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佐々木真が新システム(A+AT)を妄想したら、あの機種に似ていた件。

佐々木真パチスロ攻略ライターの思考ルーチン

これから導入される“とある機種”が猛烈に気になっております。A＋ATでAT中はボーナス確率がアップするとのこと。

“とある機種”と伏せているのは、単にシステムを予想するのではないからです。特定機種そのものズバリではなく「こんな感じの機種も作れないかな？」という私の心の中。実現確率がやや高いと思われる妄想です。なので、一切とは言えませんが、実在の機種とは無関係なわけであります。まだ触ってもいませんし。

コラムでは「この機種はこうやって作られているんだよ」というような書き方が多くなってしまいますが、そもそも遊技機規則などを学んでいるのは“突拍子もない新機種”が出てきたときにも冷静に分析・推測するためでした。

さまざまなゲーム性を持った機種が登場した5号機の初期は「これ違う機種で予想してハズしたシステムだ！」なんてことも往々にしてありました。考えていたことが、その機種ではなくてもまだ見ぬ機種の予習に繋がってもいたりしたんですね。それを久々にやってみたいと思わせるワードが“A＋ATでAT中はボーナス確率がアップ”だったのです。

さて、私ならどう作ろう？

もっとも手っ取り早いのは、擬似ボーナスの採用です。AT中は擬似ボーナスの確率アップ。そのようなゲーム性は5号機で既にありますね。『スーパーブラックジャック』です。

▲『スーパーブラックジャック』（ネット：2015年）

この発想自体はいたって普通です。ボーナスライクにしていますが、押し順ナビを発生させるATに変わりありません。名称がボーナスとなっているだけで、規定ゲーム数や純増枚数で1セットのATと言い換えることができます。

そうではなく、リアルボーナスの確率をAT中だけ上げる方法はないのか？それを考えてみたいのです。

★抽選確率ではなく『出現確率』を上げる。

確率と書きましたが、正直言って“抽選確率”を変えることは不可能かと思います。ボーナスを抽選できるタイミングでは常に一定の確率で抽選されることが求められるからです。ということは。抽選できない区間を作ってしまえば、結果としての“ボーナス出現確率”は変わることになります。

▲『スーパーリノXX』（山佐：2018年）

極端な例では『リノ』タイプです。トマト（2種BB）消化後の連チャンゾーン中はリアルボーナスが破格の確率で抽選されている。高設定ほどトマトの入賞チャンスが多くなるので、結果として全体のボーナス出現確率は高くなる。そういう作り方です。

『リノ』タイプを6号機の内規でも作れるのは『スーパーリノXX』や『OZ-1』で証明されています。ボーナスを隠し持たせるなどで、無抽選のゾーンを作っても構わないということですね。しかし、これでは“AT中だけ確率を上げる”ことの解とはなりません。

▲『ルパン三世-世界解剖-』（平和：2018年）

ボーナスを隠し持つ以外に抽選させない方法はないだろうか。そこで出てくるのが『ルパン三世-世界解剖-』です。細かくはコチラに書きましたが、通常ゲームに見えるところがボーナス消化中。連チャンゾーンが純粋な通常時という逆転現象を使った機種となります。

『ルパン三世-世界解剖-』を最後にこの方式は禁止されたんじゃないの？という声も聞こえてきそう。このシステムの使い方ではなく、すべての消化ゲームのうち、ボーナス消化が半分以上になるのはダメとされています。

許されるなら、このシステムをギリギリまで使いたい！

★AT中のボーナス出現確率を上げる方法。

『ルパン三世-世界解剖-』のようにほとんどがボーナス消化中というわけにはいかないので、それほど強烈にボーナス出現確率を弄ることはできないことを前もって書いておきます。

まず、AT部分を除いた根幹のゲームフローから考えてみましょう。

1）BIGも普通に抽選する通常時
2）2種BB入賞でハマリモードへ
3）規定枚数払い出しで2種BBが終了
4）BIGも普通に抽選する通常時に戻る

通常時のBIG抽選確率は設定差があってもなくても構いません。BIGを抽選できない2種BB消化ゲームの滞在割合が重要。少なければ結果としてのBIG出現確率はアップ。多ければダウンすることになります。

