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サクラの花道 裏通り1
サクラの花道 裏通り1
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咲夜 一咲(サキヤイッサ)さん
月一ペースでコラム書いてます 偏見もあるので生暖かく見守って下さい - 投稿日:2016/09/12 16:28
男は歩き回っていた
パチンコ店舗を何店舗も
近くにパチンコ屋があれば、とりあえず入り、パチンコの釘を見ていた
そして、釘を見て男は、こう思っていた
---この釘じゃ、ダメだ
お店のパチンコの釘を一通り見て回っては、男は打たずにお店を出た
「ふぅ、これで、今日だけで40店舗は回ったな」
タバコを吹かしながら男は自動ドアを抜ける
男はしかめっ面をしながら空を見上げる
「あんなヘソが外に向いてて入りやすそうな釘じゃダメだ。
もっと、ヘソ釘が内側に向いてる店じゃないと」
男は普通のパチンコ打ちが狙う台と真逆の台を探していた
普通のパチンコ打ちは回転数を稼ぎ、少ない投資で当たる事を目指す
しかし、この男は、わざわざ当たるまでにお金がかかるような事をしていた
男の身なりは、決して裕福とは感じ取れるものではない
それでも、この男は、しっかりとした意思で、回らない台を探していた
しかも、ただ回らない台ではなかった
「もっと、へそに玉が乗っかるくらい内側に向いてる台を」
夕方になり辺りが暗くなって街灯がつき始める頃、パチンコ屋のネオンも光る
それは、まるでイカ漁で光らせるライトのようにパチンコ打ちを釣ろう釣ろう、と誘い水のようにビカビカと光らせていた
パチンコをやらない人から見れば、パチンコ屋のネオンは、そのように見えるのかもしれない
その光りにスッと吸い込まれるように男も、次の店舗に入っていった
店内は、まばらに客が座っているが、パチンコには、ほとんど座っていない
スロットには、数人が座っているが、打っているのはジャグラー
しかも、履歴は悲惨
夕方にもなるというのに0回転の台もチラホラ有り設定を使っているとは、到底言いがたい
男は、この状況に、ひそかに期待をしていた
---この店、もしかしたら、俺が求める台があるかもしれん
男は釘を見て、なるべくヘソ釘が内側を向いている台を探した
そして、ついに、発見した
「この海の釘、これなら、いける!」
男は鋭いまなざしで台を見据えながら着席する
一万円札を貸し出し機に突っ込み、パチンコ玉を借りる
まず、ヘソ周辺に玉が全然いかない
マイナス調整、所ではない
ここまで行くと悪意すら感じる
千円分の玉で1回転すらしない
普通なら、これで席を立つものだが、男は口角を引き上げ、不気味な笑顔を見せる
---この台なら、いける!
そして、二千円目の貸し出しボタンを押す、と、同時にスマホをポケットから取り出した
パチンコ玉を打ち出す音とパチンコ玉が釘に当たる金属音だけが聞こえる
1回転もしないまま、三千円目の貸し出しボタンを躊躇無く押す
三千円目分の玉を打っても台はうんともすんともいわない
三千円目の玉があっという間に尽き、更に四千円目のパチンコ玉が尽きようとしていた時、ついに男が待望していた瞬間が訪れる
---乗った! ヘソに玉が!
男はスマホを手に取り、その様子を撮影する
そして、台の呼び出しボタンを押す
近くの店員が歩み寄ってくる
「休憩でしょうか?」と店員がテンプレの質問を投げかけてくる
「いや、ちょっと、今日のお店の責任者の方を呼んで貰えます?」と男は落ち着いた感じで言う
「え?あの、どうされましたか?」と店員は自分の想定していない答えに困惑している
「いいから、早く呼んで来てくれよ」
男は語気を強め、威圧するように言い改めた
店員も、それを察したのか慌てて、顔を引きつらせながら対応する
「し、少々、お待ち下さい。今、店長をお呼びします」
インカムで店長を呼ぶ店員を、男は、ずっと鋭い目で見続ける
1、2分ほどで店長と思わしき男が現れる
ネームプレートには「店長 土屋」と書いてある
「お客様、どうなさいましたか?」
顔色を伺いながら土屋は男に問いかける
「ここのヘソさ、見てくれ」
そこには、ヘソの上にパチンコ玉が乗っている台が、ある
土屋は、しまった、という顔を一瞬見せた
「申し訳ございません、お客様、どうぞ、事務所の方へ、お越しください」
その促しを受け、男は、スッと立ち上がる
事務所には、土屋と男が応接室で対峙する
「申し訳ございませんでした、お客様」
土屋が、まずは深々と頭を下げる
「このような事が無いよう、今後は努力いたしますので、どうか、この事は内密にお願い致します」
土屋は、レシートを机の上に出した
レシートには、1万円分ほどの景品交換と可能なレシートがあった
「これで、どうか、今回の事は、ご勘弁ください」
男が机を叩く音が響く
「お前、舐めてるのか?」
「いえ、滅相もございません」
頭を下げながら土屋は焦っている
