですが。取材は何かの雑誌で行ったので、正確にはまだ777@niftyには在籍していなかったですけど。
▲『超お父さん』(SNKプレイモア:2006年4月)
『超お父さん』はボーナス+RTで、ボーナス終了後はチャンスゾーンから開始し、そこでベルが揃えばRT突入。RT終了後もチャンスゾーンから開始され、そこで再びベルが揃えばRTへ。チャンスゾーンでベルより先にチェリーが入賞してしまうまで、RTがループする形となっていました。はい『スカイラブ』の原型的な機種ですね。
よろしければ、「5号機初期の名機『スカイラブ』は、こうして暴いた!」もどうぞ。
その記事でも書きましたが、『超お父さん』も名機です。面白いです。ただ、それよりもホールさんの5号機に対する感覚を変えるのに一役買ってくれました。粗利が高く推移したんです。そこまでの5号機は、併設されていた4号機のストック機と比べると、出るのも吸うのもまったりしていて、利益にならないという見られ方をしていました。それを変えたのです。
SNKプレイモアやるではないかということで、その次期種の受注が殺到したそうな。『球児』というんですけど。いやいや、同じメーカーでもスケジュール的に同じ開発チームが作れないでしょ(笑)。そんなこともまだ浸透していなかったのです。ちなみに『超お父さん』は東京チーム。『球児』は大阪チームが開発したような。
パチスロ機の中身とかまったくわからないまま、デモ基板で気持ちの良くなる演出を見せられ「で、コイン単価(ホールの利益に関する数値)はいくらなの?」と聞いて商談スペースに消えていくホール関係者のなんと多かったことか。
4号機から5号機に切り替わった際に撤退していったホールも多くありましたが、半分は自業自得だと思っています。人気機種をズラっと並べておけば、それだけで儲かる時代は終わりを告げたのです。射幸性が低いほど、一台一台に手をかける必要があるのです。これはどの時代も同じでしょう。そういう昔ながらの営業ができるホールが、爆裂AT機以降で淘汰されて既になくなっていたのが残念でなりません。おっと、脱線しましたな。
『超お父さん』の取材時に仮説を立てていたことは、設定変更で純粋な通常状態に移行するはずということ。純粋な通常状態でRT突入目が出たら、必ずRTに移行しなくてはなりません。ならば、設定変更した直後のベルは、必ずRTに突入するはず。というものでした。
しかし、SNKプレイモアもガードが固く。設定変更に必要なドアキーと設定キーは、その都度社員さんから受け取らなければならないようになっていました(この機種の時だけ)。頻繁に鍵を借りにいくわけにもいかないです。まあ、この時のガードの固さを思い出して『スカイラブ』の取材に繋げたんですけどね。
このように、新機種の取材は「仮説を立てる→検証」を繰り返すこととなりました。その仮説がトンデモだったら大きなタイムロスです。間違っていない可能性が高い仮説を立てるため、遊技機規則はかなり読み込みましたし、前回も書きましたが、同様に読んでいる777@nifty編集長と取材後に連日飲んで意見交換していましたね。
▲『ホークIII』(JPS:2006年10月)
その飲み会でのアイデアが形になることも普通にありました。未来のゲーム数を管理できるのはRTのみ。ボーナス終了後に“リプレイ確率が低いRT”に突入させて、それがゲーム数消化で切れれば純粋な通常時に。そこはリプレイ確率が高くなっていればメダルを減らさずにボーナスが成立するのを待てやしないか。
いわゆる天井RTの発想でしたが、秋に登場した『ホークIII』に実装されることとなります。もうね、こうなると野球のピッチャーに自分でサインを出して、そこで自分が打つようなものです。その機種でスバリ正解とならなくても違うメーカーでも未来の機種の予習にはなります。そんなことは多かったですかね。4号機にはまったくなかった面白さでした。
ストック機の大半は、それまで非合法だった3号機などの裏モノを合法的に再現したものばかりなんですよ。つまり、出方やアイデアにはヒントがあるということ。そして、非合法なものを楽しんでいるというスリルはありません。というのも、4号機末期の自分的な評価が低い理由かもしれませんね。出る箱としては優秀でしたけど。
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- 佐々木真
- 代表作:パチスロ攻略ライターの思考ルーチン
裏モノ全盛期に“ギャンブル”としてパチスロを始めたが、技術介入機時代に最適手順を模索するなど“遊技”としての魅力にはまり、履歴書に大きな穴をあけてしまう。2000年よりパチスロ雑誌などで編集兼ライターの活動を開始。現在は、ほぼすべての機種の発表会や取材に参加。法律・規則などの知識をもとに、根幹システムの推測をライフワークとしている。
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