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俺の人生3コマ滑り 〜その1〜
俺の人生3コマ滑り 〜その1〜
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たれめさん
ストップボタン押すために仕事してる - 投稿日:2017/02/14 12:14
初めて自力でボーナスを揃えた時は、そりゃあ不格好だった。
何十周と回るリールを親の仇かというほどじっと睨みつけ、必死にタイミングを計りながら図柄を追う。ここだと思った所でボタンを強打気味に押すが、7は遥か数コマ上。
そんな事を数回繰り返してやっとの思いで揃えた隣で、スロットに誘った張本人である友人のi藤さんが淡々と目押しする様を、憧れ半分苛立ち半分で眺めた。
「パチンコも面白いけど、スロットの方が面白いぞ!」
そう言ってパチンコを打ちたがる俺を半ば強引に自分の隣に座らせたのは、いざという時助ける為の優しさ故か、はたまた単純にその台を打ちたかったからという無計画故か。
「通常時もしっかり目押ししろよ。」
周りは全て敵の戦場に丸腰で放り出されたも同然の俺には、頼りにすべき教官の言葉に従う他、選択肢は無い。何故狙うのか、狙うことで何が起こるのかもはっきりとは理解せぬまま、毎ゲーム必死にBARを狙う。
目を凝らしても黒い筋となって消えていくBARを、足でタイミングを取りつつ狙う。傍から見たら、貧乏ゆすりを遅めにする変な奴だっただろう。それでも失敗するよりはマシだと、一回一回時間をかけて止める。
今はちゃんと狙えてていたか?今度はどうだ?逐一尋ねる俺に嫌な顔一つする事なく、i藤さんは答えてくれた。けれども、自ら手を伸ばして目押しをしようとはしなかった。
今思えば、あれはi藤さんなりの優しさだったのだ。自分で目押し出来た時の喜びを、小役が外れた時の期待感を、ボーナスを揃えた達成感を、俺に味合わせるために。この先俺が一人で打つ時、小役をこぼして損することのないように。
その日数度目のボーナスを、思いっ切り滑らせはしたが一発で揃えられた時、嬉しさで背筋がゾクゾクした。隣を見ると「やったな!」という顔でi藤さんが笑っていた。
あの日、目押しを手伝ってもらっていたら、スロットに夢中になることはなかったかもしれない。ボーナス察知の興奮にも、ビタ押しのスリルにも、痺れるような一確目にも出会わぬままに。
人並み程度には目押しが出来るようになった今でも、i藤さんは俺のスロットの先輩で、師匠で、ヒーローだ。
そんな事を、約500ゲーム振りに光ったハッピージャグラーV2の目押しをしながら考えていた。バケの恐怖に怯えながら、あの日と同じ様に、気持ち強めにボタンを押す。やや早めに押した第3停止だったが、なんとかBIGまで滑ってきてくれた。
俺の人生3コマ滑り。
制御とi藤さんに助けられ、今日も元気に生きていく。
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たれめさんの
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このコラムへのコメント(4 件)
本人には照れ臭くて言えたもんじゃないですが感謝しております笑
自分だってやれば出来るんだ!と嬉しくなりました笑