6号機の遊技機規則を読んでみよう（完）：構造に関する規格

佐々木真パチスロ攻略ライターの思考ルーチン

私事ですが、緊張しております。普段からお世話になっている業界セミナーのディスカッションに登壇することとなりました。このような小難しい話も一部はあるでしょうが、ユーザーの代弁者という立ち位置。放っておいても押し順ナビの跳ねる機械は注目されるので、まったり遊べる機種の大切さも語ってきたいと考えています。

と、言いたいことはヤマほどあるのにまとめるのが苦手なんです。文字を書くのであれば推敲もできますが、話した言葉は引っ込められません。若者の“パチンコ離れ”も業界の課題ですが、若者の活字離れも私のような人種にとっては深刻なのであります(笑)

さて、気楽に文字でも書きますか。いよいよ、遊技機規則の別表第5の最終回です。前回に引き続きパチスロ機の中身に関わる部分は少ないです。こういうところまで書かれているんだな……という感想くらいになるかと思います。

（２）構造に関する規格

ホ：ガラス板等の構造に関する規格は、次のとおりとする。

（イ）図柄の識別を妨げるものでないこと。

（解釈基準）
「図柄の識別を妨げる」とは、図柄を識別することを困難にすることであると解する。

パチ7編集部
（佐々木の解説）
「図柄の識別を妨げる」は大事なテーマになっています。リール回転時にバックライトの色が変化することも禁止されています。ただし、細かい運用は内規で決められているのでしょう。時期によって禁止される範囲は変わっています。オリンピアに『ビーキッズクラブ』という完全告知のシリーズ機があります。4号機時代は、ボーナス成立後は揃えるまで盤面が赤く染まっていましたが、5号機では全リール停止後のみ赤くなりました。

（ロ）凹凸がないこと。

（解釈基準）
本規定は、回胴の上の図柄を識別する部分について、光の屈折率の変化により回胴に表示された図柄が歪んで見えること等、回胴の上の図柄を識別することが困難になることを防ぐため、常時満たす条件が定められているものである。回胴の上の図柄の識別に係るガラス板等(二重ガラス及び表裏両面を含む。)が、凹凸の構造を持つものである場合には、回胴の上の図柄を識別することが困難となる構造を持つものであると解するため当該ガラス板等の当該構造が本規定及び(1)イ(リ)等に抵触する。

パチ7編集部
（佐々木の解説）
曲線美を意識した筐体にしようと思っても、リール盤面だけは真っ直ぐにしなければなりません。パチンコも同様ですね。

ヘ：受け皿の構造に関する規格は、次のとおりとする。

（イ）遊技者が受け皿に受けた遊技メダル等を自由に取り出すことができる構造を有するものであること。

（解釈基準）
「自由に取り出すことができる」とは、いついかなるときでも容易に取り出すことができることであると解する。

（ロ）遊技者が受け皿に受けた遊技メダル等の数をおおむね確認することができる構造を有するものであること。

（解釈基準）
なし。

パチ7編集部
（佐々木の解説）
下皿が開放的なデザインとなっているのも納得。「おおむね確認」は、慣れが必要ですけどね。

ト：イからヘまでに掲げるもののほか、構造に関する次の基準に適合するものであること。

（イ）耐久性を有しない装置を設けないものであること。

（解釈基準）
「耐久性を有しない装置」とは、通常の使用環境下(型式試験時を含む。)において、装置の破損、異常な過熱等を起こすものであると解する。

パチ7編集部
（佐々木の解説）
筐体と線で繋がっている演出用コントローラーのようなものを付けようとしていた機種が「その電線は切れる可能性あるよね？」と不適合になった事例を思い出しました。

（ロ）図柄の識別を妨げることとなる装置を設けないものであること。

（解釈基準）
「図柄の識別を妨げる」とは、図柄を識別することを困難にすることであると解する。本規定は、遊技機について、回胴回転装置の作動中及び非作動中にかかわらず、常時満たす条件が定められているものである。

パチ7編集部
（佐々木の解説）
盤面だけでなく停止後も絵柄の識別は大事なのです。ここに当てはまるかは分かりませんが、バックライトのフラッシュも同様ですね。全リール停止後ならOKとなったり。運用については、5号機の間だけでも、いろいろ変遷がありました。

（ハ）設定変更装置は、遊技者が操作することができない構造を有するものであること。

（解釈基準1）
「操作」とは、人間が目的物に対して何らかの意図を持って直接的に作用を及ぼすことであると解する。

（解釈基準2）
設定変更装置が、間接的な操作、遊技の結果又は偶然その他の作用により作動することを可能とする構造を持つものである場合には、「遊技者が操作することができる」構造を持つものであると解するため、当該装置の当該構造が、本規定に抵触する。

