6号機の遊技機規則を読んでみよう（延）：1000円46枚の理由

佐々木真パチスロ攻略ライターの思考ルーチン

無事かどうかは分かりませんが、遊技機規則のパチスロ部分の解説が終わりました。遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則の中にある別表第五ですね。

ルールに興味を持てば、違った楽しみが得られるというテイストで書いてきましたが、そもそも規則は遊技機の範疇を逸脱しないことを目的としています。その前段を書き忘れていたことを思い出したので、今回は延長戦とさせてください。今回紹介するのは、遊技機規則ではありません。その大元となる風営法です。

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則

第八条（著しく射幸心をそそるおそれのある遊技機の基準）

一：一分間に四百円に当該金額消費税等相当額を加えた金額の遊技料金におおむね相当する数を超える数の遊技メダル（遊技の用に供するメダルをいう。以下この項において同じ。）又は遊技球（以下この項において「遊技メダル等」という。）を使用して遊技をさせることができる性能を有する遊技機であること。

パチ7編集部
「1分間に400円」という大前提があるので、貸し玉上限4円のパチンコは、1分間に100玉しか発射できないようになっています。パチスロもこの規定に近づけようと、ウェイトやリプレイを搭載して消費金額を抑えるように……努力はしています。1時間で2万4000円以上負けることもザラにありますけどね(笑)　ポイントとなるのは「消費税等相当額を加えた」という部分です。コインの上限は1枚20円なので、内税方式であれば1000円で50枚が上限となります。この文言は“外税方式も許される”ということ。消費税10％なので、コイン1枚の上限は22円に。1000÷22＝45.45(枚) 小数点以下を切り捨てると上限を超してしまうので、現在は46枚貸しの営業までができるということになっています。と、貸し玉料金で調整されていますが、ホールにかかる消費税は、売上でなく粗利に対してです。完全等価であれば、46枚あれば1000円分の景品に。払ったはずの消費税が戻ってきちゃいますもんね。

二：一回の入賞により獲得することができる遊技メダル等の数が遊技メダルにあつては十五枚を、遊技球にあつては七十五個を、それぞれ超え、又は当該入賞に使用した遊技メダル等の数の十五倍を超えることがある性能を有する遊技機であること。

パチ7編集部
遊技機規則でも書かれていましたな。以下、そんな項目が並びます。

三：四百回にわたり遊技を連続して行つた場合において獲得することができる遊技メダル等の数が使用した遊技メダル等の数の二・二倍を超えることがあるか、又はその三分の一を下回ることがある性能を有する遊技機であること、その他短時間に著しく多くの遊技メダル等を獲得することができる性能を有する遊技機であること。

四：千六百回にわたり遊技を連続して行つた場合において獲得することができる遊技メダル等の数が使用した遊技メダル等の数の一・五倍を超えることがあるか、又はその五分の二を下回ることがある性能を有する遊技機であること。

五：六千回にわたり遊技を連続して行つた場合において獲得することができる遊技メダル等の数が使用した遊技メダル等の数の一・二六倍を超えることがあるか、又はその二分の一を下回ることがある性能を有する遊技機であること。

六：一万七千五百回にわたり遊技を連続して行つた場合において獲得することができる遊技メダル等の数が使用した遊技メダル等の数の一・一五倍を超えることがあるか、又はその五分の三を下回ることがある性能を有する遊技機であること。

パチ7編集部
結果としては同じことですが、遊技機規則ではなく大元の風営法が改正されたから出玉率の幅が厳しくなったということですな。

七：役物が設けられている遊技機にあつては、役物が作動する場合に入賞させることができる回数が八回を超える性能を有する遊技機であること。

パチ7編集部
役物連続作動装置とは書かれていませんが、REGのことを意味しています。いや、入賞が最大8回だからそうだろう、とか。打ち手の立場ではこうやって推測していくしかありませぬ。 5号機以降のBIGでは、8回以上連続して小役が揃い続けたりしますが、オートJAC方式が許されているからです。内部的には、8回入賞したら次のREG（JACゲーム）が自動的に開始されています。

八：六千回にわたり遊技を連続して行つた場合において獲得することができる遊技メダル等の数のうち役物の作動によるものの割合が七割を超えることがある性能を有する遊技機であること、その他獲得することができる遊技メダル等の数のうち役物の作動によるものの割合が著しく大きくなることがある性能を有する遊技機であること。

