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ザ・ノンフィクション
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ダストさん
- 投稿日:2024/01/18 07:01
ネットで「プロポーズ」と検索すると、女性が喜びそうな場所やシチュエーションが、色々出てきます。
夜景が綺麗であるとか思い出の場所、海、教会などが人気のようですが、思えば私はプロポーズを最悪の場所、最悪のタイミングで行ってしまいました。
これ以下はもはや獄中結婚、というくらいの最悪さでした。
ふと、今年で結婚生活も丁度10年目か、と気付き、あの呪われた一日を振り返ってみようと思いました。
「ついに…ついに見つけちまった」
よく晴れた夏の日、強い日差しに照らされながら自転車を漕ぎ続け、汗だくになりながらそのホールにたどり着いた私は、目を疑いました。
なんだ、このヘソは。
上から見ると、明らかに「ハ」の字に見えます。普段殺られているホールのヘソがピンポン玉だとしたら、大袈裟ではなくテニスボールくらい開いてます。ちょっと言いすぎたかもしれませんが、ど素人に毛が生えた程度の私にすら明らかに違いがわかるほどです。
落ち着け。
自分に言い聞かせ全台のチェックを始めましたが、全ての台で同じくらいヘソが開いているようです。
その日は給料日前日ということもあり、財布には千円札が一枚のみ。しかし、確認のため沖海の甘を打ちますと、驚きの1K28回転でした。
当りを見渡すと、客付きは3割程度で年齢層は高めです。トイレに向かうと、「H店くん」という方の来店ホール、と書かれたポスターもある。
ポスターがあるということは、この方はプロなのだろう。
プロが通い、釘も良好で客付きも少なめ。
これが、パラダイス店ってやつか…。
当時私が住んでいた埼玉県S市にはろくなホールがなく、収支は赤を超えてもはや真紅、というくらい真っ赤に燃えていました。
数年前に返済を終えた消費者金融に再び手を出すわけにもいかず、もしかするとホール選びから間違っているのでは、と市内を走り回りやっと見つけたそのホールに興奮が止まらず、帰宅するとすぐに同居人のMに血走った目で「ついに黄金郷を見つけた!」と、告げました。
同じS市に住んでいたMとは職場で知り合い、何となく付き合うようになり、何となく同棲するようになったのですが、当時の私は阿佐田哲也先生やしのけんさんのような、ストイックな感じがするギャンブラーに憧れており、かといってパチンコで食っていくような腕はないので仕方なく正社員として働いておりました。
当然将来のことなどは一切考えておらず、30を過ぎたというのに「パチスロ、小説、音楽さえあれば幸せ」と思っていましたし、結婚なんて想像したこともありませんでした。
Mはというと、そんな私に不満を感じていたのかもしれませんがおくびにも出さず、たまにパチンコに誘うと喜んでついてくるような気のいい女でした。
そんなMにそのホールのことを熱弁すると、「この人は本当にギャンブラーとしては下手だけど、無駄に知識だけはある。だから本当なのだろう」と思ったのか、二つ返事で「私も行きたい!」と言い出しました。
あんなぬるい店、二人でいけば2倍出玉に期待できるな、とほくそ笑み、ちょうど明日は給料日でお互い休み、ならば朝一から特攻をかけるか、と約束しました。
その夜は大勝ちしたらプレステ3買おうぜ、えー、それ取らぬ狸の皮算用だよ!などとキャッキャキャッキャ言いながら、幸せな眠りにつきました。
明朝10時丁度に戦場に辿り着くと、すぐにパチンコのシマをチェックしました。ヘソは相変わらず大きく開いており、胸を撫で下ろします。
誇らしげにMに「な?」と微笑みかけると嬉しそうに、「すごい!すごい!」と連呼しております。
パチンコは回ってなんぼ、あとは確変を取れるかどうかの勝負だ。
普段から確率に愛されていない私は、確変の振り分けに負けることだけを危惧し、ならば「当たれば確変」の、リング運命の日と勝負することを決めました。Mも鼻息荒く左隣に座ります。
「いいか?多少当たらなくてもこのヘソなら必ずボーダーを上回るはず。絶対にやってはならんのはヘタレやめすることだ。多少確率のぶれはあるかもしれないが、俺を信じて勝つまでいくらでも金をぶち込め」と、言い聞かせ地獄の実戦がスタートしました。
打ち始めて数千円で私はあることに気がつきました。
なんか、回転数にめっちゃムラがねえか?
最初の千円は順調にヘソに吸い込まれ20後半回っていたのに、次の千円では15回…ストロークのずれか?と調整しつづけるもなかなか安定しません。見るとMも苦戦しているようです。
このヘソ、もしかしたら罠じゃね?
うっすらと嫌な予感がしました。投資10K時点で平均すると、ボーダーを少し上回る程度でした。よくよく玉の動きを観察したところ、風車周辺でもがき苦しむように左へ右へと散らばっていきます。
これが噂に聞く、風車のマイナス調整というやつでしょうか。
しかし、あれだけいった手前、ここでやめるわけにはいきません。ボーダーちょい上なら勝負になるはず…!
