目押しをマスターしよう（実践編）

佐々木真パチスロ攻略ライターの思考ルーチン

パチスロでリールが1周するタイミングを刻むリズムは、BPM80にセットしたメトロノームのアプリで学べることがわかりました。それに合わせて、目の動きや、指でストップボタンを押すイメージトレーニングをしたら、いよいよホールでの実戦となります。それにあたって重要となるのが、機種選びです。

オススメしたいのは『アイムジャグラー』シリーズです。『マイジャグラー』シリーズも同様にOK。基本的に『アイム』か『マイ』の名前が付けば、ほぼ同じです。設置台数も多いので、どこでも練習できることでしょう。5円スロットなど“低貸し営業”にあれば、授業料も安くつくかと思います。

これらの機種を選んだのは、絵柄がゴチャゴチャしすぎていなく、それぞれのリールを通してステップアップできること。そして、GOGO!!ランプが点灯したらボーナス確定となる完全告知機というのが理由です。告知されていなければ、いつヤメても問題ありません。難しいことを考えずに目押しの練習に集中できますね。練習を開始してすぐに当たった場合は、ヘルプを頼めるホールならば揃えてもらっても構いません。ただ、ボーナス消化中にしっかり練習しましょう。損をしないところで練習できる格好の機会です。

継続は力なり。慣れていない目押しの練習は疲れるかと思います。そういう時に頑張って続けると逆効果となることもあるので、短時間でも集中して。疲れたらヤメてしまうくらいで構いません。ただ、マスターするまでは、間を置かないほうがコツを忘れにくくなるので、少しでもホールに足を運んでください。

1リールずつステップアップ

まずは、リール配列を見てみましょう。揃えたい赤7は、左リールと中リールに2つ。右リールは1つ。そのほかに目安となるBARは、左リールに2つあって、中リールは1つ。右リールは赤7のすぐ下に配置されています。

本来ならば、左リールはBARを狙うとチェリーをカバーできるから……となりますが、いきなりそれは難しいと思います。2つある絵柄を見分けるのは、もう少しあとのこと。まずは、赤7とBARがかたまってある右リールから始めましょう。いきなり右リールを押すのは、ほかの人がやっていないから恥ずかしい。そういう場合は、左と中を適当に止めてしまって構いません。

右リールを眺めてメトロノームの練習を思い出しましょう。BPM80（約0.75秒）の周期で、視線を上下させる動作を正確にできていれば、同じ絵柄が通過していることになります。何か見えてきませんか？

もちろん、何も見えないこともあるでしょう。赤7近辺以外は小さな絵柄しかありません。一度、視線をそらすのもあり。赤7近辺になるまで何回か繰り返してください。それで見えないとすると……おそらく、まだタイミングが合っていないかと思います。今の『アイジャグ』は、リールをそのまま回していても止まらないので、見えるまでずっと眺めていても大丈夫ですよ。

見えるようになったら、視線と手を合わせた練習に移ります。「いち……に……いち……に……」でも「いち……にの……さん」でも。心の中でカウントを取りながら、ストップボタンを押してみます。赤7が近くにある比率が高ければ合格です。きっぱり申し上げて、これを繰り返すしかありません。

これができるようになったら、次のステップへ。中リールです。1つしかないBARを探してみましょう。右リールの赤7はすんなりできても、少し離れた位置にある2つの赤7が目立ってしまうので、これは難しいかもしれません。で絵柄が見えなくても、赤7が邪魔と思えれば、かなりの進歩かと思います。見えるようなら、かなり脈アリ。右リールと同様に、狙ってみましょう。

ラストは、左リール。赤7もBARも2つずつあるので厄介です。ただ、絵柄を見つけてから、BPM80のリズムで見られれば同じ絵柄が降ってくるはず。BARまで見える人は、BARを狙ってみてください。

BARが見えない方は、赤7でも構いません。……が、赤7を押すタイミングを少しだけ遅らせてみましょう。今まで上段にくるところをイメージしていましたが、下段から落ちていくところでタイミングを取り始めてみましょう。赤7の5コマ上には、BARがあるものでして。赤７を遅く押せば、BARがくる。見える絵柄を目安に、見えない絵柄を狙うことを“タイミング押し”と言います。

かく言う私も、昔はタイミング押しでした。ただ、いつの間にか全絵柄が見えるようになっていました。“ある日、突然見えるようになる”そう友人から言われた方もいらっしゃるかと思いますが、それもまた真実です。

私が見えるようになったのは、目押しさえできれば勝てる機種を毎日のように13時間、打ち続けたからかもしれませんね。何より大切なのは、努力を続けること。もちろん、見えないままのこともありますよ。そういう友人もいますが、見える絵柄の真裏にある絵柄まで1.5コマ精度くらいで止められています。何段階かのカベを経ることになりますが、続けていれば少しずつ上手くなっていくものです。諦めていたら、絶対に上手くなりません！

