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パチスロ攻略ライターの思考ルーチン
2023.01.10
パチスロライターに“なってしまって”episode.10(爆裂AT機の終焉とストック機時代へ)
2002年7 月に日電協が内規を改定します。ここより先、型式試験に適合した機種を4.5号機と呼ぶことに。現在は6.5号機となっていますが、6号機は小数点以下が増えるごとにできることが広がっています。4号機当時や5号機時代の規制の歴史を知っていると信じられない感じですけどね。
この4.5号機は、そこまでのパチスロシーンを牽引してきた爆裂ATの破壊力を抑えるものでした。その流れで『アラジンA』『サラリーマン金太郎』『コンチ4X』『ミリオンゴッド』は、検定(各都道府県に設置できる許可)を取り消されて撤去されることに。
もちろん、雑誌メディアですから。撤去間際にサヨナラ実戦のようなこともやりました。しかし撤去されるんですもん。当然設定はありません。最後の日は『アラジンA』を雑誌企画で打って、最後は天井AT終了後即ヤメしたっけなあ(笑)。
▲『アントニオ猪木という名のパチスロ機』(平和:2003年1月)
今だったら大騒ぎとなるんでしょうが、この時は「発表される機種がストック機ばかりになっていった」くらいの結果としての印象しかありませんでした。4.5号機でもAT機は作られましたし、十二分に出たんですよね。細かいことはあったと思いますが、ユーザーやメディアでその違いが気になる人はいなかったかと。なんせ『アントニオ猪木という名のパチスロ機』も4.5号機なんです。出玉を抑えられたはずの4.5号機なのに……。
いずれにせよ、ATの連チャンテーブルから解放されて、またライターの洞察力が大事な時代に……とはなりませんでした。AT機と同時期に作られたストック機。とりわけ、どれだけ成立したボーナスを貯め込んだのか分からない『スーパーリノ』や『キングパルサー』のような“シークレットストック機”に主流がスライドしていったのです。
▲『スーパーリノ』(山佐:2001年9月)『キングパルサー』(山佐:2001年11月)
4号機時代の末期に主流となった“シークレットストック機”の基本的なシステムはこうなります。
ボーナスストックがない時点でボーナスが成立すると、長いゲーム数のRTが選ばれます。ここでボーナスが揃うことはありません。内部的にはリプレイが成立してボーナスを揃えることを阻止(リール制御で)。その長いRTを消化している間にボーナスのストックを増やします。そして、RTが終了した段階で純粋な通常時に移行してボーナスを揃えられるようになります。
そのボーナス終了後。ボーナスのストックがあれば、短いゲーム数のRTが選択される割合が増え、それが選択されれば連チャンする。このようになります。この契機で当たった時やボーナス中に何かが成立した時などは、次のRTが短いゲーム数になるなどの応用編はありますが、基本はこれだけですかね。
今だから説明できますが、当時はメーカーマンもよく分かっていなかったんですよ。「普通の機種はRTだけど、この機種はリール制御式の……」とか聞かされましたもん。当時は「へえ〜」と思っていましたが、そんなものは作れません。2000Gの天井だとして、そこまで回したからストック状態が切れてボーナスを放出するなんてRT以外に作れません。RT関係なしにリール制御が変わったら事件です(笑)。
5号機初期にあった天井到達でのリプレイ確率アップを思い出すと分かりやすいかもですね。ボーナス終了後にリプレイ確率の低いRTに突入。規定ゲーム数到達でRTは終了し、純粋な通常状態に。純粋な通常状態はリプレイ確率が高くなっていてRTのように見えるだけのことでした。何ゲーム回したからという未来を左右できるものの一番手はRTなんです。今も昔も変わりなく。
5号機以降の場合は、リプレイ抽選確率を変動できるタイミングも遊技機規則で明文化されていますけどね。それは、この時にやらかしすぎて「二度とストック機を作らせてたまるか」となったのだと予想します。リプレイは取りこぼし不可とか何重にもロックされています。
★2002年暮れまでに担当した印象深い機種。
▲『ドリームセブンMAX』(高砂電器産業:2002年4月)
密かに高砂番ですし、初代の『ドリームセブン』も知っているということで当たり前のように担当した『ドリームセブンMAX』でしたが、ボーナス絵柄のない場所をビタ押しする必要があったりと、まあ難しいのなんのって。ハッスル目(チャンス目)の概念とか面白かったんですが、その難しさから裏モノ化していきました。
そんなある日『パチスロ必勝本』のぎるびいさんから電話があったのもこの機種でした。「20万突っ込んだ台で万枚掘られたんだけど。一緒に酒でも飲んで(笑)」と。『花月』の2枚がけリプレイハズシや『ビーナスライン』の変則押しをいち早く見つけた目押し職人ですが、意外にギャンブル機も大好きだったのです。三重のオールナイトの『ミリオンゴッド』自腹実戦で4万枚出していたなあ。
私が高砂番になったのは、広報さんとの相性ですかね。業界でも随一クラスに見た目が怖い人で、会話もぶっきらぼうな方でしたが(普段は開発だったらしい)なぜか気に入られていたっぽいんですよね。
佐々木:「『ダブルオーセブン』で7000枚出しました」
広報:「それ裏じゃないの?」
佐々木「『スティッキー』で♪おお牧場は緑、伺った1/6以上で流れる気が」
広報:「そりゃ裏だからね」
※メーカーと裏モノは関係ありません
▲『ゾロメ33-30』(高砂電器産業:2002年5月)
さらには『ゾロメ33-30』というストック機。普通のゲーム数よりも555Gなどのゾロ目ゲームでボーナスを放出したら大チャンスという機械でしたが「お前のところ(『必勝パチスロファン』)は解析しないだろうし、絶対に書くなよ」と言いながら、内部システムをホワイトボードで書きながら教えてくれもしました。
普通のボーナスストックはAの箱とBの箱に振り分けられる。通常のボーナス放出はAの箱から連チャンを抽選。ゾロ目ゲーム数はBの箱から連チャンを抽選。こうするとBの箱のほうが溜まりやすくなるので、連チャンもしやすくなる。こんな感じだったっけかな。
▲『スノーキング』(ロデオ:2002年12月)
さて、もう1機種の『スノーキング』。発売した会社はロデオですが、中身を作ったのはサミーでした。で、内部システムは11月に発売された『ベティ・ブープS』と同じ。
『激爆パチスロ王』編集部内でその解析をしたのですが、サブ基板の解析人でもある副編集長が「佐々木さん、面白いのを見つけましたよ」と。サブ基板のプログラムには右側の欄に指示の文字などを書けるようになっているんですが、その最後の行にこうありました。「イチドサラリーマンッテモノヲヤッテミタカッタ サミーカブシキガイシャ○○○○(個人名)」。はい、プログラマーさんの主張、私も見届けました(笑)。
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- 佐々木真
- 代表作:パチスロ攻略ライターの思考ルーチン
裏モノ全盛期に“ギャンブル”としてパチスロを始めたが、技術介入機時代に最適手順を模索するなど“遊技”としての魅力にはまり、履歴書に大きな穴をあけてしまう。2000年よりパチスロ雑誌などで編集兼ライターの活動を開始。現在は、ほぼすべての機種の発表会や取材に参加。法律・規則などの知識をもとに、根幹システムの推測をライフワークとしている。
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