真のクズのお時間 ラスト

二足のわらじ。

最初はイケると思った。

しかし体調を崩したりとガタがきていた。

どちらかを選ばなければいけない。

迷った。

主任や剛腕先輩、栗山さん…素晴らしい先輩達の中で働ける環境を捨てるのか。

俺なんかの文章を評価してくれて声をかけてくれたパチ7を捨てるのか。

寒くなり始めた11月のある日。

俺はまた主任に呼び出された。

主「最近なにかプライベートで変わった事はあるか？」

この人はいつも唐突だ。
そして全てを見透かされている気がしてならなかった。

タ「特になにも…」

主「そっか。なんかさ、お前…上手く言えないけど最近変だぞ？」

パチ7の事は何も言っていない。普通に忙しく仕事をこなしていたつもりだった。

主「小さなことでもいい。なんか無いか？」

タ「いえ…」

主「そっか…。まぁ正直言えばよ、少し疲れてんじゃねーかと思ってさ。仕事に身が入ってない感じするんだわ。しかも急に。心配なんだ。」

あー…この人には嘘つけねーなぁ。
いや、もう嘘つきたくねーなぁ。

タ「すみません。別な仕事をやってます…。」

脳で考えるより先に口走っていた。

そこから今まで黙っていたパチ7の仕事の話を水道の蛇口を全開にしたかの様にバーーーッと喋った。

怒られるな。

そう思っていた。

主任は黙って頷いて聞いていた。

喋り終わると、主任は微笑みながら

主「やっとやりたい事見つかったんだな。良かった…。」

タ「すみません…なので…。」

主「うん、辞めるんだろ？」

タ「はい…。」

主「いいよ。お前が東京に戻りたいってのは分かってたから。キッカケが無かったもんな。でもそのキッカケが出来たんだ。やってこいよ。俺は応援するから。」

タ「すみません…。」

主「でもさ、駄目だった時には意地張らないで帰ってこい。ちゃんと帰ってくる場所は用意しておくから。お前が帰ってくる所はここだ。」

目頭が熱くなった。

ただただ「すみません」しか言えなかった。

怒られるだろう。冷たくあしらわれるだろう。
俺が考えていた事の180度違う事が目の前で起きていた。

すみません以外の言葉を使うと泣いてしまう。

それを察してか主任は俺の背中をバンッと叩いてニカッと笑い去っていった。

その後、日を改めて順々にお世話になった先輩達に挨拶した。

剛腕先輩も、おかしいのは気がついてたらしく飲みに誘われた時に

「タイル、もしかしてだけど辞めるのか？」

そう一言言われた。

1つ年上で、なにかと目をかけてくれた剛腕先輩。干されていた時も何かあれば叱ってくれて、飲みにも誘ってくれた。兄みたいな存在だった。
飲んでたせいもあってその一言で号泣してしまった。

この時も「すみません」しか言えなかった。

こんなに世話になった先輩を辞めるという形で裏切る俺は…クズそのものだな。
申し訳ない。申し訳ない。申し訳ない。

剛「ダサいから泣くなって(笑)大丈夫だ！死ぬ訳でもないしこれで終わりじゃないべ？だから泣くな！泣く暇あるなら飲め！」

俺は言われるがままハイボールを飲み干した。

栗山さんに挨拶した時は…ナイスリアクションと共に

「淋しくなるなぁ…でもWBCのチケット頼めるな！！」

と、栗山節が炸裂していた。

栗山さん…僕WBCの為に辞める訳じゃないんです…。

どれだけの人に支えられて、どれだけの人に見守られながら仕事をしていたのか。

どれだけ自分勝手だったのか。

剛腕先輩…本当に可愛がってくれてありがとうございます。仕事の事では貴方に1番叱られたかもしれません。一見ヤンキーな風貌とは裏腹の仕事に対しての真面目さ、そしてパチスロでの驚異的なヒキ。小さな事でも何かあると心配してくれる優しさ。本当にお世話になりました。

栗山さん…年長者なのにムードメーカーとして盛り上げていた栗山さんは凄いです。何が凄いって若いです。なので早く結婚してください。
そして！もう少し真面目に立ち回りましょ？(笑)
ジャグラーも少しはやってみてください。いつまでも面白おじさんでいてください。本当にお世話になりました。

佐々木主任…迷惑かけました。本当に迷惑かけました。貴方がいてくれたから今までやってこれました。俺は主任に何か出来ましたか？期待に少しでも添えられましたか？
貴方のお陰で僕の中のツララは溶けました。
クソ生意気なガキの俺なんかを見捨てずに育ててくれて本当にお世話になりました。ありがとうございました。

マジでクソな職場だった。
けれど物凄く輝いていた人達ばかりだった。

心からこの職場で働けた事を感謝してます。

名前は挙げませんが、他の先輩方、後輩…ありがとうございました。お世話になりました。

次会った時に笑って酒を酌み交わせる様に頑張ります。

結局…自分勝手な理由で退職した。

良い大人だろ。いつまでクソガキなんだ。

いつまで負んぶに抱っこと甘ったれてんだよ。クズが。

もう後戻り出来ない。いや、出来ないじゃない。戻らない。

死ぬなら前に倒れて死ぬ。

ただ死ぬ前にこんな世話になった人達に恩返さなきゃ駄目だ。

俺がやれる事は1つしかないだろ。

自慢してもらえる後輩になる為に行ってきます。


パチンコパチスロに関係ない話を長々と書いて申し訳ないね。

でも…ここは自由帳だろ？

いつだって俺は自由帳のスタンスは変えない。

俺のやり方で自由帳をフル活用させてもらうぞ。

ただの自己満足…自慰行為でしかないかもしれないけど…このコラムは俺のクズなりの決意だ。

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