昭和のアイドルパチンコ

「今までいちばん打ち込んだ機種は？」
パチンカーとスロッターのあいだでは、このセリフは挨拶とおんなじだ。

パチンコはCR歌姫伝説 中森明菜 BX　パチスロは俺の空。
コレは私の場合だけれども。
どちらも設置期間がわりと長く、たくさんのファンに愛された名機だと思う。

なんで、そんな懐かしい話をするかというとガラケーがでてきたのだ。
「うわっ！これ懐かしい！若くて痩せててイケてる自撮りあるかなー⁉」

わくわくしながら、ちょっと長めの充電をして、データフォルダを開いてみたらパチンコの液晶演出の画像ばっかりだった。

たしか、この端末を持っていた頃の私は365日ホールにいた。
ドル箱まみれ……と、いうとバブリーに聞こえるが、ただ単に典型的なパチンカーだったのである。

昼はどっぷりパチンコ店員！
夕方からはマイホでパチンコ♡
お休みの日はデータ取りと原稿書き！

今の私より300倍くらい勤勉にパチンコ・パチスロに取り組んでいた。
勤勉に取り組んだ……なんて書いているが、そのころの私は仕事（パチンコ関係）が楽しかったのだろう。

仕事をしすぎるとオッサン憑依モードになる私は、その反動からかピンクまみれだった。
某林家夫妻もビックリ！ な、ピンクまみれだ。

CRピンクレディー セカンドツアーは当時めちゃめちゃハマっていた。
もともと大衆音楽を聴かずに育った私にピンクレディーはドはまりした。

なんて綺麗な日本語をつづった歌詞なのか。
彼女たちは綺麗な脚に高いヒールで踊っていて、とても美しい。

昭和と平成。ギリギリの私にドンピシャだった。
絵師さまの画風もイマドキで！
曲のアレンジもいいカンジで！

昼も夜も好きな機種を眺めて私は幸せだった。

しかし、その幸せは長くは続かなかった。

歌姫伝説。なんていうタイトルをつけられるくらい、そのメーカーのスピーカーは音がよかった。
でも、その台のスピーカーの不具合→発火→全国一斉稼働停止→撤去と、あっという間にホールから姿を消したのだ。

コレがアイドルの引退か……。と、たいそう悲しかった気持ちを覚えている。
好きな人やモノには素直に好きという、いつなくなるのかわからないのだから。

不具合からの回収騒動となったCRピンクレディー セカンドツアーには、もう再会できない。
いま当たり前のように打っている機種にも、それは起こりうる。

思い出だけにとらわれるワケにはいかないけれど……と、いまより痩せてる自撮りを眺めながら思うのである。

3