SENZIN研究『驚きと感謝』：SENZINリアクション

タイルまん SENZIN伝

先日、アイムジャグラーで連チャンした際に隣で打っていた男性のSENZINが私を見ながら、

「兄ちゃん出し過ぎだよ……。」

そう一言呟いたので私は感情を押し殺して会釈した。私の内心は腹を抱えてゲラゲラとホールの床を笑い転げたい状態。

何故ならそのSENZINは、私がガコッ！とゴーゴーランプを光らせる度に、ギュンッと効果音が鳴りそうな勢いで顔をこちらに向けて目、鼻、口という顔面パーツを見開いて見てくるからだ。

そして私がボーナスを揃えるのを確認して、ゆっくりと自分の台へと向き直る。ガコッ！が鳴らない場合は見てこない。ガコッ！と鳴る時のみ反応するのだ。何故このSENZINはガコッ！にここまで反応するのか？

これは……私を笑わせようとしているのだろうか？このお店は決して笑ってはいけないパチンコ店なのだろうか？このSENZINは私に仕向けられた笑いの刺客なのだろうか？今でもボーナスを引くと『○○番台、スタート致しました。』というアナウンスが店内に流れるホールがある。私が堪えきれずに笑ってしまうと、『○○番台、アウト致しました。』と、鳴り響き、屈強な男性店員が来てメダルを補充する筒みたいな物体で私の尻を叩きに来るのだろうか？想像すればする程、面白くなってきてしまう。

私は口内で頬肉をギューッと噛んで笑いを堪えていた。アイムジャグラー君！頼む！暫く光らないでいてくれたまえ！そんな私の願いとは裏腹にガコッ！と叫ぶアイムジャグラー。そして私を凄い顔で見つめるSENZIN。私がボーナスを揃えるとゆっくりと自分の台へ向き直る。緩急をつけるのも止めていただきたい。

ボーナスが終了して数ゲーム後、それはちょっとした私の好奇心だった。

私は第3停止ボタンを捻りながらSENZINの方を向いた。私の視線に気がついたSENZINは不思議そうな顔をしていた。私はニヤリと笑い、捻っていた指を離した。ガコッ！

SENZINは、水曜どうでしょうで、大泉洋氏が驚いた時や騙された時の様な声にならないリアクションをされていた。こちらから仕掛けておいて申し訳ないのだが、吹き出してしまった。つまり……自爆した。

当たり前だがアナウンスでアウトと言われなかったし、誰も私の尻を叩きにも来なかった。

「兄ちゃん！光るの分かったの？凄いね！」

そして褒められた。そう……。私は光るのを知っていた。単チェだったんだもの。

「なんで？なんで？」

どうやら単チェで光る事を知らなかったらしい。マジックのネタを知りたがる子供の様に詰め寄られた。私は吹き出してしまったお詫びに、台横にあるラミネートされた機種説明シートを見せながらチェリーが並ばないで止まると必ず光る事を教えた。

「兄ちゃんは解説が上手いなぁ。」

変な所で褒められた。

「兄ちゃんのお陰で賢くなったし、俺今日は止めるよ。ありがとうね。」

別に褒められる事を教えたつもりはない。しかし感謝されるのは嬉しい。 SENZINは自分の打っていた台の横ををポンポンと叩いた後に私を見て、

「こいつ(台)も少しだけど稼がせてくれたからお礼言ってんだ。」

そう言って私とSENZINが打っていた台にペコリと軽く頭を下げてSENZINは帰っていった。

今回はもうひとりのSENZINも紹介したい。別な日、別なホールにて。

知人と甘海ジャパンを打っていると、後ろの島に設置してある沖海4甘を打っている男性SENZINがいた。

リーチになると画面にかぶり付く様に身を乗り出し、右から左へと泳ぐ2列目の魚達を顔で追っている。その姿は水族館の水槽にベッタリと手と顔をつけて、泳ぐ魚達を夢中で見ている少年の様だった。時折、手で止めようとする動きをしている。 SENZINよ。いくら手を出しても止められないのだ。

リーチがハズレると、後ろで見ている私でも分かる位に体をビクッと動かし、「えぇ！？」と両隣で打っている人達にリーチがハズレた事が信じられないというリアクションをしていた。勿論だが両隣の方々はSENZINの知り合いではない。

しばらくすると「キュキュキュイーン！」が鳴り響く。 SENZINの台のハイビスカスが先光りしたのだ。沖海4甘はハイビスカスがキュインと光ると大当たり確定である。

SENZINは体を後ろに仰け反らせていた。よほど驚いたのだろう。驚いたのはいいが、どうやら大当り確定という事を分かっていない。変わらず手で魚を止めようとしている。

