千一夜物語

完璧なスロットなどといったものは存在しない。
完璧なホールが存在しないようにね。


やれやれ。
僕は頭を振った。まずは今日のチャンスメイクのことを考えよう。
さきほどからラクダがしきりにこう言っている。

「ブヒー！」

気が付くともう天井近くなっていた。


やれやれ。僕は頭を振った。
そのとき背後から「ブヒー！」と聞こえたが振り返るのはやめておいた。



そうこうしているうちにローズが言った。

「激アツよ。」

ローズというのはお忍びのお姫様だ。
全く近頃の若い女というのは貞操も何もあったもんじゃない。



そのあと彼は闇の谷を抜け、当然のようにSACに突入した。
僕は本当はこうなることを望んでいなかった。
なぜかそんな気がした。


時刻は夜の9時30分。


そう、物事のタイミングを間違えるとろくなことにならないと
僕はうすうす気がつきはじめていた。


3,000枚ぐらい出したところで、店員に声を掛けられた。

「スミマセン。閉店のお時間です。」
なるほど。わかるような気がしますと僕は言った。

AC350ゲームほど残して席を立つ。


会員ならあと5分長く回せたようだが理解できるところもあったし、できないところもあった。

奇妙に絡みあった複雑な状況の中で、僕は新しい一歩を踏み出した。


背中から声が聞こえた。

「ブヒー」

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