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究極のオカルトを求めて。その2
究極のオカルトを求めて。その2
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あしのさん
あしのマスクの中の人。浅草在住フリーライター。インタビューウィズスロッター連載中。パチ7の他は『ナナテイ』『ななプレス』『悠遊道』などでも書いてます。ツイッターもあるよ!@Slot_Ashino - 投稿日:2016/03/12 00:43
究極のオカルトを求めて その2
「インタビュー・ウィズ・オカルター編」
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一週間ぶり。
お元気でしょうか。
俺は「寒の戻り」の直撃を思っくそブチ受けて見事に体調を崩しました。
超久々にシフト変更して三連休とか取っちゃったよ……。
ああ、こんな時にアレがあればと切に思う。
そう。ヘデクパウダーだ。
すごく良く効く解熱薬だよ。
子供の頃、長崎で生活してた時代があって、その時にテレビでかなり流れてたんだよね。ヘデクパウダーのCM。
良く見かけるCMだったんで俺の中では全国区レベルの有名メディシンなんだけども、長崎以外の場所ではついぞ見かけず。
つい先日、それが「長崎限定のCMだった」事を知って腰を抜かしそうになった。
えー……。ホントに?
マジで?
にわかには信じられないんだけども。
ホントにみんな知らないのかね?
ヘデクパウダー。
小学校の頃にヘデクパウダーごっことかやんなかった?
音楽室とかで小太鼓があるとポンポンポンポン……って鳴らしながらインディアンの真似しなかった?
誰かが「頭痛い」つったらそれに続いて「歯痛い、熱あーる」って言わなかった?
「ハオ! それならこれ!」
「ヘデクパウダー!」
「鎮痛解熱に平坂製薬のヘデクパウダー!」
ポンポンポンポン……。
はい長崎県民だけ爆笑。
まあ今はインターネッツに何でもあるから、ヘデクパウダーのCMもたぶん検索したら出てくるだろう。
暇な時に見てくれ。
チワッス、あしのっす。
究極のオカルトを求める連載企画の二週目。
前回は「オカルトとはなんぞや?」という総論的な話だったけど、今週はもう一歩踏み込んでみよう。
題して、「インタビュー・ウィズ・オカルター」だ。
要するにオカルターに話を聞いてみようと。
やっぱ文系の研究活動においてはフィールド・ワークって凄い大切だからね。
対象に触れて、接して、話して、調査して、纏めて、考察して、書いて、そして発表するのだ。
じゃあサクサク行ってみよう!
レディー・ファイッ!
●マダム・バタフライ。
3月初旬。
浅草の片隅。薄暗い洋楽バーにて。
カウンターに座る俺の横には、目深にキャップを被った女性が座っていた。
彼女の名前は「マダム・バタフライ」。当たり前だけど仮名だ。
歳は不詳。俺よりも上なのは間違いない。
顔立ちは浅野温子に良く似てる。
バーの常連同士、たまに話したり絡まれたりしてるが、そこで分かったのが彼女が根っからのパチンカーである事と、そしてオカルト教のジーロット(狂信者)である事だった。
彼女は今、水割りが入ったグラスの中で氷を転がしながら、気だるそうに肘を付いている。
カウンターを挟んだ向こう側には、バーのマスターもいた。
マスターはスロ・パチ両刀のギャンブラーで、こちらは健常なデジタル思考の持ち主である。
店内には俺とバタフライ、そしてマスターの他に人の姿はない。
音量を抑えたアンプからクリーデンス・クリアウォーター・リバイバルの『雨を見たか?』が流れるなか、俺はビールを一口飲み、改めて隣に座る女性に向き直った。
「そうだ。バタフライさん、ちょっとインタビューしていいすか」
「え、なに。インタビュー? どうしたのあんた」
「いや、ブログにバタフライさんの事書きたいんですよね。ああそう。俺ブログやってるんすけど」
