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高ベースAT機の到達点 ~ゲーム性を超えたゲーム~

【お題嬢】おすすめパチスロ6号機を教えて下さいませ。 | コラム

高ベースAT機の到達点 ~ゲーム性を超えたゲーム~

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アリオリ侍:Reさん
カボチャに脳を焼かれたスロッター。現最推しはフェアリーグランプリ。めちゃくそ面白いぞ。
投稿日:2021/09/30 21:25

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ガールズケイリンGⅠフェアリーグランプリは、ひとつの『到達点』です。

6号機ではメジャージャンルである高ベース型AT機の中にあって、
フェアリーグランプリが積み上げたその偉業は、
パチスロの歴史に先ず以て書き込まれるべきだとさえ、私は思うのです。

このテキストでお伝えしたいのは、
ガールズケイリンGⅠフェアリーグランプリ(以下フェアリーグランプリ)を
『到達点』たらしめる、三つの所以です。

 ①サイコロ目
 ②『ゲーム性』を超えたゲーム
 ③高ベース機としてのポジティブデザイン

これら①~③を、順に説明していきますが、
それぞれは決して独立しているわけではなく、
原子核レベルで芸術的なまでに結合しています。

芸術、という言葉を用いました。
たかがパチスロに、と思いませんでしたか?
けして大げさな表現ではないと、私は信じているから選んだ言葉です。

パチスロであるフェアリーグランプリが、
音楽や絵画に比類できる、紛れもない『作品』であると証明することも、
このテキストの本意なのですから。

なけなしのボーナスをはたいてまで実機を購入し、
打ち込みに打ち込んでいる私だからこそ語れる事があってほしい。
そう信じて、言葉を紡いでいきたいと思います。


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 フェアリーグランプリの来歴と基本情報

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これを読んでいる方の中には、フェアリーグランプリがどういった台なのかを
良くご存じ無い方もいらっしゃるでしょう。

もう完璧に理解しているよという方は、例によって↓↓↓までワープをどうぞ。



・コナミの新規オリジナルの意欲作

フェアリーグランプリの開発は、『マジカルハロウィン』や『戦国コレクション』といった、
オリジナルコンテンツのパチスロに定評のある、コナミアミューズメント(以下コナミ)です。

フェアリーグランプリは競輪(ガールズケイリン)をモチーフとしており、
競馬の世界を舞台にした『GⅠ優駿倶楽部』の流れを汲んでいます。


登場キャラクターは主人公である「武井リン」を含めて全8名。
コナミがこれだけのキャラクターを独自に描き起こしてパチスロに仕上げるのは、
2017年3月導入開始である「防空少女ラヴキューレ」以来の事です。

(2019年の『実況BINGO倶楽部』にもオリジナルの可愛いキャラを生み出していますが、規模感はウンと下がります。)

フェアリーグランプリの稼働開始は2020年11月です。
2019年9月にはフェアリーグランプリの開発第一報と見られる痕跡がネット上にはあるので、
2019年2月に稼働開始した「GⅠ優駿倶楽部2」の開発終了と前後して、
制作が本格的に開始されたと思われます。

しかしフェアリーグランプリの開発期間を私が正確に知る由もありませんし、
一般的なパチスロ機のそれと比べて長かったのかも、分かりません。

しかし初代マジカルハロウィンがヒットした2006年以降、
それまで年に4台以上を必ずリリースしてきたコナミ(旧KPE)が、
2020年は3台のリリースに留まっています。

また、コナミの動画コンテンツ「まじおつChannel」では、
フェアリーグランプリへの入れ込み具合が現れています。

「まじおつChannel」は、2019年12月稼働の「マジカルハロウィン7」に併せて開設された動画シリーズです。
ここでフェアリーグランプリは、予告含む4本の動画でプッシュされています。

一方で、マジハロ7からフェアリーグランプリ稼働までの2機種(スカイガールズ、戦コレ4)は、このチャンネルで殆ど取り上げられておりません。

少なくとも、コナミにとってフェアリーグランプリは、2020年度の目玉機種のひとつではあったようです。



・周期×育成を軸とした荒波台

フェアリーグランプリは、そのシリーズである優駿倶楽部と同様に、
通常時は周期抽選と育成システムを取り入れています。

この周期と育成を軸にしたものの元祖は、
「シンデレラブレイド」シリーズ(開発:ネット)と思われます。
規定G数内で引いた小役に応じて、レベルアップしていくシステムでした。

