パチスロライターに“なってしまって”episode.25（5号機創世記の終了）

佐々木真パチスロ攻略ライターの思考ルーチン

押し順ナビに従うだけでメダルが増える。4号機の時も爆裂AT機時代に向けてそうなっていき、射幸性の問題でそれが封じられるようになって仕方なくストック機の時代になっただけで、この間口の広さこそパチスロ業界が目指すことになっていった1つの方向性かと思います。

ついに5号機もそこまでたどり着きました。いや、たどり着いてしまいました。まだ雑誌の時代であればレイアウト職人に戻っていたことでしょう。どうやったらナビが出るか。そこに帰結したゲーム性は、ライターがいくら打って考えるよりも1つの解析値のほうが重要で、その信憑性が増します。ライターの力量よりも媒体の政治力。私的にはつまらない時代の到来です（笑）。

と、ブーたれるほどの完成形が早くも登場してきました。『新鬼武者』です。

★新鬼武者のシステムは秀逸。

▲『新鬼武者』（ロデオ：2010年3月）

『パチスロ交響詩篇エウレカセブン』唯一の泣き所である“ゲーム数上乗せができない”ことをスマートな形で解消してきました。本ARTの状態をゲーム数不定RTとすることです。

ボーナス後や通常状態から、まず1段階モードを上げる。そこだけで抽選する特殊な出目で2段階目に。2段階目到達後は、権利を持っている状態ならば“転落する出目“が出ないような押し順ナビが発生。そうすれば権利を持っていない状態ではほぼその目を出してしまって転落。権利を持っていればその目を回避して継続するというものでした。

要は『エウレカ』のSINのように空気を読まずに成立してしまう厄介なフラグを排除。RTモードで出現をある程度管理できる特殊リプレイのみでRTモード移行させる形にしたのです。

6号機の押し順ナビはメイン基板管理と（ちょっと）制約はありますが、5号機前半まではサブ基板で管理できました。メイン基板と関係なくナビを出せたんですね。4号機の爆裂AT機も同じです。今がメイン基板管理と言っても打って分かることは限られているので、それを感じることもほぼないですが。少なくとも今以上に“なんでもあり”だったのです。「そろそろナビ出そうか」と液晶演出が思ってくれれば良いんですから。

▲緑ドン～VIVA！情熱南米編～（エレコ：2010年12月）モンスタハンター（ロデオ：2012年3月）

もうね。メインなんて同じで良いんです。「そろそろナビ出そうか」というタイミングと出玉調整ができれば。だからほとんどの機種（ボーナス＋1.5枚程度のART）は『新鬼武者』のスペック違いなんです。初代『モンスターハンター』とか、まさに分かりやすいですね。

しかも『新鬼武者』は、穏やかな偶数設定と激しい奇数設定とか出玉の波の違いも作ってしまっています。ね、ライターの洞察力よりも解析値を入手できる政治力でしょ。もうシステムとしてはゴールなんです。あとは、どのスペックが覇権を握るのか。そのための工夫をいかにするか。それだけです。

事実『新鬼武者』以降は、そういった機種ばかりがリリースされていきました。時代に乗り遅れたメーカーを除いて。でも、そういうメーカーのほうが好きだったんですけどね。ライターとして戦えるから（笑）。

★それ以外の名機？迷機？

▲マジックスパイス（岡崎産業：2009年10月）

この近辺で好きだったのは、岡崎産業の『マジックスパイス』ですかねえ。ほとんどホールで見かけませんでしたが（笑）。

RT中は、高確率のボーナス（２種BB）をナビして揃えさせてくれます。なので、厳密にはARTですか。さらにRT中は「2種BB＋リプレイ」の確率もアップ。通常ゲームでうっかり揃った時よりも多くの枚数を獲得することができました。ネットの『ドラキュラ』とラスターの『トンdeピース』の改良型と言えますかね。いや、まったく一般的ではありませんが（笑）。

▲アントニオ猪木が元気にするパチスロ機（平和：2010年11月）

それと凄いと思わされたのが『アントニオ猪木が元気にするパチスロ機』ですかね。この機種には“道フリーズ抽選状態”というのがありまして。ボーナス非当選のチャンス目の25%で「3G・5G・7G」のいずれかのゲーム数が選択されます。そこで赤BIGやREGが成立すると道フリーズが発生。恩恵を受けられました。

フリーズがなければ簡単です。“なんでもあり”のサブ基板で液晶演出と恩恵を足せば良いのですから。ただ、これはフリーズをともないます。リールを使った“待ち時間”です。メイン基板でなければなりません。その抽選状態を“成立役からの抽選（25%）”で“ゲーム数を変えられる（3G〜7G）”ということを知らしめた功績はあまりにも大きいなと。

これはメイン基板管理となった今も“押し順ナビなどを出す契機のフリーズ”などとして応用されている手法です。だと思います（汗）。

▲バジリスク～甲賀忍法帖～（ミズホ：2009年12月）

2代目や絆が人気ですが、初代も密かに凄かったです。ネットの回でも書いたようにアイデア自体のきっかけは他メーカー由来かもしれませんが、5号機の時の自主規制ギリギリである1Gあたりの純増3.0枚に向けたスペック競争時代に突入させた機種のような気がしています。割と静かなBGMの中、モリモリ増えた印象。

と、楽しくは取材させていただいていたんです。「ふう、またライターの洞察力が要らない時代か」とは思ってしまいましたが（笑）。

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佐々木真: 代表作：パチスロ攻略ライターの思考ルーチン

裏モノ全盛期に“ギャンブル”としてパチスロを始めたが、技術介入機時代に最適手順を模索するなど“遊技”としての魅力にはまり、履歴書に大きな穴をあけてしまう。2000年よりパチスロ雑誌などで編集兼ライターの活動を開始。現在は、ほぼすべての機種の発表会や取材に参加。法律・規則などの知識をもとに、根幹システムの推測をライフワークとしている。