「ブログ? なにそれ気持ち悪い」
「えー……。気持ち悪いですか?」
「……気持ち悪いわよ。ブログ? なんだよそれ……。あれでしょ? ゲーノージンとかがやってる……。お前電器屋だろ! シロ!」
シロ。
この店での俺の呼び名である。
余談だが、この時点では「オカルト研究」のネタはブログでやろうと思ってた。
気付いたら自由帳に書きなぐってるけども。
「トホホ……。とにかくちょっとオカルトについて話しを聞きたくてですね」
「オカルト? ってなんだっけ? 怖いやつ?」
「いや怖くないんですけど、なんてかなぁ……。まあいいや。ちょっと何か色々聞かしてくださいよパチンコの話。嫌いじゃないっしょ」
「まあ嫌いじゃないけど、……あたし何話せばいいんだ?」
「うーん、そうだなぁ……。じゃあ、バタフライさん。自分の中で、『コレが来たらすげーいっぱい連チャンするぞ!』っていう演出とかあります? 牙狼でも慶次でもなんでもいいんすけど」
イージーな質問だった。
たぶんここで変な答えが来るから、それをイジってネタにすればいい。
それでエントリーの出来上がりだ。
ビールに手を伸ばしながら悠然と待つ構えの俺に放たれた言葉は、意外なものだった。
「ないよそんなの。あるわけないじゃん」
「……え。ないんすか」
「ないわよ。馬鹿じゃねぇのお前。そんなんあったらその台打っとけばいいじゃん!」
「その台を打っとく?」
「うん。いい演出でて、それが出るならその台離れないじゃん?」
「いやよく分かんないですけど、あれ? いやそうじゃなくて……。設定示唆とかの話になってるんですかねこれ。……マスター?」
水を向けると、タバコを吸いながら薄目でこっちをみてたマスターが頷いた。
「シロくん。バタフライさん、パチンコに設定あると思ってるから」
「あー……なる」
「え、何? 何の話してんだ? お前ら。あたし何か変な事いったか?」
「いや、なんも変じゃないです……。ええと──……。じゃあ、逆にコレきたらダメだー! って演出あります?」
「あー、それはあるかも」
「あるんですか」
「金玉かなー。金玉でハズレたらもう沈むね」
「……翻訳してくださいマスター」
「牙狼の話だよシロくん。金保留の事」
「ああ、なるほど……。てかむしろ金保留で外れるとかあるんですか」
「全然外れるよ。体感20パーくらいしか当たんない」
「イカれてんな最近のパチ……。じゃあ、バタフライさん。改めて聞きます。こう、スゲー調子よく出てるとするじゃないですか」
「ああ。高設定」
「そう。高設定のパチンコ打ってます。そんとき、金玉がドーン。はい外れた! 移動します?」
「うーん。どうだろう。色々あんじゃん。玉の飛びとか」
「……玉の飛び?」
「お前パチンコ打たねぇからなー。あたしの話しちゃんと分かるかなぁ。こう、玉がさー。カキーンつって跳ね返って、ちょっと戻って入るじゃん。その時は調子いいんだよ」
「ちょっとまって。全然分かりません。ええと、何? マスター何言ってるのこの人」
「俺も全然分かんない。詳しく聞いたほうがいいんじゃないのそれ。……シロくんビールおかわりいる?」
「あ。要ります。……バタフライさん、玉の飛びについてもうちょっと聞いていいですか?」
「だから、こう、ちょっとさ。戻って入るんだよ。玉が。前に慶次で19連した時、妙に戻るからおかしいと思ったんだよね。そこからあたし玉の入り方には注目するようにしてんだけど、伸びるときはだいたい戻るね」
「うへぇ……。意味分かんねぇ……。ちょっと待って。そしたら設定って一体何が変わるんですか? 当たりとか連チャンとかは玉の入り方っすよね? 設定ってなに?」
「波ね」
「波!?」
●カオスワールド
二本目のビールを喉の奥に流し込みながら、とりあえず聞いたことをメモにまとめつつ、更に突っ込んだ話を聞く。
「波っつうと……。グラフの事っすかね?」
「そう。グラフね。グラフはもう、モロに店の癖がでるから」
「オウフ……。すげえ話になってきた……。最初にグラフありきで店が出玉を決めてるって事ですかね?」
