第六感

悪い予感は常に当たるもの。


小雨の降る田舎町。

バスに揺られ、都会の映画館へ。

初デートで心が踊る。


隣町に住んでいる彼女がバスへ乗ってくる。

笑顔で迎えるも、どこかぎこちない。

学校でも話しかける機会がないから

そのせいなのだろうか。



映画まで時間があるので、

喫茶店で時間を潰す事に。

しかし、相変わらずぎこちないまま。

会話もなく、無言のまま流れる時間。


そこでふっと気づいてしまった。

…いや。なんとなく気づいていたのかもしれない。


だから、こう切り出した。

「…何か言いたい事があるんでしょ？」

無言のままうなずく彼女。

「当ててあげるよ。別れたいんだね？」


またも無言でうなずく彼女。今にも泣き出しそう。

「なんとなくわかってたからさ。泣かないで。」



ごめんなさいと呟く彼女に、

一つだけお願いをした。



一緒に映画だけは見てくれないかって。



ありきたりな、最初に結末を誰にも話さないで。

そんな画面から始まる映画を観賞し、感動していた。


帰り間際まで映画の話をして、バス停まで彼女を送る。


「俺はまだこっちで寄りたいところがあるから」


嘘である。辛くて一緒に帰る事ができなかった。

遠ざかる後ろ姿を見ながら、逆方向へ歩いていく。



…ちなみにこの時、同級生がいたのだが、

あまりにも重い空気に、話しかけるのをやめたそうだ。



さて、せっかく来たのはいいけれど、

特にやる事もないし、

多目に持ってきたお金も結局使わないまま。


こんな時はパチンコでもするか。

暇潰しという名の言い訳。

何かしていないと泣きそうだったから。

どうせ使ってなくなるはずのお金なら、

パチンコで負けたらスッキリするだろう。

近場のホールへ入り、

適当に選んだ現金機のルパン三世。


打ち始めて500円目。

回っているデジタルが止まらない。

いつもなら止まるのに、止まらない。


あれ？まさか故障かよ？

オイオイ勘弁してくれよ……と思ったその時、



急に画面が撃ち抜かれ、



「777」図柄が揃っている。



プレミアの百発百中リーチだ！


その後も時短しか搭載していない機種なのに、

かかるリーチが簡単に当たる。


500円は2万円に変わり、

ギタースコアとCDを大人買い。

パチンコやっぱり楽しいや。




頑張ってみるか、

やれるだけ、頑張ってみるか。



そして私は夢へと走り出す。

だが、この後に待ち受けている結末を

私はまだ知らなかった。



追伸

出禁物語から派生したこのお話。

書きましたよ。

11