（解釈基準3）
設定変更装置が、設定を切り替え中であることを遊技機外部から認識できない性能を持つものである場合には、「遊技の公正を害する調整を行うこと」を可能とする性能を持つものであると解するため、当該装置の当該性能が、(1)ヌ(イ)に抵触する。

パチ7編集部
（佐々木の解説）
打ちながら設定を変更できたら嬉しいんですけどねえ(笑)　ユーザーだけでなく、ホールスタッフでも営業中の設定変更は禁止されています。大昔にあった“BIGの早がけで設定6”などのイベントが懐かしいです。

（３）材質に関する規格

イ：回胴の材質に関する規格は、次のとおりとする。

（イ）回胴の材質は、鋼その他の材料で回転により破損し、又はその形状が変形するものでないこと。

（解釈基準）
本規定は、遊技機が通常の使用環境下(型式試験を含む。)において、常時満たす条件が定められているものである。

（ロ）回胴の回転軸の材質は、鋼その他の材料で回胴の回転又は回胴の重みにより破損し、又はその形状が変形するものでないこと。

（解釈基準）
本規定は、遊技機が通常の使用環境下(型式試験を含む。)において、常時満たす条件が定められているものである。

ロ：遊技機の枠の材質は、鋼その他の材料で回胴の回転により破損し、又はその形状が変形するものでないこと。

（解釈基準）
本規定は、遊技機が通常の使用環境下(型式試験を含む。)において、常時満たす条件が定められているものである。

パチ7編集部
（佐々木の解説）
似た内容なのでまとめてしまいます。要は、頑丈に作りなさいということですね。鋼と指定されているようで「その他」と自由度もあります。2号機の『ロックンロール』の筐体枠は、プラスチック製としても語られることがあります。

ハ：ガラス板等の材質は、ガラスその他の材料で透明なものであること。

（解釈基準）
「透明」とは、無色透明のことであると解する。図柄の識別に係らない部分に透明でない部材を設ける構造とすることは、差し支えない。ただし、当該遊技機が、当該部材を変動させる等図柄を識別することを阻害する性能を持つものである場合には「図柄の識別を妨げることとなる装置」を持つものであると解するため、当該遊技機の当該性能は(1)イ(リ)等、該当する規定に抵触する。

パチ7編集部
（佐々木の解説）
読んで字の如く。無色透明でない部分が変動するといえば『銀河機攻隊マジェスティックプリンス』を思い浮かべる方もいらっしゃるかとは思いますが、有効ライン視認性は一切阻害していません。非有効ラインのうち、どこを見えるようにするかは変動しても問題ありません。

ニ：イからハまでに掲げるもののほか、遊技機の部品の材質は、温度又は湿度の通常の変化により変質し、又はその形状が変形するものでないこと。

（解釈基準）
本規定は、遊技機が通常の使用環境下(型式試験を含む。)において、常時満たす条件が定められているものである。

パチ7編集部
（佐々木の解説）
温度と湿度は“通常の使用環境下”が前提。薔薇が一瞬でトンカチになるCMを思い出した方はアラフォー以上かと(笑)

以上です！約半年ちょっとかかりましたね。読まれた方もお疲れ様でした。当たり前すぎることまで、しっかり書いてあるという印象を持たれたのではないでしょうか。そして、ゲーム性に関わる部分で決められていることは意外と多くないとも感じたことでしょう。

事細かに決めすぎると、何か問題が発生した場合の対処が難しいという側面もあるますね。この遊技機規則の改正には、またパブリックコメントの公布を経ての施行まで時間がかかりすぎます。

5号機の途中で押し順AT機が規制されたのも、再び6号機で認められるようになったのも。大部分のことは、内規やその解釈で決まっていきます。おイタした際にキュッと首を絞められるのも速いということですね。

なので、内規の方が大事だったりするのですが、こちらは必ずしも公表されるものではありません。出てきた機種を見て、これが認められるようになったのかな？などと推測することしかできません。このような推測をも楽しめるゲームは他になかなかないでしょう。それもパチスロの楽しさの1つであって然るべき。その推測をするための基礎知識が遊技機規則なのです。

この連載での解説が、考えるのもパチスロの楽しみと思ってくださる方々の一助となれば幸いです。さあて、次回から何を書こうかしら(笑)

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佐々木真: 代表作：パチスロ攻略ライターの思考ルーチン

裏モノ全盛期に“ギャンブル”としてパチスロを始めたが、技術介入機時代に最適手順を模索するなど“遊技”としての魅力にはまり、履歴書に大きな穴をあけてしまう。2000年よりパチスロ雑誌などで編集兼ライターの活動を開始。現在は、ほぼすべての機種の発表会や取材に参加。法律・規則などの知識をもとに、根幹システムの推測をライフワークとしている。