「店っつうか、店長かな」
「よく逮捕されねぇなその店長……! じゃあ、グラフ見てればだいたい勝てる感じです?」
「いやー毎回は勝てないね。その辺はほら、あっちも裏をかいて来るじゃん?」
「読み合い……!」
「そう。店長との読み合いよね。パチンコは」
「すげえ。風車と戦うドン・キホーテみたいな話になってる……!」
「だから、店長の癖を掴んだら次に出る台が見えるのよ」
「……マスター。マスター」
「なに?」
「意外と理にかなってませんか。道のりはおかしいけど、結論としてはジグマ的な立ち回りの基本を抑えてる気がして来ました」
「まあ、本能だよね。そのへん。理論じゃなくて本能で勝ち方理解してるんだよバタフライさん」
「パチにホントに設定があった時代なら──……もしくは、スロの方での立ち回りとしては悪くねぇ気がします」
「うん。ホントそうだねぇ。今のパチでやってるのイカれてるけどねぇ」
「ゴホン。じゃあバタフライさん。たとえば、浅草の──あの店の店長の癖ってわかります?」
「あーあそこ? もー超わかるよ。あそこは。死ぬほど通ってるもん。対角線ね。あそこは」
「対角線?」
「そう。対角線。こう、端の台がでるじゃん? そしたら次の日、後ろの3つ隣が出るもん」
「それ対角線じゃなくないすか……? まあいいや、ええと、なんらかの法則性みたいなのがあると」
「そう。対角線ね。あ。あとね。お前らよく『回る』とか『回らない』とか言うじゃん?」
「ボーダーの事すかね。うん。いいますね」
「あれ無意味だからやめといた方がいいぞ」
「全否定……!」
「そう。全否定だよそんなの。めっちゃ回る台とか絶対でないもん」
「じゃ、じゃあ、戻って入ってめっちゃ回ったらどうするんです」
「戻って入ってるならいい」
「そんな重要なんすね……戻って入るの……」
「そう。ただ回る台はダメなのよ。むしろクソ台だから」
「うおお……わかんねぇ……!」
「それからな。台移動は細かくやった方がいいぞシロ」
「ああ、まあ、そりゃあ……。うん。良い台が空いたら移動したほうがいいでしょうね」
ただ、バタフライさんの場合、その「良い台」の基準がカオスなわけで。
とりあえず今までの流れを整理すると、こうなる。
あくまで、バタフライさんの中でのパチンコ理論だ。
・台には設定があり、グラフの形に影響する。
・設定を決めてるのは店長である。
・金玉で外れたらダメ台。
・玉が戻って入る台は連チャンする。
・爆発した台の後ろ、3つ隣の台が出たりする法則がある。
・ただ回る台はダメ。
らしい。
全く分からんが、それを踏まえて「店との読み合い」にベクトルが向いてるので、要するに「店対客」。胴元ありきのギャンブル総てに応用が効く精神的な心構え、みたいなのには見事に通じてる。
「細かく台移動してるとさー、やっぱ出るんだよね。これはあたしも良くわからないんだけども、なんか台から呼ばれる時あるんだよね……」
いよいよだ。
いよいよな単語がでた。
台から呼ばれはじめたらオカルターもいよいよだと思う。
「よし。もういい。辞めましょうこの話は」
「え。もういいの?」
「うん。話題変えます」
それから俺は、どうしても聞いてみたかった質問を投げかけた。
「バタフライさん、パチンコの生涯成績──今までの全部の勝負のトータルですけど、どうでしょう? 勝ってます? 負けてます?」
「負けるねぇ。多分。計算してないけど」
「あ。普通に負けてるんだ。意外」
「意外じゃねぇよ。勝ってるやつとかマジ居ないじゃん? パチンコ」
「そりゃあその立ち回りじゃあ……ゲフンゲフン」
「でもな、あたしギャンブル全部ひっくるめると絶対勝ってるぞ」
「……ん。なんか他のギャンブルやってるんですか」
「競輪とか。競馬もやってたなぁ。あとポーカーね」
●総括。
ポーカー。
これはつまり「違法賭博」のポーカーゲーム屋の事だ。
もはや30年くらい前の話なんで書いてもいいだろうと判断してここに記す。
「ポーカーやってたんですね」
