パチスロライターに“なってしまって”episode.13（5号機時代へ）

佐々木真パチスロ攻略ライターの思考ルーチン

2004年7月1日に遊技機規則が大幅に改正されて5号機時代となりました。さぞかし、遊技機規則の関連記事を書きまくったかのように思われるかもしれませんが、そんなことはございません。この当時はインターネット化がまだ進んでおらず、新しい遊技機規則も紙で刷り出して読んでいたりしました。一般の意見を募るパブリックコメントも郵送じゃなかったっけかなあ。

おまけに『CRP花月伝説』が初の5号機として登場したのは2005年7月20日。大幅に改正されたことにより、そこまでの4号機までの常識も通用せず、5号機も見て学ぶこともできない1年間。「よく分からないけど変わるらしい」それだけの感覚でした。だって、日々追われる締め切りは、今まで通りの4号機ストック機だらけだったのですから。

他の大手誌などは新基準（5号機）について書いていたりしましたけどね。2種BB（第二種特別役物・MB）のことを新CTと呼んでいるところもありましたね。無制御のリールがあるのは4号機に例えればCTですので、そうなってしまうのも分かります。実際の使われ方を見ることができませんもんね。

……ということで、4号機が出続けている間は、レイアウト職人モードを継続することになりました。

▲『新世紀エヴァンゲリオン』（ビスティ：2005年9月）

そんな中、2005年の夏過ぎに5号機がデビュー。4号機に比べればメダルも出ませんし、なんのこともないノーマルタイプ（＋ちょっとしたRT程度）です。雑誌作りでいえば「どうやってページを膨らませよう」と頭を抱えることになります。ただ、これが打ってみて面白いと感じちゃったんですね。いち早いボーナス察知と優秀な手順でロスを減らすのが基本。これぞパチスロ本来の面白さでしょ！と。

表組みをページに押しはめるのには辟易としていました。しかし、5号機はそういうことになりません。困ったら手順を増やすか、いろいろ計算をしてカコミを増やすか。まさに攻略ライターとしての腕試しができる場に思えたのです。もう速攻で編集さんに宣言しましたね。「これ以降は4号機はやりません。5号機のページだけください」って。そんなややこしい奴は使いたくないですよね。ええ、干されたとです（笑）。

いやだって考えてもみてくださいな。『新世紀エヴァンゲリオン』って右リールに1リール確定払い出し役のチェリーがありましたよね。

皆さん、普通の機種で順押しするのは何故ですか？チェリーをいち早くフォローするためでしょう。つまり、本来ならば『新世紀エヴァンゲリオン』を効率よく打つには逆押しが正解となるはずです。しかし、左リールから押すのが一般的ですよね。右リールから押すとボーナスの成立を察知しにくいからです。

これ普通の機種の変則押しと意味合いは一緒なんです。チェリーを後回しにしてもボーナスを察知しやすいリールから押しているのです（変則押しをするとボーナスが察知できない）。こんな禅問答のような機種がいきなり出てきたんですから、そういう機種を担当したいと思うのは当然のことでしょう。

▲『サクラ大戦』（エレコ：2005年10月）

そんな好奇心は他の機種も同様。5号機初期の『サクラ大戦』は、時代によって面白いと思う手順が変わるもんだよな〜と、今になって思わされる機種です。リアルタイムで私が書いたのは中押し手順。中リール中段に青7が止まれば、スイカorボーナスとなる分かりやすいものでした。私だけでなく、他のすべての雑誌もこの手順を書いたことでしょう。と、別に雑誌のライターが偉いわけではなく、こんなものは誰でもすぐに気付くものでした。『サクラ大戦』のシマは中押しする人だらけでしたね。

効率的といえば効率的です。世知辛く打つならば、これがベストでしょう。演出を見守らされて、それでボーナスを放出する「間が空いてしまう」ストック機と違って、すぐに答えが出るノーマルならではの醍醐味が感じられる。その当時はそう思っていました。

中リール中段青7でスイカorボーナスとなるということは、その他の停止形だと1リール確定でボーナス未成立となってしまいます。俗に言う一殺目です。またボーナス以外ではスイカしか止まらないので、滅多に拝むこともできません。

それから10年後。レトロホールで、設置をたまたま見つけて打ってみた際「中段青7を拝めなければ1000円寄付しただけと同じことになるな。それはそれで寂しい」と、いつもと違う押し方を試してみたところ「こんな面白いところあったのか〜」と興奮することになったんです。その手順は逆押しでした。

基本的に右リール下段に青7が停止します。この形からはハズレもありますし、ボーナスも残されています。次に押すのは中リール。中段にベルがテンパイしたら小役。リプレイが停止したらハズレ。それ以外は青BIG確定です。そう。一殺ではなく、演出の熱さなどを楽しんでから中リールを押せるのです。全ゲームほぼ捨て目なし。今ならば、中押しも書きつつ、逆押しをプッシュしたでしょうね。ゲーム性を殺さないので。……なんて考えられる5号機（6号機も似たようなものですよ）やっぱりサイコーッすね（笑）。

★実戦番組での5号機縛り裏話。

この頃、パチテレ！の実戦番組『俺勝つPro』も変わらず出演させていただいていました。スタイルは紆余曲折ありましたが、それぞれライターが普通に立ち回って、出玉を競うものとなっていました。そうなると誰も5号機を打たないんです。出玉競争なんで。

それじゃ不味かろう。パチテレ！の親会社はユニバーサルです。そのユニバーサル系は、4号機ストック機の持ち玉がありませんでした。必然的に5号機に活路を見出していくことになります。それなのにライター陣が4号機ばかり打っているのは如何なものか。そう問題提起をして、実験的に2クールだけ“普段から5号機を打っていたKUNNYさん・ワサビさん・佐々木の3人だけの5号機縛り“となったんです。この話、初めて書いた。そう、実際は親会社への忖度だったのです（笑）。

そんなこんな、5号機への愛着は湧きつつありましたが、遊技機規則おじさんになるのはもうちょっと先のことになります。

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佐々木真: 代表作：パチスロ攻略ライターの思考ルーチン

裏モノ全盛期に“ギャンブル”としてパチスロを始めたが、技術介入機時代に最適手順を模索するなど“遊技”としての魅力にはまり、履歴書に大きな穴をあけてしまう。2000年よりパチスロ雑誌などで編集兼ライターの活動を開始。現在は、ほぼすべての機種の発表会や取材に参加。法律・規則などの知識をもとに、根幹システムの推測をライフワークとしている。