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俺と設定6
俺と設定6
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ダストさん
- 投稿日:2021/04/24 12:04
20年ほどパチスロを打ってきたが、設定6を確信したことが、殆どない。
大ガメラで7000枚出した時もBIG中のハズレがぶりぶり出た。ハナハナのBIG中でこれだけスイカが出たら間違いなく閉店コース、というくらい出た。
大勝ちした時はいつだって爆裂トリガーとなるプレミアフラグに頼ってきたし、ノーマルタイプで出したといっても低設定のマグレ引き、という可能性もある。
昔は営業中に札がささり設定確認OK、なんて店もあったが、俺の台でそれが許されたのは設定6のバーゲンセールだった北斗SEのみ。あの時の「お、おう…」感は忘れることができない。俺が欲しいのそんな6じゃない。
例えばカイジの6。292以上ははまらない。6丸出し。
巨人の星の6。特訓が単発か3連。1280以上はまらない。
コンチ4Xの6。死ぬほど出るらしい。
そんな数ある夢の設定6の中でも俺が特に憧れたのが、獣王の6だ。
ハズレ=ほぼサバ。
朝一純ハズレを引く。その度に願った。そして、裏切られた。
いつの日か獣王の6、打ってみてえなあ。
そう信じながら打ち続けるもいつも叶わず、財布の中には丸井の明細だけが増えて行った。
時がたち、新たな爆裂機が次々と登場し、獣王も通路の片隅に追いやられた。そんな台に6を入れる店などあるまい。俺も獣王の6が打ちたいなどという夢はとうに忘れ、他の爆裂機と戯れる日々を過ごしていた。
そんな日々を送る中、コンビニでパチスロ必勝ガイドの表紙を見て度肝を抜かれた。
猛獣王だと…!!
なんと獣王の後継機がデビューするというのだ。
新台なら6を入れる可能性も充分ある。チャンスはここしかない。
ガイドで猛獣王の記事を読み、その出玉を想像して心を躍らせながら新台導入を待ち侘びていたのだが、なんと導入日は夜勤明けだった。
クズを自認している俺とはいえ、さすがにパチスロの新台を理由に会社を休めるはずもなく、仕事が終わる10時にホールに向かうも、猛獣王は満席だった。
当然だよな、と思いつつ、職場のある大都会から自宅周辺の千葉県某市まで移動し、近隣のホールを回るもやはり満席。しばらく待っても空く気配すらない。
さすがに初日は厳しいか、とトボトボ家路についたところで、そういえばもう一軒、行っていないホールがあることに気づいた。
そのホールは初代のシオサイがあることだけが魅力で、当時主流だったハイハイシオサイの華の形が個人的に気に入らず、シオサイの光を今すぐ浴びなければ死ぬ、という場合にだけ訪れていた。当然客付きもほとんどなく、特にスロットコーナーは、俺と同様にシオサイを力一杯叩く歯のないジジイしかいなかった。
店員も自分の知る限り、ホールに出ているのは痩せぎすの黒服一人で、どうやってこの店の経営が成り立っているのか常に疑問を感じていた。
当然出玉も無いに等しく、コインサンドから四次元で繋がった黒服の財布に直接俺の千円札が入っているんじゃないか、という想像をしてしまうくらいだった。
こんな店にサミーさんも猛獣王を卸すまい、と半笑いで自動ドアをくぐると、いきなり4台の猛獣王が視界に飛び込んできた。しかも先客は一人、まさかのシオサイ歯なしジジイだった。
一瞬、こんな店で新台とはいえ猛獣王を打つなんてお金捨てるだけだぞ、という考えが頭をよぎるも、反射的にジジイと一台開けた台に飛びついていた。お金なんて捨てたっていい。いまこの瞬間、この台には設定6の可能性がある。とりあえず、純ハズレ2回引くまでは打とう、と決意した。
俺はこの時点で、猛獣王のスペックはボーナス確率くらいしか知らなかった。
当時はガイドといえども新台と同時に解析、というのは難しく、プレイヤーは自分で色々予想しながら新台を打つ、というのが当たり前だった。
まあ、獣王と同じだろう、はやく純ハズレ二回出て俺を殺してくれよ。
そう思いながら次々と黒服の財布に千円札を飲ませていたのだが、純ハズレどころかボーナスすら引かない。さすがに焦りを感じ始めた投資20000円、待望の純ハズレからまさかの低確サバチャンをゲットした。
ええ…!んなあほな…!
普通の店ならば着ていた服を全て脱ぎ去り歓喜の軍艦マーチを大声で口ずさむ場面だが、ここはシオサイの店だ。そんなハズがねえ。まさか…2か?この店で2なら…僥倖…!