「やってたよ。てか経営してたね」
「……え?」
「いやー儲かったなーあれは。最初ノーパン喫茶の経営やってたんだけども、ポーカーの方が儲かるってきいてさ。別の奴と一緒にやったんだけど、すごかったよアレは。最終的に金持ち逃げされたけどね」
「カイジか……!」
「そっから競馬にハマってさー。一回、1レースで400万勝って、もうあたしお母さん連れて速攻で旅行いったもんね」
「うわ、すげえ……」
「あたし基本的に穴狙いだからさー。しかも金持ってたから張る額もデカいじゃん? だから当たる時がすげーデカいんだよ。面白かったなぁあれは……」
「ねえ、バタフライさん」
そこまで聞いて俺はふと思った。
なんでこの人パチンコ打ってるんだろう。
性風俗から違法ギャンブルへの転向、そして競馬の穴狙い一点張り。
人生譚を聴くに完全にアウトローのそれだが、結果として今のバタフライさんが出来上がってるわけで。そしてその現状の彼女がチョイスしてるのが「牙狼」であり「慶次」なのだ。
ストレートに疑問をぶつけた。
「なんで、パチンコなんか打ってるんです?」
「お前、それ聞いちゃう?」
彼女はグラスに残った水割りを飲み干すと、マスター、もういっぱい同じの頂戴、と言って、それから笑った。
「そんなの、面白から、に決まってんじゃん!」
以上。
俺が知る中で最強。魔術師レベルのオカルターへのインタビューだ。
最後の一言。「面白いから」というのに今回のインタビューの総てが凝縮されてると思う。
ハタから見ると馬鹿馬鹿しい──……というよりも、荒唐無稽ですらある謎の理論で立ち回り、そして結果も「負けてる」らしいが、それでも彼女はパチンコが大好きなのである。
金玉ハズレ爆死理論も、そして玉戻り好調理論も、すべては彼女が経験則から編み出したれっきとした「オリジナルオカルト」である。
そしてそのオリジナルオカルトは、勝つために存在するものではないらしい。
どうやらそれらは、スパイスなのである。
パチンコをより楽しく打つための。
都合五本のビールを空け、ゲップをしながら店を出た。
3月の空。
薄く濡れたアスファルトから、湿った冬の匂いがした。
くわえタバコで家路を急ぎつつ、俺は少し負けた気分になった。
なぜなら、彼女はきっと、俺よりもホールの空気を愛して、そして楽しんでいるのだろうから。
──さて!
今週はここまで。
来週はいよいよ、俺自身がオカルター化してみる。
まずは「美輪明宏待受打法」からいってみよう!
それではみなさんまた来週!
シー・ユー・ネクスト・万枚!
アディオス。
13
あしのさんの
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このコラムへのコメント(6 件)
チワッス!
これ最終回でも良かったかなぁとか思ってますw
なんか他に魔術師クラスのオカルターいたら「インタビュー・ウィズ・オカルター」の続編書きますねww
チワッス!
バタフライさん、絡み酒もハンパねーっすよ。神ですw
俺も他のガンブルはマジで全然やんねーので、ハマってる人の話きくとたまに羨ましくなります。楽しそうな、知らない世界があるんだなーと。
今度競馬やってみようかな。
つか、いきなりブッこんできたっすねw
いや・・・これは素晴らしきオカルトの世界のほんのいっかくなんすね・・・
たまんねーっす!たのしみっす!!
僕はパチンコ&スロットはやるのに、競馬・競輪・競艇とか全くやらないんですよね。バタフライさんの「面白いから」の言葉は重みを感じました。パチ&スロは自分主役の小さなドラマがあるから好きなのかもしれません。
チワッス!
何かもう後半ヤバすぎて書けない話一杯でクソ面白かったっす!
またパンチが効いたオカルターの人がいたらぜひ話を聞きたい所存。
誰かいたら紹介してくださいw
くぅ〜〜たまんないぜっ‼︎
オカルトで立ち回ってる人の話は酒が入ってるとクッソ面白いんだなぁ、これがっ‼︎
気になる美輪明宏打法は…
シーユー ネクスト 万枚‼︎
楽しみに待っています‼︎