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パチスロ攻略ライターの思考ルーチン
2022.11.15
パチスロライターに“なってしまって”episode.6(『獣王』の登場)
2000年の年末は、パチスロ界だけではなく私にとっても転機となったタイミングでした。
6月に開局したスカパー!のBiGチャンネル(現:パチテレ!)で視聴者参加型番組の「パチスロ実戦!勝つのは俺だ(後の俺勝つPro.→S-1 GRAND PRIX)」の収録がスタートします。プロデューサーさんに「私の作った番組に出なさい」とスカウトされましたが、ついに実現いたしました。今は、実戦動画が多くありますけれども、その先駆け的な感じが実は私です(笑)。
さらに、それまで『激爆パチスロ王』という雑誌を作っていた編集プロダクションが他の雑誌を作ることになり、スッカラカンとなってしまった出版社内編集部から「ライターを貸し出して欲しい。発売日も月の真逆でご迷惑もおかけしないようにしますから」と、私の在籍していた『必勝パチスロファン』の編集長にSOSをしたのです。
そこで「こいつらなら直しが少ないから」と白羽の矢が立ったのが、私ともう一人のライターでした(ちょっと前は違う業界の編集になられていました)。フリーと言っても、1つの雑誌でしか仕事をしていなければ専属と大差ないですし。今から思えば、ここから正真正銘のフリーになった気がしております。
って、私の話はどうでも良いですね。ついにあの機種が降臨します。
▲『獣王』(サミー:2001年1月)
時代を変えた名機中の名機『獣王』です。発売されたのは2001年1月ですが、取材は2000年の暮れには始まっておりました。うん、私が担当となりました。率直に言って、そこまでの手応えはなかったと申しますか。これは全国のホールさんも同じだったでしょうが、初めは意味不明だったのです。
今ならば完全ハズレの時にサバチャン(1Gあたり約10枚純増のAT)を抽選しているとか分かりますが、そもそもATを主軸にしたゲーム性の機種なんぞなかったわけです。変則押しをすれば、完全ハズレというかボーナスを見抜けることはすぐに分かりましたよ。それを初掲載した自負もございます。ただ、完全ハズレから潜伏してのAT放出とかまったく気付かなかったですね。そういうデータ取りのノウハウというか、発想もありませんでしたし。
しかも、それほど取材時間があったわけでもありません。3000Gソコソコでは3000枚がやっと。というか、ほぼ出なかった記憶。「やべえ、これ出まくる!」なんてこともなかったですし、そのような論調の雑誌もなかったかと思います。あったら、身構えていますから。
2001年1月末。それ以外の機種と同様に新装の実戦に赴きます。異変を感じたのはその時ですね。こいつは何かが違う。ヤバい機械だと。BIGを引いて勝つ。技術を駆使して勝つ。といった既成概念が通用しません。しかし、ホールに積まれるドル箱で大人気となり雑誌も総力を挙げて特集を組むようになっていきます。
どんな優秀なライターがいたところで、そこまでの旧態依然とした常識は一切通用しません。一体どうなっているのかプログラム解析をする必要がありました。ここからですね。ライターのスキルよりも、プログラム解析をできる財力とできる人とのコネクションが大事になってくるのは。
台の入手やプログラムを解析する能力もありますが、まあお高いんです。サブ基板はROMチェッカーのようなものでも読めますが、メイン基板は専門の装置が必要ですし。しかも、解析記事は雑誌の看板。解析人はさぞかしバブルだったと思います(笑)。
ちなみに、今の雑誌に付いているDVDですが、その最初は密かに『パチスロ王』でした。AT抽選の高確率モードを判別するバックライトの点滅(SammyとなるSの最初がチカチカッとする)は、言葉と写真にするよりも実際に動画で見たほうが早いだろうという編集部判断です。まあ、その時は『パチスロ王』で『獣王』担当ではなかったですけどね(後に担当が回ってくる)。まだ実力は未知数ということでマイナー機のページをひっそり作っておりました。
と、時代は確実に変わったのですが。『必勝パチスロファン』の編集部は解析を持っておらず(後に入手)地獄でした(笑)。人気のある機種だから、何かをやり続けなければなりませんでしたし。すげ〜打った。打ちまくりました。どんな発見をしても解析には勝てないと心が荒むほどに。
▲『インディジョーズ2』(ロデオ:2001年2月)
同じ頃『インディジョーズ2』も担当になりました。理由は、同じリール配列だから。そんな古い常識に囚われていたので、もちろん、サイドランプなどの攻略法は発見できておりません。この頃に担当していたのは『アクセルキャッシュ』とか『スティッキー5』とかかな。密かに高砂電器産業が担当になっていました。ノーマル見たことねええぇ(笑)。
▲『ディーエイチ2』(アルゼ:2001年2月)
後は『ディーエイチ2』とか。設定1でも100%超となるCT機。いわゆる『アステカ』の流れです。野球がモチーフの鉢巻リール機で、1点が入ったらBIG確定なんですが、ノーアウト満塁だったはずなのに、そこからヒットを打っても点が入らない。よく見るとツーアウトでランナーなしになっとる。6ページ予定を4ページにしてもらいました(笑)。
前年暮れの『ドンちゃん2』や2001年8月の『コンチ4X』などもありましたが、ユニバ系の迷走期ですね。正直なところサミーの天下になると誰も思っていなかったでしょう。もちろんサミーの躍進もありますが、ユニバ系の衰退も重なったように思えます。ライターになる前は想像もできなかったですが。
そうそう『ドンちゃん2』といえば。発表会で「くじに当たったホール様は実機をプレゼント」なんてのがあったんですね。その当たりくじを引いたホールさんに忍び寄る影。「その実機、50万円で譲ってくれません?」いち早く実機を入手して解析したい某誌の編集部でした。そういう時代だったんです。
▲『ブラックジャック777』(ネット:2001年1月)
担当でなかったうちで、2001年1月〜2月に気になったのは『ブラックジャック777』。ボーナス成立からSTに当選したら、そのゲーム数をタダで回せて、その間に成立したボーナスは1G連チャンするというもの。ストック機の元祖です。
当時、各ライターが同じ台を交代で1週間打ち続ける企画をやっていましたが『ブラックジャック777』を我々が打っていたホールの真裏のシマにあった『キャッツアイ』を『パチスロ必勝ガイド』の本家91時間バトルが打っていたのを思い出します。そういう店被りはまあまあありましたね。
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- 佐々木真
- 代表作:パチスロ攻略ライターの思考ルーチン
裏モノ全盛期に“ギャンブル”としてパチスロを始めたが、技術介入機時代に最適手順を模索するなど“遊技”としての魅力にはまり、履歴書に大きな穴をあけてしまう。2000年よりパチスロ雑誌などで編集兼ライターの活動を開始。現在は、ほぼすべての機種の発表会や取材に参加。法律・規則などの知識をもとに、根幹システムの推測をライフワークとしている。
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