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5号機の華、リプレイタイム

佐々木真パチスロ攻略ライターの思考ルーチン

前回は臨時ニュースとして、5.9号機への流れを書きましたが、あの長文にお付き合いくださった方々、ありがとうございます。書くのもシンドイですけど、読むのも大変でしたよね。ええ、今回も大変ですよ（笑）。

まずは、5.9号機の続報から。ただ、ART関連の抽選をできる“有利区間”に希望が見えたので、少しだけ解説したいと思います。資料が膨大すぎてまだ読みきれていないのと、摺り合わせていない私の解釈の速報なので、微妙に間違えていたら、申し訳ないです。

ボーナス周りでの有利区間抽選も可能

有利区間やART関連の抽選で設定差を設けられないというのは、前回書いた通り。これを額面通りに受け取ると、ボーナス確率に設定差があれば、その周りでは抽選を受けられないことになります。ただ、実際は少し違うようです。例えば、赤BIG確率に設定差があっても「スイカ＋赤BIG」という特定契機役が全設定共通であれば、そこで有利区間への移行を抽選できます。

有利区間中は、かなり自由度が高そう。全設定共通の処理であれば、成立役などを介さない処理も認められます。1500Gの有利区間に突入して、1000Gハマったら500GのARTとなることも可能。上乗せ抽選に関しても然り。また、有利区間移行時に「高確A：30％・高確B：20％・ART直撃：50％」こういった感じのものも認められます。高確Aなどと書いた部分は、チャンスゾーンとも言葉を置き換えられますね。ここでアレが成立すれば……というゲーム性も作ることができそうです。

で、この有利区間。プレイヤーに報知する義務があります。ボーナス内部成立中などの一部を除き、セグなどを使って何かしらの合図が出ることになります。従来機は「わからないから面白い」というのを全面に出した演出となっていましたが、「わかるから面白い」という方向への演出シフトチェンジはあるかもしれません。ここはコンセプトの問題なので、メーカーさんに期待しましょう！

ほかにもいろいろあるんですけどね。3月の案で出ていた小役優先制御の話も残っていました。第二種特別役物（2種BB・MB・CB）消化中に適当打ちで取りこぼしがないのはNGとなるとか、初耳のものもありました。

ただ、いま私の読んでいる内容がそのまま認められるとも限りません。実際に登場する機種を見て「やっぱり大丈夫」「ダメになったんだ」という作業をするしかないんですよ。我々、打ち手側は。ただ一つ言えるのは、いろいろなゲーム性を作る余地がありそうということ。そういうことで、講義に戻らせていただきます（笑）。

AT機を作れなくするための規制……と、前回たくさん書きましたが、これからの時代はART機が中心となっていくことでしょう。そのARTを理解するためには、まずRTを理解しなければ始まりませんからね！

リプレイ確率の変動が許されるタイミング

さてさて。AT・ARTといったナビ機能は、大きく変わることとなりました。それに対し、この規制の流れで触れられていないのが、リプレイ確率を変動させるリプレイタイム（RT）部分です。その理由は実に簡単。リプレイ確率を変動させていいタイミングは、法律で書かれています。国会で法律を改正して6号機にするしか是正方法がないのです。

ということで、今回は法律の話。風適法の別表第5「回胴式遊技機に係る技術上の規格」です。もうこのタイトルだけで、読みたくなくなる方が多数と思われますので、日本語に訳しつつ法律にない内部規則も合わせて解説していきます。一応書いておきますと、各項目が法律部分。その後に続く長い文章が、内規というか、今までに出てきた機種からわかることです。

0）大前提

●決めた契機では必ずRTに突入しなくてはならない
●一つの契機から異なる種類のRTを発動させてはならない

法律に入る前に、書かれていない大前提から。リプレイ確率を変動できる契機で、RTに突入するかしないかを抽選で決めることは許されていません。また、RTの継続ゲーム数や、揃うリプレイやその確率が違うなど、同じ契機から異なるRTに入ることはできません。

リプレイ確率やRTの中身が変動する場合は、必ずなにかしらの理由があって、確実にわかる法則があることになります。では、各項目を見ていきましょう。

1）ボーナス内部成立時（BIG中のJACイン成立時）

●ボーナス成立後のコイン持ちアップ＆演出用
●AT機や『リノ』タイプの隠しボーナスで採用
●『リノ』タイプなどでJACインをさせない理由

ボーナス主体タイプが多かった5号機初期は、連続演出でドキドキさせるために、ボーナス成立後のコイン持ちアップで使用されていました。いまの設置機種でも、初代『クレアの秘宝伝』や『ケロット3』で採用されています。また、このボーナス成立後RT区間中に小役ナビを出すことでコインを増やしたのが初代『2027』です。

