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BAR BIG BONUS#8 ロールルーラー
BAR BIG BONUS#8 ロールルーラー
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岡井モノさん
「ダメです」「反応ありません」「完全に沈黙しました」 サーバーが不安定な時は使徒に襲われたネ○フみたいな雰囲気になる愉快な編集部です。 - 投稿日:2016/12/07 02:22
私は業界タレントが集まるバーの雇われマスター。
7の付く日だけに開く店の名前は「BIG BONUS」。
パチスロ好きなオーナーが開業時に、BARという響きを嫌い、せめてもの縁起かつぎにとつけた名前です。
素敵なTOP絵はくりくり。さん
(http://pachiseven.jp/columns/column_list.html?uId=14740#contents)
にいただきました。
話は記憶とweb上の情報を頼りに書いているため、【間違っている部分も多いと思うので、鵜呑みにしないよう】お願いします。
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ドライジン、マラスキーノ、レモンジュース、アンゴスチュラビターズをシェイクしグラスに注ぎ、仕上げにチェリーを沈める。
今夜のお客様は唇を濡らす程度にグラスを少しだけ傾ける。カクテルへの口づけにも見えるそれは、一枚の絵画のようで思わず見とれてしまいそうだ。
「……ん?どうしたのマスター」
大胆にアレンジされたディーラー服、大きな瞳に透き通るような肌、不思議そうな顔でこちらを見る彼女はリオさん。
4号機後期に彗星のごとく登場した彼女は、機械性能のみではなく、キャラクターという魅力で新たなパチスロファン層を開拓し、瞬く間に大人気になった。
私はつとめて冷静を装い声を出す。
「いいえ、リオさんの今の表情で少し昔を思い出しました、ストックタイムを」
「ああ、カットイン演出ね」
「あの演出には悩殺されたファンも多いですよ、『スーパーブラックジャック』はいわゆる萌えスロのはじまりとも言える台でした」
「あれはオーナーがファンサービスにと強引にやらされたんだけど……改めて言われるとなんだか恥ずかしいな」
2003年、ゲームメーカーであるテクモとのコラボレーションにより『スーパーブラックジャック』は誕生した。
初の合法ボーナスストック機である『ブラックジャック777』の後継機、という位置付けではあったものの、期待値5000枚オーバーとも言われるST777の爆発力、カジノを舞台により洗練された演出、なによりリオというキャラクターの魅力は多くの支持を集めた。
「でも、ケンシロウさん、吉宗さんにはかなわなかったなぁ」
当時の思い出を噛みしめるように、リオさんがつぶやいた。
「あのモンスターマシンに並んだだけでも素晴らしいことです」
「それもそうね、みんなにもおぼえてもらえたし」
リオグッズはパチスロキャラクター景品としては異例の売れ行きをみせ、入荷後に即欠品となるホールも存在したほどだった。
その人気は、4号機最強候補の2機種以上の勢いがあったと言っても過言ではない。
「2005年の後継機『リオデカーニバル』も、その人気をしめすように3パネル同時発売、
ストックタイムは無くなりましたが、リオチャンスが連続する仕様で爆発力も健在でしたね」
「後で水着パネルも加わったし、グッズもさらに増えたわ」
「設定看破要素の多さから、どちらかというとプロ志向のスロッタ―に好まれた台でした」
「うん、でもホールでは思ったより短命に終わったの、打ち手だけに支持されてもダメってことね」
彼女は表情こそ変えなかったが、その声色にはくやしさをにじませた。
ホールが盛り上げたい機種と打ち手が望む機種が異なる、というのはよくある話、彼方を立てれば此方が立たず、業界で安定した人気を得ることは至難の業だ。
「続くリオパラではリオさんの魅力が前面に出されていましたよ」
2007年、5号機時代となって登場した『Rioパラダイス』からは主人公として常に液晶に登場。多彩なコスプレやアクションでキャラクターの魅力を十二分に発揮し、支持を集めた機種だ。
私は手にしたシェイカーを置いて続けた。
「かつての爆発力は無いものの、ATのリオタイムで粘りながらボーナスを重ね演出を楽しむ、私も好きな機種でした」
「ふふっ、ありがと、まぁATといって現在のようにも増えるものじゃないんだけどね」