安心して欲しい。SENZINよ、それは当たっているのだ。

リーチは外れた。「嘘だろ！？」と、言わんばかりの驚き。 SENZINよ。だから当たっているのだ。そういう演出なのだ。外れたかと思いきや2列目の魚達が一周してピタッと揃い大当たり。席から尻が浮く程に飛び跳ねていた。 SENZINよ。そんなオーバーリアクションしていたら身が持たないぞ？

大当たりが終了してST中だったのだろう。 SENZINの台がまたキュキュキュイーンと先光りした。後ろを振り向くと、やはり先光りで当たるという事を知らないSENZINはボタンを一生懸命連打していた。連打した挙句に台に両手を合わせていた。 SENZINよ。当たっているのだ。拝まなくても大丈夫なのだ。先程の様にフェイクが無く、素直に当たるとご満悦の様子だった。

何故か両隣で打っている方々にも手を合わせていた。 SENZINよ。両隣の方々はお地蔵様では無いので拝まなくてもいいのだ。

しかし忙しない。大当たりが終わると不思議な所でボタンを押している。逆に押せと言われている所でボタンを押さなかったりもする。リーチがかかると体を乗り出す。そして拝む。当たると音楽に合わせてなのか、軽くビートを刻んでいる。

STが終了し、時短中の事だった。マリンちゃんが出てきてスーパーリーチ。おや？SENZINが身を乗り出さない。流石に疲れたのだろうか？結果は案の定のハズレ。そして何事も無かった様に泳ぎ出す魚達。その瞬間、SENZINは何に驚いたのか席から尻を浮かせて驚いていた。

左隣の男性に何か話している。会話は聞こえないが、男性は台中央にあるハイビスカスの役物を指差して何か話していた。なるほど。多分だが、スーパーリーチに発展したのにハズレた。最初に当たった時と同様に、ハズレと見せかけての当たるという演出が起きると思ったのだろう。その為、身を乗り出さず余裕を持って見守っていたらハズレた為、尻を浮かせていたのだ。

説明を受けて納得したのか男性を拝んでいた。 SENZINの台は時短も終了し、通常に戻った。上皿に球が無くなったのかSENZINは席を立った。席を立ち、台と向き合い、笑顔で一礼。そして拝んでいた。両隣の人達にも綺麗な45度の角度で一礼していた。両隣に一礼して振り向いた時、それを見ていた私達と目が合った。

SENZINは私達にも笑顔で一礼して去っていった。 SENZINよ。そこは拝んでほしかった。

さて、皆さんは両SENZINの共通項にお気付きだろうか？もし、気付いたならSENZIN研究の道へ入る事をお勧めする。

両SENZINの秘められた共通項……それは『驚きと感謝』。

パチンコやパチスロは大なり小なり驚く演出が多い。私達はその演出にある程度の慣れがある為、そこまで驚く事は無くなっていると思う。しかしSENZIN達は１つ１つの演出に心踊る様な驚き方をされる方々が多いと私は感じている。

確かにSENZIN達だって打っていれば演出に慣れる。そうなると、驚きも少なくなっていくだろう。だが、若者よりSENZINは諦めない。どんな弱い演出でも『当たれ！』と願って手に汗を握っている。そして当たれと願っていたにも関わらず、当たると新鮮に驚かれる。 SENZINの方が若者よりパチンコを楽しんでいるのかもしれない。

そして感謝。台へ感謝し、周りの人間にも感謝している。皆さんは最近誰かに、もしくは何かに感謝という感情を伝えているだろうか？過ぎてはしまったが、母の日にお母様へ感謝の言葉やプレゼントはしただろうか？

人は誰でも生きている限り、1人では生きていけない。周りあっての自分。SENZIN達はその事をよく知っているのかもしれない。何事にも感謝をして生きる事が大切だ。そして些細な事でも全力で楽しむ。

私もこの場を借りて感謝する。この記事を読んでいただきありがとうございます。これからもよろしくお願い致します。

しかしSENZINの中には台パンしたり、お店に対して文句を言ったりとマナーが悪い方々もいる。全力で楽しむ事は大切。大切なのだが周りを不快な気分にさせる事をしてはいけない。もし、その様なSENZINを見かけたら速やかに店員さんに伝えて注意していただこう。そして店員さんに感謝しよう。

今日の講義はここまで！解散！