「こんなチンケなもんで済ませれる訳ないだろ!あぁ!」
怒鳴るわけではないが強いプレッシャーを与える口調で、男は言う
「さっきの台よ、釘にヘソの乗ってたの、あれ、動画にしてキッチリ収めたぜ。
これを、ここの公安委員会とネットに店名も添えてチクったら、どうなるか分かるだろ?」
そうなると、お店が営業停止になる可能性は高い
最近、釘問題だなんだ、と、こういう話に世間は敏感になっている
そんな中で、このような騒動は店舗の死活問題に直結しかねない
「それだけは勘弁してください!」
少し青ざめた土屋を、男は不気味に笑う
「そうだな、そっちが、ある条件を飲んでくれたら、いいぞ」
「その、条件とは?」
「バジリスク絆の6が、打ちたいなぁ・・・」
パチンコ業界が大いに揺れ転換期ともなった2016年の夏ごろ
桜田道夫の計画は、ここから始まった
全ては、この男の理想のため
多くの人々が、この男に振り回される事になる
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咲夜 一咲(サキヤイッサ)さんの
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このコラムへのコメント(7 件)
コメントありがとうございます
場面展開の区切りの悪さについては、ちょっと考えてみます
後で、ちゃんと表現しますが、現代の裏と、ちょっと未来の表が、お互いに補完しあうようにしたい、というのをコンセプトにしてます
なるべく、頑張ります
改行多いの読みやすいと思うけど、逆に段落とか場面転換がわかりずらくなってると思うわ。
段落がない文章って、どこまで行ったら一息つけるかわからなくて、読み初めるのが億劫になると考えてるわ。
1話目流し読みしたとき、ミステリー
調だと勘違いしてしまった笑
句点は別に気にならなかったよ。悪くいっちゃ携帯小説なんだし、読みやすければいいと思う。
でも、導入部分?あらすじ的なものが短めにあったら文章に入りやすいかなとおもった。
設定や背景については、間違ったこと書いちゃうと冷める人もいるだろうから気を付けて書かなきゃなのかも。
今回の内容、展開次第ではおもしろくなりそうな気がしたわ。
主人公がどんなことするのか楽しみ。
1話目の表通に違和感なく着地する展開になったらおもしろいなあと。
がんばってね。
コメントありがとうございます
句点は、横書きという事もあり、不要かな、と思って付けてませんでしたが変ですか
それと、死因については確かに、そうですね
ただ、新聞の見出しが事実である必要はなく後で他殺ではない流れにして辻褄は合わせます
一般人には開けて問題になる、って言われても意味が分からないと思うので、閉める方向にしたんですが、そんなに変でしたか
証拠は、動画にする予定だったのに写真になってましたね、修正します
色々、アドバイスありがとうございます
一応前回の分も読ませてもらっての感想になります。
とりあえず気になった部分をいくつか。
句点を打たないのは何かしら意味があってのことなんでしょうか?
ときおり謎の行間があったりするのも気になりました。
自由帳という枠の趣味で書かれている作なすので、あまりこういったことを指摘するものどうかと思いましたが、気になりましたので。
文章作法 小説などで検索したら勉強になるかもしれません。
物語の内容についてですが、かなりご都合主義が目立つように感じました。
例えば、1話目だとホームレスが相手で、簡単に電話繋がったり(ケータイ持ってるの?しかもそれに他人が出るの?遺産相続とかそんな事言ってる状況じゃないんじゃないの?殺人事件だよ?ってなりました)。
で、今回の話、後半のヘソに釘が~の流れがそれはさすがにちょっとないんじゃって思いました。
普通の店なら稼働停止にして、多少出玉保証して終了だと思います。
扱いとしては釘折れと同じ扱いになると思うんですよ。そもそも釘をいじった証拠はないので何の罰にもならないと思います。多分、最悪なパターンで指導レベルかと。
締めるより空ける方が問題になりやすいですし。
それに今だとヘソより一般入賞口、いわゆる入賞ポケットに球挟まった方が問題になります。釘問題でやばいのはヘソではなく玉だけ払い出しのある入賞口です。
そして写真ではなく動画じゃないと証拠としては厳しかったりします。写真だと連写すればどうにかなってしまうので。
事務所内で行われているのは完全に脅迫なので警察に連絡して終了です。
裏基盤つかってるとか、遠隔してたのばれるとかのがリアリティあるような気がします。
その辺のリアリティしっかりするか、いっそのことファンタジーレベルで無茶苦茶するかすれば良くなるんじゃないかなとおもいました。
色々と書きましたが、頑張ってください。続きたのしみにしています。
コメントありがとうございます
何話になるかは、ちょっと不透明ですが、表裏合わせて10話くらいにしたいな、と思います
続き気になります…。
全何話くらいなんだろうか…。