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パチスロ攻略ライターの思考ルーチン
2023.01.24
パチスロライターに“なってしまって”episode.11(『吉宗』に『北斗の拳』が登場)
さらにややこしくなった。偽らざる本音はこれでした。
爆裂AT機の連チャン回数のテーブル表に代わって雑誌のページに置かれたのは、ストック放出ゲーム数のテーブル表。こんなんライターがいくら大量に打ったところで分かるわけがございません。解析人から送られてきた表組みをパズルのように組み立てる。もうね、攻略ライターというよりも、レイアウト職人かつ解析人の計算や考え方が違わないか確認をするだけの人です。
そんな思いとは裏腹にパチスロ業界は黄金期を迎えます。『吉宗』や『パチスロ北斗の拳』の登場です。どちらも担当ではありませんでしたが、それでも一通りは見ておかないと……と打ちましたね。
▲『吉宗』(大都技研:2003年7月)
『吉宗』はサイドランプ問題もあって、すぐに『吉宗S』へと改修されますが、この元となったのは、パチンコパチスロ産業フェアにもあった『シェイク』。それをポップな素材に作り替えたモノでした。んー私は『シェイク』派。と「実は初代」になりがちなのもパチスロのシステムマニアあるあるですね(笑)。
今でこそ覇者となった大都技研ですが、この当時は二流というか。小役の抽選状態と揃えられるボーナス種別がリンクする『フュージョン』や、シフト持ち越し(BIG中のREGを溜め込む)という概念を作った『バンバン』など、マニアには面白がられていましたが、マニア受け止まりなメーカーだったように思えます(失礼!)。
なので『吉宗』も、リールユニットがそこまで強くなかったんです。出目系の話ではなく物理的に。導入直後なのに止まり方がグチャグチャとなってしまうこともありました。当時、大都技研の方とお話しさせていただいたら「だってウチの台が連日フル稼働するなんて想像しないじゃないですか」だって(笑)。『吉宗S』からは、そのリールも頑丈になりました。
▲『パチスロ北斗の拳』(サミー:2003年10月)
さて、もう一方の雄『パチスロ北斗の拳』。パチスロ史上最多の65万台超の導入台数の記録は、今後も破られることがないでしょう。そんな“皆様お馴染み”の初代北斗ですが、実はあまり語られていない功績があった機種だと思っています。
まずは、虹赤緑黄青白というオーラの色の強さ。多くのパチスロ機が、この色の強さを採用しているだけではなく、パチンコにまで浸透しました。その元祖となるのが初代北斗だったのかなと。もうあまりにもこのパターンが多すぎて、単語登録してしまいました(笑)。
もう一つは、やはりシステムです。とは言ってもバトルシステムの生みの親とか、そんな浅い話ではありません。初代北斗の天井は1999G(+前兆)となっていました。そこまで低確率状態が続いたとしても、中段チェリーが成立すれば1/4でRTが終了してREGが入賞(バトルボーナスがスタート)します。ここまでは良いですね?
問題は高確率に移行した際です。そこで中段チェリーを引ければ100%でREG放出状態(前兆経由を含む)に。そこで放出できなければ、再び低確率状態に戻ります。つまり「基本となる低確率+高確率でREGを放出できなかった」合計が1999Gになったら天井に到達することとなります。
高確率状態中は、中段チェリー成立時のRTパンク確率が違う。つまり、低確率時とは別の(RT)状態に滞在し続けていることになります。でも、1999Gの天井条件は変わりません。そこでこのような仮説が成り立ちます。
1)バトルボーナス終了時に、次回天井まで1999Gの低確率RTをセット
2)高確率に移行した際は、RTパンク率の違う別RTに突入
3)高確率滞在時も裏では低確率RTが同時進行している
4)高確率が終了した時は、そのまま低確率RTに合流する
ジャギステージがどうとか、そういうみて分かりやすいところばかり気になりますけど。演出状態でジャギが選ばれたから、中段チェリーが必ずバトルボーナスに繋がるわけではありません。中段チェリーが必ずバトルボーナスに繋がる状態となったからこそ、液晶演出でジャギステージが選択されやすくなるだけのことです。ステージ移行などは多く語られてきましたが、この方向からの解説は読んだことがなかったかも。私も書いたことがありませんでした(担当でなかったですし)。
いや、改めて思います。北斗、奥深いって。内部的にやっていることは難しくても、それを視覚的では簡単に落とし込む作業が凄いです。こういうところに興味を持つ解析人はいなかったのだろうか。そこで丸められると、ライターは丸まった後しか見られないので「そういうもんなんだ」と思い込んでしまうんですよね。ええ、私も何の疑問も持っていませんでした。疑問を持てないというのが正解かもしれませんね。発想がなかったです。この時期のライターはみんなそんな感じだったのではないでしょうか。
いずれにせよ、この2機種もあってパチスロシーンが盛り上がったのは確か。北斗・吉宗が検定切れとなる3年後まで総設置台数は右肩上がり。平成18(2006)年には200万台の大台を超えることとなりました。しかし、パチスロバブル崩壊の予告音は確実に鳴っていたのです。
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- 佐々木真
- 代表作:パチスロ攻略ライターの思考ルーチン
裏モノ全盛期に“ギャンブル”としてパチスロを始めたが、技術介入機時代に最適手順を模索するなど“遊技”としての魅力にはまり、履歴書に大きな穴をあけてしまう。2000年よりパチスロ雑誌などで編集兼ライターの活動を開始。現在は、ほぼすべての機種の発表会や取材に参加。法律・規則などの知識をもとに、根幹システムの推測をライフワークとしている。
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