あの夏の大花火

「今年も綺麗ね」と

あの日も同じ気持ち、

同じ思いで回すはずだった。

でも違ったんだ。

これが最後の別れになる事は決まってた。

だから会いに行ったんだ。

ホールにひっそりと置かれた大花火は

リールが歪み、バックライトも切れてた。

そんな事は気にしない。

今日はいくらでも負けてやる。

全財産を持ってきた。とことん付き合ってやるさ。

そんな思いが通じたのか、２Ｋで間延びが発生。

（注…間延び＝チェリーorBIGの激アツ演出）

左に青七を狙う。下段停止で１確（１リール確定）

大好きな出目、中段に青七を狙って

一番好きなリーチ目を出して、

最後の右リールはあえて外してみた。








一瞬の闇から生まれる、真・線香花火。







思わず泣いた。こんなに泣けるとは思わなかった。


リプレイ外しを使えば６００枚は取れる。

でもリールは歪み、

バックライトの切れた大花火では

ハズシは難しい。

あっさりミスって５００枚も取れなかった。


片隅の壊れた大花火に設定なんか入るはずもなく

そのまま飲まれてタイムアップ。

でもそれでよかった。妙に清々しかった。


４号機から５号機に変わる頃、

みんな終わった、スロットは冬の時代だと嘆いた。

だけど今、冬の時代じゃない。

あの頃と同じ


いや、あの頃より進化した台が打てるって

幸せな事。


これから６号機になって、

冬の時代だと騒がれてるけど、

そんなに悲観する事はないよ。

また素晴らしい台が増えて

今日はどれを打とうかなって悩む時代がくるよ。




僕は

散ってく季節を一緒に生きていける人を見つけたよ。

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