一方でGⅠ優駿倶楽部は、1周期を競走馬出走までの育成スケジュールに見立て、
進行させていくシステムが特徴です。
そのスケジュール内容は1週間=7G毎に決まるので、それが叩きどころの緩急を生んでいます。

対してのフェアリーグランプリは、スゴロクマップの上をサイコロを振って進み、
イベントをこなしながら目的地を目指すというシステムになっています。

目的地に到着すると、予選レースが開始。
ここまでが1周期となっており、予選で敗北すると次の周期へ移行します。
ちなみに天井は8周期到達(AT確定)or 約500Gとなっています。

その予選で勝利すれば、本AT突入を賭けた決勝レースに挑戦。
決勝レースの前には、勝率を上げるためのCZ(チャンスゾーン)があり、
そこでは「押し順ベルの第一停止位置」でレベルアップの可否が決まる、ガチ抽選が行われます。

決勝レースに勝つ事ができれば、期待値約700枚のATに突入しますが、
やはりCZでのレベルアップ具合がカギを握ります。

いわゆる「突破型」という部類の台ですが、
その代表である「Re:ゼロから始める異世界生活」とは、趣がだいぶ異なります。
(理由は後述いたします)

ATは純増約2.6枚と4.1枚の可変型となっています。
約2.6枚の状態がベースとなっていますが、
そこでは、純増が4.1枚に上昇する「GK BONUS」を賭けた、「バトル」の突入を目指して消化します。
(GK BONUSの「GK」は、ガールズケイリンの略かと思われます)

ゲーム数消化後は、AT継続の可否を判定するレースに挑戦。
そこで敗北すると、通常時へ。
勝利すればセット継続となり、ゲーム数を決定するゾーンから開始。
最終的には獲得枚数とセット消化の両面で、完走を狙っていきます。

設定1のAT初当たり確率は1/924と非常に重いのですが、
その分ATの期待枚数が高い点が特徴。
設定1であっても、1日打ち切った際に一度でもAT完走する確率(2400枚獲得)は、
50%を超えるといわれており、いわゆる「荒波台」の部類に入るでしょう。



・救済のないハマりへの反感

導入当初、フェアリーグランプリに対するユーザーの反応は良くありませんでした。

特に批判の的となったのは、重いAT。
単にATが重いだけではなく、ATに入るまではコインの増える機会が少ないため、
そこが大きなストレスポイントとなっているからです。

ATに突入することなく「~~~Gハマった」と報告する姿がSNSには目立ちましたし、
動画サイトでもそのハマりっぷりに辟易するものが、いくつかアップされていました。

導入からもうすぐ1年経とうとする今でも、
フェアリーグランプリを激辛台の代名詞として扱う姿が見受けられます。

こういった批判は荒波台の宿命とはいえ、
システムの分かりづらさ=とっつきにくさもあいまって、
他の良い面が大きく注目されることはなく、
稼働が落ち続けて行った印象です。



↓↓↓↓


P-WORLDのデータを参照すると、
稼働開始から20%以上を維持していたフェアリーグランプリのホール導入率は、
6月から微減しはじめ、8月上旬には18%を切りそうになります。
しかしそこから持ち直し、これを書いている現在(21年9月)は19.2%にまで回復しています。

フェアリーグランプリが導入当初の評価のままであったら、
もしかすると導入率は下がり続けていたかもしれません。

興味を持って打つ新規ユーザーや、粘り強く打ち続けた常連が、
数は少なくとも一定数いたのではないかと推測します。

では、なぜそのユーザーや常連は、フェアリーグランプリを打つのか。
検索すると上位でヒットする「解析」や、通り一遍の「解説」では、
それを説明することは難しいでしょう。

フェアリーグランプリが、なぜ一部のユーザーに強く支持されているのか。
……それは、前述の「3つの到達点」に要因があるのでは、と想像するのです。



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到達点①
【サイコロ目】という発明

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ガールズケイリンGⅠフェアリーグランプリを評するなら、
まず何よりも【サイコロ目】の存在を語らなくてはいけません。

