持つべきものは友達

あれは４号機のお祭り全盛期の頃でした。

大学生だった自分は監督に内緒でバイトをしては打ちに行き、早々に貯金をして極貧生活を送るという今で言う養分打ち全開でした。

（あれっ？！今もそんなに変わって…ない…？）

寮生活のお陰で食事には３食ありつけるためこんな生活が罷り通っていたのですが、
金があれば打ちに行き、
無くなれば同期の部屋へ押し掛け朝までゲームをやり、
講義と部活は睡眠時間確保のため休むといった生活をしておりました。


その日も相変わらず金がなく、財布には１０００円も入ってない。
その為、隣の同期の部屋でゲームに興じていたわけです。

その連絡は唐突にありました。


バスケ部に所属していた同期から、

『今、金太郎（初代サラリーマン金太郎）で連チャンしてるんだけど、彼女迎えにいくからガラム残り打たない？金無いって言いよったやろ？』

金のない自分には断る理由など見当たりません。
しかし問題が。
千円札を持ち合わせていない自分はスタートラインに立つことが出来ません。

『マジで？！打つ打つ！！やけど、今１０００円もないんよ…』

恥を忍んで言いました。

『心配せんでも、下皿にコイン少し残して行くけん気にせずおいでヽ(・∀・)ノ』

神の降臨です。

そうと決まれば愛車のlet's Ⅱ（スズキの原付）に飛び乗って向かいました。

そこで目にしたのは、サラリーマン金太郎で千両箱を使ってる友の姿。
入ってるATを取り切って通常画面に戻ったところで、満タンあった下皿を２/３くらい箱に移し、『出なかったらごめんな！』
打てるだけでも満足なのに出なかったからって文句など言うものか。

友は最終的に７５００枚ほど流して彼女のもとへ。

時刻は１９時半。
仮に残ってるATが無かったとしても、４００枚ほど残してくれた下皿で遊べるだけでも当時の自分は嬉しかった。

回し始めて程なくすると、

『金太郎チャーンス！！』

無駄に熱い矢島金太郎が吼えました。

４号機世代以外にはピンとこないと思いますが、金太郎チャンスはシングルボーナスが規程回数到達で１セットでした。
シングルボーナスが揃うと１ゲームのジャックゲームに突入し１枚掛け１５枚の払い出し。
今で言う凱旋なんかの純増詐欺とは無縁の安定感。
シングルボーナスナビは５回１０回３０回１００回。
規程回数獲得した次ゲームベットで『まだまだぁ～！！！』と吠えれば継続確定。吠えなくてもリプレイが揃うとレバーオンで『まだまだぁ～！！！』なんていう憎い逆転パターンも。

１０回と３０回の間にそびえ立つ壁があるのですが、３０回まで行くと４２０枚＋α。
からの継続があるかないかでは天と地。最終ゲームの力の入り方は半端じゃありませんでした。

シングルボーナスは３枚掛け４枚払い出し→ジャックゲーム１枚掛け１５払い出し（純増１４枚）＋メット（ベル）や法被（スイカ）は成立しただけ引き得。
１００回を引くと駆け抜けてもナビのみで１４００枚出ます。
これにボーナスが絡むと、誇張ではなくメーカーの触れ込み通り時速５０００枚を叩き出すモンスターマシンとしてスロッターを魅了しました。

友がどういう引き方をしたのかは謎ですが、恐らく超高確率でATを引いたのでしょう。
全く終わらない。
金チャン１００にも入り、気がつけば時刻は２２時１５分。
取りきれないかも…なんていう心配をよそにサラっと満タン近くあった下皿のメダルを飲ませてあっさり取り切れました。

計数機から吐き出されてきたレシートに表示されていた枚数は…


９４５０枚！！！？


初万枚意識したのに届いてねーのかよ！
下皿飲まさなけりゃ万枚だったんじゃねーのか？！

てか、前任者より出てんじゃねーよ！！


複雑な思いを噛み締めながら換金。

ここまで来ると逃した魚を捕らえるべく、合わせ万枚目指してもう一勝負。

何故か猛獣王に着席。

もう一度言います。
取り切ったのが２２時１５分。

しかし乗ってるときはそんな事お構いなしに１KBIG。

サバチャンは付いてこずに１５０枚を流し、１０００円投資の９６００枚回収。


その日の晩に正直に出玉報告をして少し渡そうかとすると、俺が打ってたら終わってたかも知れんしガラムが出したんやけん受けとらんよ！と。

やっぱり持つべきものは友達です。


これが自分の経験した最高出玉かつ最も旨い話でした。
ここまで出来すぎじゃなくていいので、万枚を経験させてください。

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