SENZIN伝：ファイターとアシックスとガンツ

タイルまん SENZIN伝

地元のホールに新年1発目に導入された機種。CRぱちんこGANTZ。

新台入れ替え初日に座れる訳もなく、俺は新台入れ替えの次の日の仕事終わりにホールに向かった。パチ7もGANTZ特集をしているしパチ7コミック漫画家である犬さんやダンナくんの記事を見て、これは夢がある機種じゃないかっ！と、期待に胸を膨らませていた。

ホールに着いてGANTZを探す。あった。 3台中1台だけ席が空いていた。残り2台は…絶対GANTZなんて知らない先人が並びで2人座っていた。まぁ新台って事だけで座ったんだろうな。先人達の事はあまり気にせずに早速打ってみる。

原作読んでないんだよな。 1度読もうと思ったけど…なかなか過激な描写が多くてそっと本を閉じた記憶しかないわ。映画はテレビでやってたのを親父が食い入る様に見てたな。

見終わった親父の感想は『るろうに剣心もGANTZも戦闘シーンが素晴らしい。特に剣心はスピードで相手を圧倒する。武の基本だな。素晴らしい。』るろうに剣心の感想じゃねーかっ！！

その位の思い出しかない。確か…○○星人って奴らをやっつけて点数を黒い球体から貰うんだよね。で、100点になると誰か1人生き返らせる事が出来るって感じだったと思う。ザックリしてるけど(笑)

左端に陣取る俺の右隣には、白いトレーナー越しでも伝わるガチムチ体型で短髪白髪の先人。白いトレーナーに輝くは『FIGHT!』と書かれている刺繍である。

そしてその隣には、満月頭頂にアシックスの文字が胸に輝くウインドブレーカーを来た先人が座っている。 …どうやら2人は知り合いだ。

ファイター先人が千手観音リーチ。見事大当り。アシックス先人に「やっと当たった！(笑)見ろ！」と、データランプを指差しながら言っているので俺もチラッと見た。 770回転…。

なかなかエッジの効いた回転数じゃないか…。俺のは…500回転。まだ打ち始めて間もないが…800回転近くハマる事もあるんだね。駄目と思ったら早々に退散しよう。

ファイターはエクストラに突入している。おぉ…これがエクストララウンド…どんどん増えてるじゃないか！人が打っているエクストララウンドを見て感動していた。俺は感動して見ていたがファイターは怪訝そうな目で俺を見ていた。エクストラでは4000発弱獲得していた。

「まぁこんなもんだよな！ガッハッハ！」

笑い方が山賊だ…。ガチムチ体型な上に笑い方が豪快…トレーナーには赤文字でFIGHT！もう山賊だ。大体そのトレーナーは一体どんなセンスなんだ！ FIGHT！って何と戦おうとしてるんだよっ！

FIGHT！と書かれたトレーナーを着る山賊…じゃなくファイター先人は確変に突入。出玉も沢山で満足そうにニコニコしていた。が、そのニコニコは次第に真顔になり…眉間にシワを寄せて、への字口に変貌を遂げる。先程倒した千手観音とFIGHTして…鮮やかに負け…単発で終わったのだ。

通常ならSPリーチ前半で赤文字が来ただけで70%オーバー、超転送非経由のSPリーチ後半でも約70%の期待度がある千手観音さんは、確変中は期待度が低く、大抵は千手観音さんに負けて終了するという全くの真逆な扱いなのだ。うわぁ…アッサリし過ぎじゃねーか！？千手観音怖えぇーっ！！

「やっと当たったと思えばこれだもんなぁ！！幾ら使ってると思ってんだよ！」

「おめぇはまだいいよぉ！俺なんてまだ当たらねぇっての！」

ファイターとアシックスは2人揃って文句をヤンヤヤンヤと言っていた。

しかし…俺の方は何も起きねーな。せめて保留変化くらい…。いきなり画面上で赤の同色図柄揃い。 2回 3回超転送！ひょーーーっ！きたきた！やっと来たっ！！ようやく楽しめるポイント来ました！

「おい兄ちゃん！」

いきなり隣のファイターが話しかけてきた。

「ほぼ入ったぞ！」

いや…まだ分からないけど…。

「うおぉ！？当たるんじゃねーか！？」

アシックスが自分の台を一旦止めて後ろに来た。ここまでならまだ理解出来る…驚くべくはこの後からだ…。

「これ俺がさっきまで打ってた台だぞ！おい！こっち来て見てみろ！」

どこからともなく先人Aがあらわれた！先人Aは仲間を呼んだ！

「おめぇこれカマ掘られたな(笑)」

先人Bがあらわれた！どうやら先人Aがさっきまで打っていた台らしい。

「………。」

何も喋らず先人Cは後ろに立ちこちらを見ている。

タイルまんはGANTZ先人に囲まれた！

待て…待てって。何故俺は先人の群れに囲まれているんだっ！！超転送すると先人達も台の周りに超転送してくるのか！？こいつら先人星人達なのかっ！？

百歩譲って先人A、Bは分かる。先人C！何か喋れよ！！お前なに無言でジーッと見てんだよっ！仲間になりたいのか！？お断りだよっっ！！

演出はオニ星人との勝負。微妙だなぁ…

「ガッハッハ！大丈夫だ！当たるぞこれは！」

いやファイターさんさぁ…豪快に笑ってるけど何を根拠に言ってるのよ(笑)