表題に「発明」などという言葉をつかって、大げさだとお思いでしょうか?
私は本気で、心から、【サイコロ目】をスロット史上最大の発明だと信じています。

【サイコロ目】を発明と言えるにたらしめる事を証明することも、このテキストの本意のひとつでもあるのです。

ではまず、【サイコロ目】の基本から説明します。

【サイコロ目】は
 ①中・右リールの中段にチェリー
 ②払い出しが無い
というふたつの条件を満たした出目の事です。

実践上では「ハズレ=払い出しが無い」場合、すべてこの停止系になります。

つまり、一般的には残念な役回りであるハズレのことを、
【サイコロ目】というネーミングでラッピングしているだけにすぎません。

問題は、ラッピングの中身=【サイコロ目】の効果です。

【サイコロ目】を決して馬鹿にはできないのは、
そのラッピングに相応しいレベルの効果を生むからにほかなりません。

どの様な効果かというと。
ざっくり「ベル・リプレイ以上、レア役以下」という立ち位置です。

フェアリーグランプリのレア役は、合計約1/30程度で成立します。
1/30という確率は、一般的か少々軽い部類に入ると思います。

一方、【サイコロ目】は約1/3で成立します。

実に3回に1回。
1/30に比べて、至極、現実的な数字です。

しかも確率が軽いだけではありません。
タイミングと運によっては、レア役以上の効果を発揮することもあるのです。



・【サイコロ目】の効能

【サイコロ目】の活躍場面は、あらゆる機会で訪れます。

たとえば、通常時。
スゴロクマップを進むために必要なサイコロは、
【サイコロ目 】かレア役が成立しなければ、基本的に手に入りません。

そのサイコロを振るGで【サイコロ目】を出すと、
上位のマスに停止するなどの効果が発生します。

もしもサイコロを振って進んだ先が、あまり良いマスではなくても、
マスに止まった次のGで【サイコロ目】を出すと、
成長ポイントの加算が見込めます。

スゴロクマップは、目的地に到着するだけが目標ではありません。
目的地に到着するまでに、いかに成長ポイントを稼ぐかが課題となります。

成長ポイントは、CZ突入をかけた予選レースの勝率を上げる役割を果たしますが、
CZでのガチ抽選が有利になるという効果もあり、非常に重要な要素です。

その成長ポイントを、スゴロクのマスを進めることなく稼ぐことができる、
という区間が「育成特化ゾーン」です。

育成特化ゾーンでは、【サイコロ目】をいかに出すかが勝負となります。

特化ゾーンのうち、「トレーニングモード」および「連続マッサージ」では、
【サイコロ目】で成長ゲージが最低5ポイント上昇します。
10ポイントや24ポイントなどの大量獲得も珍しくありません。

一方、この台の一番残念な目に相当する「1枚役」では、
ごく特殊な状況を除いて、2ポイントしか上昇しません。

もちろんレア役を出すことでも、それなりの上昇が見込めます。
ただし、【サイコロ目】との顕著な差を感じるのは強チェリーくらいなものです。

他にも、【サイコロ目】はレア役のサポート役という側面も持っています。
たとえば、レア役で獲得しやすい「青サイコロ」を使った際、
発生した演出のタイミングで【サイコロ目】を引いた時。
抽選によっては育成特化ゾーンに昇格することもあるのです。

約1/30という「出るかわからない」レア役よりも、
3回に1回という、とても現実的な【サイコロ目】を出すことに夢中になれる。

フェアリーグランプリは、そんな場面がそこかしこに溢れている台なのです。



・結果と成果の紐づけ

また、【サイコロ目】は、フェアリーグランプリの「自力感」をも担保しています。

【サイコロ目】は2種類存在します。
ひとつは、押し順による「ベルこぼし」時の「ハズレ」に相当するもの。
もうひとつは、押し順関係なく成立する「単独ハズレ(純ハズレ・共通ハズレ)」です。

私はこの2種類を
【押し順サイコロ目】
【単独サイコロ目】
として使い分けています。

5:2くらいの割合で、【押し順サイコロ目】の方が出現率が高くなっています。

【押し順サイコロ目】は、約5/7(1/1.4)で発生するベルフラグの、
6択中2択で成立するものと思われます。
(解析サイトには無く、証明は不可能ですが、独自に試算しました)

つまり、レバーオンの時点で発生したのがベルフラグだとしても、
押し順によって6択中2択=1/3の確率で、【サイコロ目】を引くことができるのです。

よく、6択や3択の小役を「???」という表示で、
「いまそれを押し順で成立させたらいい事がありますよ」と暗示させる機種があります。
(マジハロもそうですね)