コイン持ちアップ＆演出用でRTを搭載された機種例

最近では、5号機版のAT機や『リノ』タイプの隠しボーナス成立後に使用されています。工場出荷状態のAT機は、リプレイ確率が高くありません。少し回してボーナスが成立すると、リプレイ確率が大幅にアップ。これにより、完全ハズレ確率が大幅に下がり、内部ボーナスが揃わないようになります。常にリプレイ確率の高いAT機。それは、通常ゲームがボーナス成立後RTとなっているのです。『リノ』タイプも同じですね。トマトが揃って純粋な通常時（連チャンゾーン）に移行すると、リプレイ確率が下がります。

このRTの終了条件は、ボーナス入賞時のみ。なので、AT機で「この区間は、特殊リプレイの赤7確率アップ」とあった場合は、普段から赤7になるリプレイを抽選しているけど、それ以外の部分では押し順ペナルティや、違う押し順ナビを出すなどで隠していることがわかります。すみません、そんな意地悪な見方しかしておりません（笑）。

隠しボーナス成立後にRTが活躍するリノ

また『リノ』のボーナス序盤や、『パチスロ北斗の拳-世紀末救世主伝説-』の「塵と砕けよ」演出時など。ボーナス中にJACインを回避したほう得となる機種もあります。前にも説明しましたが、JACインはREG扱い。このREG成立時でも、リプレイ確率を変動させることができます。これを最初に使ったのは『新吉宗』かな。特殊JACインでRTの権利を獲得するものでした。

この契機で「リプレイ確率を変動して構わない」という解釈なので、JACインがあってもリプレイ確率が変動しないことはあります。ただ、JACインという表記を正確な役構成で見かけたら、なにかあるな……と、注意深く観察してみてください。JACインがあるのに、なにも触れていない解説は、よほどスペースがない場合を除くと、システムを理解していないライターかと思います。同業者を敵に回したくありませんが、これはそれくらい言っていいかと思います。大きく損する可能性があることなので。

このJACイン成立時のRTは、ボーナスとともに終了させることができる……のかな。そういう機種があったか思い出せませんが、ダメな理由も法律からは見当たらず。ただ、ボーナスが終了してもそのまま継続するのが一般的です。『パチスロ北斗の拳-世紀末救世主伝説-』と『新吉宗』だけでなく『B-MAX』もそう。JACインをハズして内部成立させたまま、小役入賞でボーナスを終了させることによって、RT状態を引き継いでいます。

JACイン内部成立時にRTに突入する機種

2）ボーナス開始時

●ボーナス中にリプレイを抽選しないケース
●7揃いなど特殊リプレイ確率をアップさせることが可能

『アイムジャグラー』系や『ハナハナ』系など。ボーナスをサクサク消化できるよう、リプレイが成立しなくなることを認めている項目です。

ボーナス中に特殊リプレイ確率を上げることによって、赤7揃いなどを出しやすくすることもできます。ボーナス中なので、特殊小役として……というのもありますが、それだと「成立＝赤7揃い」が確定してしまいます。『ぱちスロAKB48』の“48絵柄揃い”など、シングル揃いやダブル揃いを振り分けて出したい場合は、リプレイのほうが作りやすいですね。こちらも、ナビによって、揃えていけない場合は隠しています。

基本的には、ボーナス中にリプレイを成立させないことを許可する項目。ボーナス消化からARTに突入させるための特殊リプレイ揃いも作ることが可能。また『リノ』もボーナス開始時はリプレイを抽選していない。

3）ボーナス終了時

●リプレイ確率を通常時用に戻すことがメイン
●時短機能的なRTで使用
●いわゆる天井RTを作ることも可能
●規定ゲーム数消化orそのほかのRT状態変動契機で終了

ボーナス終了後は、リプレイ確率を1/7.3以上に戻さなければなりません。純粋な通常時に戻すための処理として使われるのがメインです。

ボーナス終了後から次のボーナスへ繋ぐ時短的なRTも、この項目。わかりやすく作れる付加機能なので、初の5号機となったパロットの『CRP花月伝説』や、初代『新世紀エヴァンゲリオン』では、REG後の“レイチャンス”として採用されました。