残念なことに、その日は初当たり確率にも愛されておりませんでした。打っても打っても当たらず、当たってもショボ連を繰り返し、次第に私もMも死んだような目になっていきました。
辛く長い時間を過ごしすぎてトランス状態になったのか、その時の私の意識は、右隣に座るノースリーブのオバハンに支配されていました。
彼女の左腕にはBCGの跡がしっかりと残っており「おお、逆にエロいな」などと考えていると、Mが叫びました。
「金だよ!金が出ているよ!」
我に返り、慌てて盤面に意識を戻すと、呪いの電話のプルプルが金色に輝いております。
Mと二人、息を止めてその後のリーチを祈りながら眺めていたところ、願いが天に届いたのか見事大当たりをゲットしました。
時刻は21時。これがラストチャンスに違いない。ここに全てを賭けるんだ。
思えば私のパチンコ人生、常に確率に嫌われておりました。あの、数字通りに引けなかった確変たちはどこへ消えたのでしょう。
「消えていった確変たちよ、俺に力を貸してくれ!今こそここに集まれ!」
魔神ブウを倒すべく地球の人たちから元気を集めた悟空のごとく、失われた確変たちを時空を超えて召喚するため目を閉じ精神を統一しました。
そして、瞼の裏側に乱数テーブルが浮かびあがってくるのを感じました。
ここだ!!
私は、全力で右打ちを開始しました。
これだけがんばったのに、確変は4ラウンド一発で終了です。
「やめよう…」
二人ともボロボロになって店を出ました。お互い無言です。
給料日にその大半を一日で失うという生き地獄、私は慣れっこですがMは女性です。
いったいどう思っているのだろう。
さすがに気まずくなりました。
ここは狂ったフリをしてやり過ごすしかない、そう判断した私は即興で作った「暗黒の破壊神」という曲を歌い、手をブンブン振り回しながら国道を走り出しました。
「あーんこくのはーかいしん♪
あーんこくのはーかいしん♪」
充分な距離をとり、恐る恐る後ろを振り返ると、なんとMは笑っていました。
笑いながら、
「次、いつ行く?」
と、のたまうではありませんか。目がマジでした。
やばい、こいつとなら修羅の国すらも乗り越えられるかもしれん。
そう思った瞬間、口をついて出たのが
「俺たち結婚しねえか?」
という言葉でした。
「ほんと?嬉しい!」
今でこそ「おいおい、おめえもうちょっとよく考えろよ?相手は俺で、ここパチンコ屋の前だぜ?」と思うのですが、二つ返事でOKをもらい、我々は抱き合いました。
これが私のプロポーズです。
あれから10年経ちましたが、今でも鮮明にあの瞬間のことを覚えております。
二人の子宝に恵まれ、さすがに共に修羅の国は渡れなくなり、たまにお馬さんでやらかした時には「おう、オメーいいご身分だな、オイ」的なことを言われるようにもなりましたが、まあまあ幸せに暮らしてきたのではないかと思っております。
しかしながら、未だに言えない隠し事が一つだけあるのです。
プロポーズ後、パラダイス店についてネットで調べたのですがまさかの35玉交換で、ボーダーを余裕で下回っていたことは、墓場までもっていく秘密となりそうです。
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ダストさんの
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このコラムへのコメント(18 件)
ありがとうございます!
童顔なのにボーボー、とか気が強いのに貧乳とか、そういうものを追い求めています。
追い求めすぎて、最近好きなジャンルはNTRというところまで辿り着きました。
BCG跡、逆にエロいなというくだり最高でした!
あれ何でエロスを感じるんですかね…ダイショーのロゴに欲情した事はないのに…
広告はみたことないですがさっき調べてみたらリニューアル工事中と書いてました
ちなみにみんぱちにのっていたその店の特徴、当時の自分に見せてあげたいです↓
パチンコはヘソ釘ガバガバの台が多数
ボーダー+5とかは普通にあります。
ただ辛い台は等価ボーダーすら回りません。
ヘソ開けて他でマイナスにする設定です
ヘソしか釘見れない人は色々勉強になるホールだと思います。
いやー…
回りそうで回らなかったんで、悪ですねw
ていうかこの店最近閉まった(リニューアル予定と一応言ってる)パチ7に広告出してる、なぜかスロとパチで交換率違う僕の知ってる店ですかね…?
35個>先日書き込みましたが40個交換のお店はありだと思いましたね
とにかく回るのは正義だなと
この時は一緒に修羅の道を歩んでいけると思っていたのですが、「夏競馬は荒れるから逆にチャンス」とか適当なこといって毎週ほぼ全レースやってたら2ヶ月で60ほど溶かしてしまい、「あ、ストッパーって必要なんだな」とものすごく反省しました…
今ではストッパーになってくれて、ほんとありがたいです
瞼の裏側に乱数テーブルが浮かびあがってくる←だとしてもだからなんなんだwwwww
ってくそ笑いました
いい奥さんですね…
ド、から始まる動物系の名前です…
イヤーイイハナシダッタナー