と、一人でぶつぶつ言いながら初めての猛獣王でのサバチャンを消化していたのだが、リズムが獣王と違うし、通常時の演出の液晶が自分の好みと合わないし、ライサバが全部10Gで終わるし、何より獣王の6では単発か3連で終わるはずのサバチャンが7連もするし…
ボーナスの引きも悪く、次の純ハズレまでにサバチャンで得た出玉もペロリと飲まれ追加投資、当然のようにサバチャンには当選しなかった。
新台初日に猛獣王に触れることができたし、サバも味わえた。これ以上こんな店にいる意味はない。そう思って席を立った。視界の端に黒服の姿を捉えたが、心なしか寂しそうだった。「猛獣王いれても、ダメか…」その背中は、そう言っているように見えた。
その後、猛獣王に触れる機会は殆どなかった。
客付きが凄くて座れない、というのもあったが、演出があまり好みでなかったというのと、その頃ほぼ同時期に導入された巨人の星にどっぷりハマっていてそれどころではなかった、と記憶している。
巨人の星の奥深い演出に心奪われ、もっと巨人を知りたいと、ガイドを購入し、目次で巨人のページを探していると、猛獣王の解析値が載っていることに気がついた。どれどれ、あの日の俺は設定2でどれだけの神引きをかましたのかな、と低確での純ハズレによるサバチャン当選回数を見ると…7連すんの、ほぼ6しかねえ…しかも6だけぶっちぎりで純ハズレの確率が低い…そして、純ハズレからのサバ当選は50%…!
もしかして、6だったのか?
そう思った俺はいてもたってもいられず、自転車を飛ばしてシオサイの店へ向かった。
相変わらず、客はいなかった。その日はシオサイジジイすらもいなかった。
それでも、あの日の猛獣王はきっと6だった。この店だってやればできる!
結果、純ハズレはバンバン出て、一度もサバチャンには当選しなかった。REGでも当選しなかった。当たり前のように6万ほど負けた。店を出る時黒服に視線を向けると、クスクスと笑っているように見えた。
その後、他の店にシオラーが入り、その華の形が好みであったため、シオサイの店にいくことはなくなった。数ヶ月後に店の前を通ると駐車場になっていた。黒服の給料を支払っていた俺がいかなくなったのだから、潰れるのも必然、と思った。
我が人生において、数少ない爆裂機の6だった可能性のある台を自ら捨てたことで神の怒りを買ったのか、その後「もしかしてこれ6かもチャンス」はほぼ訪れなかった。
時が過ぎ、己の積み重ねた人生のパチスロでの負け額と向き合った時、もはや勝ち組になるのは夢物語と悟った。
家庭を持ち、パチスロからは距離を置く生活を送っていたある日、娘に「狼少年」の絵本を読んでいた時、ふとシオサイの店を思い出した。
あの時信じていれば、夢が叶ったのかもしれない。
急に黒服に会いたくなり、シオサイの店の跡地に足を向けた。
そこには相変わらず、駐車場があるだけだった。
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ダストさんの
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このコラムへのコメント(10 件)
読んで頂いてありがとうございます!
子供に「いつも嘘をついていると肝心な時に信じてもらえないよ」と狼少年の教訓を話しているときに、「そういえばあの店、普段1ばっかりだったから高設定だと思えなかったなあ」と急に思い出しまして…。
自分はライサバで常に10をひき、「ああ、ほかのにしときゃよかった」と後悔するタイプです。
読んで頂いてありがとうございます!
自分が巨人で1番好きなのは、レバーオンうふふで特訓ストックが確定した状態で、リプ8回で特訓発動せず、64G以内当たり確定する瞬間です!
おいおい、夢は無限大かよ、と思いました
昔の6は夢があったよなあ
読んで頂いてありがとうございます!
あと、1200G超えたら急にチェリーが重くなる機能が付いている気がします(谷村脳)
読んで頂きありがとうございます。
猪木はバケの50%で注入でしたっけ?
50%ってなかなかの罠ですよね…
そんなレアな状況にずっぽしとハマり、なんで1200G越えてチェリー引いたのに天井が発動しないのか『手前にも分かりませぬ』とあの時の慶次の様な顔で言ったK君。
傾く……そう朝イチから傾き通す漢達に溢れていたんだよね。当時のホールって戦場だった。なんか当時の情景が浮かんできて、まだ夏じゃねーってのに 目から汗が止まんねーや(タハハ)
5スロで18時開放だったのが救いです。
本当に娘に狼少年を読んだときにこのホールを思い出して久々に投稿しました。
読んで頂いて、ありがとうございました!
読ませるストーリーでした、素晴らしい!