『ランブルローズ』や『ルパン三世-世界解剖-』タイプの2種BB消化中は、1Gのみ有効のCBを抽選しますが、その抽選区間の小役確率は通常時と同様。小役の払い出しでも規定枚数に到達すれば2種BBは終了します。そこで、ATの登場です。

AT中であれば、小役の押し順をナビすることによって早く2種BBを終了させられます。通常時の滞在比率が高まるので、結果的にボーナス出現確率をアップできるんですね。 AT中のみボーナス（出現）確率アップの完成です。ちょっと言葉遊びの感はありますが。

★『世界解剖』方式のメリット・デメリット。

こういった“減るボーナス”を採用するのに難しい点は、メーカーが意図したタイミングでユーザーが避けたり揃えたりしてくれるとは限らないことです。悪い例で出して申し訳ないですが『蒼天の拳-朋友-』などですね。

▲『蒼天の拳-朋友-』（サミー：2019年）

この問題点は本物のBIG（1種BB）だったこと。1種BBは『ダーツライブ』（サミー：2019年）のような特殊なことをやらなければ適当打ちで揃うことができません。ハズすか揃えるか選択の余地が生まれてしまいます。

それを組み合わせ総数フリーの2種BBとすることによって“必ず揃えさせる”ことが可能となります。『リノ』タイプのトマトや、『ルパン三世-世界解剖-』の通常ゲーム突入と同じです。揃うことを前提にゲームを進められるのは、打ち手から分かりやすい点で大きなメリットと言えるでしょう。

ただし、シミュレート試験で全入賞して勝手にコインを減らしてくれることもなくなるので、尖りまくったスペックとはなりにくいです。ボーナス消化中は半分未満という内規もありますしね。また、2種BBを搭載してしまうと、BIG（1種BB）は最大でも225枚払い出しタイプとしなくてはなりません。BIGの純増は頑張っても100枚台の後半となります。

ほかのメリットは、50枚あたりの回転数を低くしやすいことでしょうか。2種BB搭載機は、全体のメダル払い出しのうちボーナス分を70％未満（非搭載機は60％未満）とすることができます。6号機のノーマルタイプで２種BBを非搭載とすることが多いのは、BIGの払い出し枚数をなるべく多くしたいからです。

このようにメリットとデメリットは紙一重。鏡のような構図となっています。

デメリットと思われがちな面もそうですね。BIG無抽選ゾーンに陥落する2種BB入賞がヤメ時となりそうなもの。ボーナスだけを抽選するタイプなら確実にそうなりますが、ここでATが活きてきます。この無抽選ゾーンでAT突入抽選を優遇すれば、割と打ち始めの期待値は平たくなってくれそう。私ならそうします。

★打たずに楽しんでゴメンなさい！

まだまだ関門はあるかもしれませんが、作れないことはないのかな、と。400G・1600G・6000G・17500Gの出玉率で上限と下限の両方に引っかからないかとか、役物比率とか、ボーナス消化が半分を超えないかとか、出玉設計は大変そうな気もしますが。

まだ打ててもいないので、冒頭に書いた“とあるA＋AT”がこの方式かは知りません。同じならば嬉しいですし、違っても別の方法を教えてもらえることになるので嬉しいです。

で、この方式の機種が後から出てきたら、期せずして予習したことになりますし。永遠に出てこなかったら「何か私の知らない内規でダメ」なのか「出玉設計が難しすぎる」のか、何にせよまたヒントをいただけることになります。どちらに転んでも考えただけで一銭も使わずに楽しめちゃっているのです。

ふう。久々に“思考ルーチン”らしい話でしたね。

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佐々木真: 代表作：パチスロ攻略ライターの思考ルーチン

裏モノ全盛期に“ギャンブル”としてパチスロを始めたが、技術介入機時代に最適手順を模索するなど“遊技”としての魅力にはまり、履歴書に大きな穴をあけてしまう。2000年よりパチスロ雑誌などで編集兼ライターの活動を開始。現在は、ほぼすべての機種の発表会や取材に参加。法律・規則などの知識をもとに、根幹システムの推測をライフワークとしている。