ノーマルタイプでたまにある“天井救済機能”も、このRTが使われています。例えば、ボーナス終了と同時に1000GのRTに突入させるとしましょう。ボーナスが成立もしくは入賞すれば、RTを終了できるので問題なし。1000Gハマった場合はどうなるのか。RTの規定ゲーム数消化後は、純粋な通常時にしか移行できません。

1000GのRTは、それほどリプレイ確率が高くない。純粋な通常時は、リプレイ確率がかなり高い。この逆転現象を利用したのが、天井救済通常時です。まあ、天井RTと書いてあげた方が優しいんでしょうが、そうとは書きたくなく。天井通常時と言っても伝わらないのはわかっているので、ポリシーとして、天井救済機能と書くようにしています。編集さんに直されても、仕方ないとは思いますが、納品時は自分の心に嘘をつきたくなくて（笑）。

この天井救済機能も、ボーナス種別さえ異なれば、違うゲーム数のRTにすることはできます。『新世紀エヴァンゲリオン−魂の奇跡−』は、BIG後1000G。REG後800Gでしたね。

このボーナス終了後契機のRTは、規定ゲーム数消化orそのほかのRT状態変動契機で必ず終了しなくてはなりません。ここまでの解説はボーナス周りのものばかりでしたが、それ以外、特定出目を契機にしたRT状態の変動を次に解説します。

ボーナス終了でリプレイ確率を元に戻すのがメインの役割だが、時短的なRTや天井救済機能にも使用されている。

4）特定出目出現時のRT

●成立役ではなく“出目”が必要
●ゲーム数固定か不定かで性格が変化
●ゲーム数不定RT中の特定出目は必ずRTを書き換える
●ゲーム数固定RT中は特定出目でRTを書き換えない

通常時やRT中の“特定出目”でも、リプレイ確率を変動することが可能となっています。重要なのは、成立役ではなく出目ということ。初代『ハーレムエース』のように、左リールで取りこぼすチェリーを入賞させればRTに。取りこぼすとRTに入らないということもあります。

これを利用したのが、5号機初期の通称リプパン方式。『リングにかけろ1』のボーナス終了後RTは、ボーナス終了・規定ゲーム数消化・青チェリー入賞が終了条件となっていました。この青チェリーを取りこぼすと、そのままRTは継続します。青チェリーの取りこぼしは、RT状態を変更させない出目。青チェリーはRTを終了させる（0Gに書き換える）出目としてあるからです。

そういった出目視点で『ハナビ』を見てみましょう。BIG終了後に突入する“ハナビチャレンジ”は、ボーナス終了後契機で20G継続するRTとなっています。リプレイハズシを成功させているとハナビチャレンジは継続しますが、失敗時や順押しをして中段リプレイが揃うと、そこから20G継続する“ハナビゲーム”に移行します。この中段リプレイが、通常時特定出目契機のRTなのです。ね、必ず書き換えてくれるでしょ。

この20Gのハナビゲームが終わった後は、純粋な通常時に移行します。そこでも中段にリプレイが揃った場合は、20GのRTに突入しますよ。RT状態の変動契機となったら、必ずRT状態を移行しないといけないですから。ただ、通常時は中段リプレイを抽選していないので、出ませんけど（笑）。その代わり、リプレイハズシ時の「ベリリ」の特殊リプレイが成立すると、ドンBIGと同時当選確定となりますね。

しかし、RT状態変動目となっても、変わらないケースがあります。ハナビゲーム中のように通常時特定出目契機で、かつゲーム数固定RTの場合、ボーナス成立以外でRTを書き換えることができないのです。

ゲーム数不定と固定を活かしたゲーム性の初代エウレカ

もっともわかりやすい例が、初代『エウレカセブン』。「リリチェ」から突入するARTの“コーラリアンモード”は、50Gのゲーム数固定RTがベースとなっています。この途中では、どんな出目となっても、ボーナス成立以外であれば必ず50Gとなります。ボーナス終了後から、どういう動きをするか。ちょっと解説してみましょう。

RTモード(1)：ボーナス終了後
ボーナス終了後RTから開始。それまでは、RT状態をアップさせる「リリベ」も「リリチェ」も抽選せず。

RTモード(2)：SINの取りこぼし目後
通常時の特殊出目契機でボーナス終了後RTを終了させます。純粋な通常時かは不明ですが、RTだとしてもゲーム数は不定。ここから「リリベ」や「リリチェ」を抽選します。