「実際にはノーマル機のような動きでしたね」
「2009年の『Rio2 -クルージング・ヴァナディース-』では増えるRTのリオタイムが搭載されたんだけど……」
「……なかなか難しいものです」
リオ2は全体的な出玉バランスやプッシュボタンでの演出等、厳しい意見も多かった。
機械性能としては進化したと言えるが、事はそう単純ではないというのが難しい。
「評価はまぁまぁ……だったかな?」
自嘲気味に笑う彼女のグラスを交換し、私は一呼吸してから言葉を出す。
「2009年『Rio2プレミアム』はシリーズ初のART搭載機で、前作から全体的なバランスを改善、2011年『リオスパ Rioの大温泉』はノーマルタイプでの登場で遊びやすさを追求、そして2015年の『スーパーブラックジャック2』では119.9%という機会割を実現しましたね」
「……無理に褒めても何も出ないわよ、評価は自分が一番わかっているんだから」
どこか疑うようなまなざしを向けるリオさんとはあえて視線を合わせずに続ける。
「私は日々シェイカーを振ります、もちろん商売だからという理由もありますが、バーテンダーとしての矜持は別にあります」
「……」
「必ずしも結果は伴わないかもしれません、しかしプロとしての自負は決して忘れていないはずです、アニメやパチンコへの出演は、お金儲けのためだけの仕事でしたか?」
「それは自分のため、そして……」
考え込んでしまったリオさんを見て、引出しの奥からトランプを取り出す。
「そうだ、少し遊びに付き合っていただけませんか?」
「あら、カードで私と勝負する気?まさかブラックジャック?」
「いえいえ、簡単な遊びです、好きなカードを選んで下さい」
仕掛けの無いカードであることを確認しながら、慣れた手つきでハートのAを選んだリオさん。得意分野であることからか、先程よりいくらか楽しげにも見える。
「カードを選んだら、私が持つ束の一番上に伏せて置いて下さい」
「こう?」
彼女は選んだカードを置いた。
「……さて、私は毎日シェイカーを振って酒を混ぜています、カードをシェイクした時にも、うまく混ざるような気がするんです、少し試してみましょう」
私は両手で上下を挟むようにカード束を持ち、そのままゆっくりと上下に数回振る。
そしてカードの行く末を見守る彼女に改めて質問する。
「リオさん、一番上のカードは何だと思いますか?」
「えっ?終わり?カットもしてないんだからハートのAのままでしょ?」
手のひらにカード束を載せて差し出し、一枚めくるように促す。
彼女がカードをめくると、そこに出てきたのはスペードの7。
「……えっ?どうして?」
「うまくいきましたね、バーテンダーを続けていてよかったです」
「ねぇ、どうやったの?教えて?」
「秘密です」
「えぇ、教えてよぅ」
食い下がる彼女に、今度は目を見て答える。
「……リオさんは口が固いですか?」
「え? ええ、そうね」
「絶対誰にも言いませんか?」
「や、約束するわ」
「……私もです、秘密は誰にも言いません」
笑顔でかわした私に「次は見破ってみせるわ」と言い、彼女は今夜のカクテル『カジノ』を飲み干した。
リオさんを見送った後に私は考える。
あの時彼女は、私の下手な手品のタネを見破っていたような気がします。
わかっていながらあえて付き合った、
「お客様がお望みなら」
経験がそうさせるのか、彼女自身の信条か
良いディーラーは良い客になる、粋な遊び方を知っている彼女ならではでしょう。
カウンターテーブルに残されたトランプを一枚めくる、そこにあるのは、ハートのA。
SEE YOU NEXT BONUS…
9
岡井モノさんの
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このコラムへのコメント(10 件)
私はメンフクロウだったのですね。いえ結構、猛禽はいつも機会をうかがっています。
(・ ν ・)ビッポー!
シャレてる!!!
渋い!渋いよ岡井メンフクロウさん!!!(・ ν ・)ビッポー!
しびれました!!!
少し格好つけすぎましたね、いやはやなんとも。
想像力はアニメ化すら可能にしますね。
さすがのクリエイティブマインド。
実は見た目ほど優しくないのかもしれませんね。
よく言うじゃないですか、幸運の女神には前髪しかない、って。
いろいろあってご無沙汰しておりました、また開けた時にはぜひお立ち寄り下さい。
脳内でアニメ化しました。
今度理由を聞いておいてくださいw
しばらく休業してました
…よね?
ま、まぁまぁ!
次の7に期待しますよ(*´ω`*)