「さっきまで俺が打ってたのに…これ当てられたら俺今日帰っぺ…。」

「んだ！その方いいべな(笑)」

後ろで先人Aが嘆き、その嘆きにBが相槌をついている。

「……。」

Cは喋れよ！なんか画面が反射して左端に見えるCの目が怖いから喋れよ！その前にお前どこからやってきたんだよっ！

そしてバトルは終盤。ボタンが！飛び出た！画面は可愛い女の子達！けたたましい音と共に6が揃う。ファイターさん…やりましたよ！

ファイターはゆっくりと頷いた。ファ、ファイターさん！でもこりゃエクストラじゃないな…。まぁ少し残念だけど当たってくれたし…

「ガッハッハ！大丈夫だ！上がるぞ！」

上がる？

「7になるぞ！」

ファイターさん…そこまで当てたら出来過ぎだよ(笑)

……『7』になった。

えええぇっ！？ファイターさん！マジですか！？

驚いてファイター先人の方を振り向くと俺の台を指差してゆっくりと頷いた。ファ…ファイターさーーんっ！！

「カーーーーッ！なんだそりゃ！？あんちゃん次あったら幾らかくれよ？」

先人Aは捨て台詞を吐いて海コーナーへ消えていった。帰るんじゃなかったのかよっ！

「みっともねぇなー(笑)兄ちゃんがパチンコ上手いだけだよなぁ？」

先人Bも笑いながら俺の肩をポンポンと叩いて先人Aの後を追うように去っていきアシックスも自分の台へと戻っていった。

そして先人Cは…おめぇまだ見てるのかよ！

何はともあれエクストラ！終わりかな？と思うと復活を繰り返す。

「あー！凄いな！」

ファイターも大興奮。結果的に7000発と微妙だったがまぁ良しとしよう。そしてすぐ負けた。ガッハッハー！と、豪快にファイター先人は笑い飛ばす。まるでざまぁみろと言いたげな笑い方だな…。

通常に戻り、1箱だけと思い回していると何やら画面が騒がしい。

え！？赤保留になってる…！更にチェッカー柄！

「うん、こりゃ入ったな…」

ファイターもカットイン！！

アッサリと当たって超GANTZボーナス！吐き出せ！吐き出せっ！！

1回パカっと開いただけで終了。えぇー…。サバイバルラッシュ。

「ガッハッハ！大丈夫だ。さっき単発だったから続くよ。」

「大丈夫ですかねぇ？」

「兄ちゃんがさっき当てるまでこの台は全然駄目だったんだ。さっき当てて今また当てたから爆発するぞこれは！」

ファイターは俺を信じろと言わんばかりの自信に満ち溢れた表情。ファイターさん…俺はあんたの事…信じるぜ！

まずチビ星人をやっつける。 ……6R

チビ星人をやっつける。 ……3R

俺は16Rが欲しいんだっ！いや当たって嬉しいけどさっ！

チラノさんをやっつける。

「これは『7』に変わるぞ？」

激アツのファイターカットイン！ ……3R

16Rに程遠いわっ！！

「やっぱそれ駄目な台だな！ガッハッハー！！」

豪快に笑われる。

「でも当たってるだけマシだってぇ。俺のいつ当たるんだよぉ」

アシックスは嘆かれる。そうだ。当たってるだけマシだな。そう思った矢先…画面が白い翼で隠された。

Pフラしてる。ルシファーだ！

「そりゃ『7』確定だ！」

ファイターだ！知ってるよっ！！

「いいなぁ！俺の所にも当たり来て欲しいなぁ！」

「あんだけ当たりゃ楽しいだろうな！ガッハッハ！」

それより気になるのは…先人Cがベガ立ちされている事。そうか…これが噂の張り付きって奴か。まさか初めての張り付きを先人にされるとは思わなかったな…。

うん。邪魔だなぁ！オイッ！！

角台だから立ってても他の人の迷惑にはならないけどさぁ！邪魔だよっ！こいつまさか…俺のスタンドなのか？って思わせられる位ベッタリじゃねーか！気が散ってエクストラもパカっと2回位開いて終了。そしてお待ちかね千手観音さんに料理され通常に戻る。

皆さん…ベガ立ちはやめましょう…。

「ガッハッハ！残念！でもまぁ上出来だ！そんだけ出れば良い方だろ！」

俺はペコッとファイターに頭を下げて席を立った。

ほら！Cよ！座れ！この台打ちたかったんだろ？くれてやる！！あれ？俺のスタンドがいない。さっきまでいたのに。

先人Cは遠山の金さんを打っていた。

お前ぇ！！何故張り付いていたんだ！！狙いはなんだったんだっ！！

次の日。 GANTZコーナーにはファイターがいた。隣には気弱そうな男性が座っていた。昨日の俺に話しかけた様にファイターは隣で熱い演出が起きると話しかけていた。世話好きなんだな。それよりなにより…パチンコが好きなんだな。

話しかけている光景が昨日の俺と重なって見えた。そして…何処からともなく周りに集まる先人達。

先人星人達よ…超転送されてくるんじゃないよっっっ！！