RTモード(3)：リリベ後
通常時もしくはゲーム数不定RT中なので「リリベ」入賞とともに、RT状態を変更。ここもゲーム数不定RTです。「リリチェ」の確率がアップ。ただし、RTモード2に陥落させる「ベチェベ」とSINも抽選。ARTの権利がある場合は、「ベチェベ」を回避する押し順ナビが発生しますが、一発抽選のSINは避けられません。

RTモード(4)：リリチェ後
ART“コーラリアン”モードに。50G固定のRTです。ここでも一発抽選のSINは避けられませんが、ボーナス成立以外にRTを書き換えられないので、RTが終了することはありません。RTが書き換えられないということは、ゲーム数上乗せもできないということになります。なので、ストック連チャン方式だったのです。

●ゲーム数不定RT中の特定出目は必ずRTを書き換える
●ゲーム数固定RT中は特定出目でRTを書き換えない

大事なことなので、もう1回書きましたが、これでわかっていただけましたかね？　『エウレカ』はゲーム数固定ARTですが、それ以外のゲーム数上乗せ型ARTも、必ずRTモードの階段を出目で駆け上がらせています。押し順ミスでベルを取りこぼすとリプレイ確率が下がってしまうのも、取りこぼし目が書き換え出目となっているからです。

この理論がわかると、攻め方が変わる機種も出てくることがあります。例えば『B-MAX』のような機種です。チェリーを取りこぼしても大丈夫。適当打ちでリーチ目を楽しみましょう……なんて言われていますね。チェリーは、RTを0Gに書き換えます。チェリーの取りこぼし目は、それを契機にうっすらリプレイ確率が上がります。

このRTがゲーム数不定であれば、打ち方は変えずとも構わないでしょう。しかし、3Gだか4Gだかの“ゲーム数固定”のプチRTに入るならば。チェリー取りこぼしの後、3G目にまたチェリーを取りこぼしても、プチRTは書き換えられないんです。すぐさま規定ゲーム数到達で、リプレイ確率は元に戻ります。つまり、チェリー取りこぼし後のプチRT区間中は、チェリーを狙ったほうが得となりますね。

実際のところ『B-MAX』のチェリーこぼし後が、ゲーム数固定か不定かは私もよくわからないんですけどね。確率アップもうっすらですし（笑）。ただ、不定と断言できないのであれば、とりあえず取りこぼし後くらいはチェリーを狙っておこう。これが、5号機の考え方です。

RTに突入させたり、RTの内容を書き換えられる特定出目。5号機初期を支えたリプパン方式から始まり、すべてのART機のRTモードアップに使用されている。ゲーム数固定RTかどうかで性質が変わるので注意！

以上です！

法律では5項目ありますが、最後は「規定ゲーム数消化」なんですね。純粋な通常時に戻すためのものなので、解説は不要でしょう。

ポイントとなるのは、ボーナス中であればJACインがあるかどうか。これは、パネルや液晶にある正確な役構成をチェックしてから考えましょう。特定出目契機であれば、ゲーム数が不定なのか固定なのか。これは打ってみないとわかりません。

例えば『パチスロ偽物語』。ART“倖時間”自体は20Gと固定されているように見えますが、途中を繋ぐ“チャレンジゾーン”の存在をお忘れなく。獲得した“語”によってゲーム数は変化しますが、ここも同じRTの状態となっています。

ゲーム数固定RTが終了した後は、純粋な通常時に移行するので、そこもリプレイ確率がRT中並みに高い場合は見分けが難しくなりますが、再度ARTに突入する際に、特定出目があるかどうかで見抜くこともできます。って、ここはあまり見抜いても、まあ意味ないですけど。

でも、こういうことを大事にしていたら、いつか得できることもあるのかな……なんて、じっと出目を見る日々なのです。今回も長くて、すみませんね。これだけ長いのは、当分ないかと思います（笑）。

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佐々木真: 代表作：パチスロ攻略ライターの思考ルーチン

裏モノ全盛期に“ギャンブル”としてパチスロを始めたが、技術介入機時代に最適手順を模索するなど“遊技”としての魅力にはまり、履歴書に大きな穴をあけてしまう。2000年よりパチスロ雑誌などで編集兼ライターの活動を開始。現在は、ほぼすべての機種の発表会や取材に参加。法律・規則などの知識をもとに、根幹システムの推測をライフワークとしている。