……で、終わったら“スポーツ”の部分を書かないことになってしまいますね。ここからですよ。

フォームを固めよう

絵柄は見えているけど、しっかりと押せない。ある程度は押せるけど、精度が上がらない。そういう方の多くは、リズムが正確でないか、リズムを正確に表現できていないかのどちらかです。野球やテニスなど。ボールがくるタイミングに合わせるスポーツの選手は、自分のフォームを必ず持っています。それらの球技より、目押しは簡単です。同じ場所に同じタイミングでしか、狙いたいボールがこないのですから。

メトロノームの練習で「指でトントンとリズムを刻む」のを最初に持ってきたのは、叩いたところを基準にリールが1周する間の動作を固めやすくするためでした。目押しの精度が上がらないという方の多くは、自分のフォームを持っていないんですね。押したい絵柄が通過したタイミングで始動するのは同じですが、ストップボタンに辿り着くまでの過程が固めきれていないのです。慣れてきたらバラバラなフォームでも押せるようになりますが、私でも気合いを入れて押す時は、何万回と繰り返したフォームに戻します。

大事なのは、動作を開始する位置を固定することです。大半の方がやられているフワっと空中で……というのは、椅子と台の高さや距離によって左右されます。また、疲れてくると手が下がることでしょう。初級者には、あまりオススメできません。

私の場合は、下パネルに指を置くのが基本ポジション。グッとパネルを押すのが開始動作で、そこから円を描くようにストップボタンに。この一連の動作をBPM80のリズムにしているので、見える絵柄は1コマ精度で押せています。

これは、あくまでも一例。それぞれベストとなるタイミングの取り方は異なります。私は、やや距離のある円軌道のほうがズレなかったというだけで。もっとも教科書的なフォームは、ストップボタンのすぐ横に手を置いてから始動することでしょうか。これならば、どのホールのどの機種でも動作の距離が変わることもありません。私は、これでやると精度がかなり下がりますけどね。

プロ野球選手のバッティングフォームに個性があるように、自分に適したフォームは、自分にしかわかりません。それを見つける試行錯誤も、スポーツ的な感覚ではないでしょうか。

目押しとは、音楽＋スポーツです！

偉そうに講釈を垂れましたが、私も目押しが完璧というわけではありません。ここ一番の目押しは、90％くらいと精度がどうしても下がってしまいます。失敗したら損をする……いや、誰が見ているかわからぬインターネット文明。「ヘタクソだったよ」と書き込まれやしないかというようなプレッシャーのほうが強いかもしれません（笑）。

最終的には、己の心との戦いになるのです。このあたりもスポーツに通じるところがありますね。ただ、目押しがある程度できるようになると、収支のためだけに目押しするのではないと気がつくはずです。パチスロは楽器だと思っています。同じ楽器でも、奏でる人によって出目という音色は変わります。自分らしい音を出してみませんか？

一人前の奏者になったのが、設置がなくなった後というのもよくある話。パチスロを始めた頃は、赤7しか見えませんでした。『ニューペガサス』という昭和の機種でしたが、REGは青くて小さい馬だったので、隣の方に押してもらっていました。私にとっては、とても難しい楽器だったのです。

それから長年打ち続けてきました。カベを“ある日突然”クリアすること何段階か。いま打つと簡単に思えるんですね。できるようになったから、小役をワザとハズしたほうが効率的という特殊なシステムの意味も、よく理解ができました。今や、スロゲーセンでしかニタニタできませんが。

音楽もスポーツもパチスロも。もちろん限界に個人差はありますが“好きこそものの上手なれ”だと思います。上達を感じたら、好きだけど上手く打てないと思った機種に再チャレンジしてみてください。何年後にこの記事を読んでも大丈夫だろうという考えもあって『アイムジャグラー』をオススメしましたが、この絵柄を揃えてみたい……という想いこそ、目押し上達の近道です。

この2回は、私のことを知らない方も検索などで引っ掛かりやすい普遍的なテーマだったので、コラムっぽい感じではありませんでしたね。特に理論編は、私のエピソードトークは邪魔になりそうでしたし。ということで、次回からは法律知識などの解説をしながら、それをテーマにしたコラムとなっていく予定です。あと……こんな長くは書きません（笑）。

ちなみに、目押しが多少ヌルくても攻略ライターの仕事はできます。どう失敗したかを理解できていれば、失敗時のサンプルに回せるからです。むしろ、こう考えられない人には向きません。捨てゲームを作らない発想と、そのためのパチスロ知識のほうが大事です。

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佐々木真: 代表作：パチスロ攻略ライターの思考ルーチン

裏モノ全盛期に“ギャンブル”としてパチスロを始めたが、技術介入機時代に最適手順を模索するなど“遊技”としての魅力にはまり、履歴書に大きな穴をあけてしまう。2000年よりパチスロ雑誌などで編集兼ライターの活動を開始。現在は、ほぼすべての機種の発表会や取材に参加。法律・規則などの知識をもとに、根幹システムの推測をライフワークとしている。