パチ7編集部
全体の払い出しのうち、ボーナス分の出玉について。役物比率ですね。2種BBを搭載している機種は70％まで大丈夫ですが、1種BBやREGのみで払い出せるのは60％までとなります。そこは遊技機規則に書かれていましたね。

九：役物連続作動装置が設けられている遊技機にあつては、一回の役物連続作動装置の作動により獲得することができる遊技メダル等の数が遊技メダルにあつては三百枚を、遊技球にあつては千五百個を、それぞれ超えることがある性能を有するものであること。

パチ7編集部
こちらも法改正されたので、遊技機規則にも反映されたと考えるべきでしょう。2種混合だとBIGは225枚を超えない範囲がラストゲーム。上手く調節しても240枚までとなりますね。

十：六千回にわたり遊技を連続して行つた場合において獲得することができる遊技メダル等の数のうち役物（一回の遊技の結果が得られた場合に作動を終了することとされているものを除く。）の作動によるものの割合が六割を超えることがある性能を有する遊技機であること。

パチ7編集部
「1回の遊技で作動を終了する」をどう捉えるのか。この項目は、遊技機規則にも書かれていなかったと思うので、私もよく分かりません。普通役物で良いのかしら。細かい出玉調整には使えるかもしれませんが、劇的にゲーム性が変わるとは思えないのでスルーさせてください(笑)

十一：入賞とされる回胴の上の図柄の組合せが著しく多い遊技機又は著しく少ない遊技機であること、その他客の技量にかかわらず遊技メダル等の獲得が容易であり、又は困難である遊技機であること。

パチ7編集部
「入賞」とは小役などのこと。リプレイは組み合わせ総数の1/145以上でなければならないなど、ありましたよね。4号機までは組み合わせ数によって許される確率の幅などありましたが……今もあるのかな？まあ、常識的な範囲で作られるでしょうし、打ち手としては深く考えずとも問題ありません。

十二：回胴の回転の停止を客の技量にかかわらず調整することができない遊技機であること、回胴の回転が著しく速い遊技機であること、役物を著しく容易に作動させることができる性能を有する遊技機であること、遊技の公正を害する調整を行うことができる性能を有する遊技機であること、その他客の技量が遊技の結果に表れないおそれが著しい遊技機又は遊技の結果が偶然若しくは客以外の者の意図により決定されるおそれが著しい遊技機であること。

パチ7編集部
遊技機規則の序盤は、リール関連が多かったですね。回転速度の上限や、ストップボタンを操作してから止まる時間など。この条文を実現させるために、細かく規定されているのです。

十三：容易に不正な改造その他の変更が加えられるおそれのある遊技機であること。

パチ7編集部
“別表第五（遊技機規則のパチスロ部分）”にも関連して書かれていたこともありますが、不正改造防止は“別表第三”に書かれています。リードライトメモリーの使用領域の揚力は512KBを超えてはならないとか、内部抽選の周期は0.05秒を超えてはならないとか。説明の自信がまったくないので、割愛させていただきます(笑)

元となるコンセプトは、遊技の範疇にあるということ。ちょっとしたスリル・射幸性はあって然るべきと個人的には思います。そのスリルの量で好みが分かれることも否定はいたしません。ただ、遊技ということは忘れないでおきたいものです。

中身を知り納得して打つ。楽しみの対価として1000円を使うことこそ、ギャンブリング障害の対極にあると私は考えます。

ライター・漫画家を『面白かった』ボタンで応援しよう！
面白かったボタンを押すには無料会員登録およびログインが必要です。

会員登録・ログイン

★面白かった

共有する

URLコピー
Twitter
LINE
Facebook

佐々木真: 代表作：パチスロ攻略ライターの思考ルーチン

裏モノ全盛期に“ギャンブル”としてパチスロを始めたが、技術介入機時代に最適手順を模索するなど“遊技”としての魅力にはまり、履歴書に大きな穴をあけてしまう。2000年よりパチスロ雑誌などで編集兼ライターの活動を開始。現在は、ほぼすべての機種の発表会や取材に参加。法律・規則などの知識をもとに、根幹システムの推測をライフワークとしている。