しかし、フェアリーグランプリには一切そういった演出はありません。
それどころか、押し順を表示させておいて、
実は押し順が関係ない小役だった……なんて事もあるくらいです。

ではなぜ「???」が出ないのか?
それは「押し順を迫られる頻度が多いから」だと思われます。

ベルフラグの度に「???」が出されていたら、あまりにウザったらしくて、
フェアリーグランプリに入れ込む事はなかったでしょう(笑)。

しかしその弊害は、押し順による自力感の分かりにくさです。

この台を少し打つと、勘のいい方なら【サイコロ目】とポイント上昇などの連動に気付くと思います。
さらに打ち込むと、「単独」と「押し順」2種類の【サイコロ目】が存在することに気付くでしょう。

スロットを打つ魅力のうち、「達成感」は重要なファクターです。
この「達成感」は、フリーズを引いたとか、高設定示唆を出したとか、
レアな演出を見れたとか、実に多様な引き金が存在します。

その中には「押し順に正解した」があり、そしてその成果が「達成感」に比例します。

最近、3択を正解すると1000枚以上の獲得が期待できる台が出ましたね。
きっと正解したときの達成感は、えもいわれぬ歓喜でいっぱいでしょう。

その達成感を生んでいるのは、「3択を正解」と「1000枚」の関係性が、
ユーザーに分かり易い形で提示されているからでしょう。
単なる「3択の正解」では喜びようがなく、
「1000枚」だけでも『うれしいけど、なぜそんなに出たの?』という、
やらせにも似た不信感を抱かせてしまいます。

同じことは【サイコロ目】にも言えます。
この台を打ち込んでいくと、

①なんか良く分からないけど沢山成長ポイントが上がった
②サイコロ目を引けたので、成長ポイントが上がった
③押し順サイコロ目で押し順正解したので、成長ポイントが上がった
④押し順でサイコロ目を出した上、抽選で薄い確率を引いて成長ポイント爆上がりやったぜ

というふうに、段階的に達成感が上昇していくのです。

フェアリーグランプリは、分かりにくい一方で、
結果と成果の紐づけを理解していく事で得られる楽しさが、
満ち満ちている台とも言えます。

その顕著な例が【サイコロ目】なのであって、
解析を見ただけでは予想もつかない、打ち込み甲斐のある例は、他にも沢山存在します。

本来であればそれらも紹介したいのですが、
いまは【サイコロ目】の魅力についてご紹介をしています。
しつこい様ですが、もう1点だけ例をご紹介させてください。



・左第一停止ナビの謎

AT中は、純増枚数が増加する「ボーナス」への突入をかけたバトルが発生します。

そのバトルは、【サイコロ目】を出すことで、50%の確率で勝利できるというもの。
(レア役を出せば勝利濃厚です)

基本的に【サイコロ目】を出せるタイミングでは、ナビは発生しません。

ただし、まれに「左第一停止のナビ」だけが出て、
【サイコロ目】が出る……という現象が出現します。

最初、この現象に直面した時、私は率直に「勝負に水を刺さないでほしい」と思ってしまいました。

自力で【サイコロ目】を引いて、勝利した時の達成感がこのバトルの魅力です。
その自力感が売りのバトルで、なぜ【サイコロ目】の押し順が出るのか?

その疑問への理解は、以下の様に進化していきました。

①サイコロ目の押し順ナビが出るのには、不信感を覚える
②左第一停止のナビの時は、リプレイかサイコロ目が成立する様だ
③ナビ発生時のサイコロ目は、【単独サイコロ目】なのでは?
④左第一停止のナビ発生時に毎回検証したら、【単独サイコロ目】との確証を得た
⑤勇気を出してナビを無視しても、リプレイ・サイコロ目どちらも取りこぼさなかった
⑥つまり「左第一停止」のナビは「チャンス」の意味で、押し順は関係ない
⑦なにそれめちゃくちゃ楽しいやつじゃん…!!! 今度から逆押ししよ!

……この7段階をなんと表現するべきでしょうか。

たとえば。
彼氏に浮気疑惑があって、
でも真相は自分へのプレゼントを女友達に相談していただけで、
勘違いだと分かって逆に彼氏の事をもっと好きになっちゃった……♡

みたいな?感じでしょうか。

……であるならば。
そもそも、浮気を疑われる様な事=思い違いをさせる様なナビをなぜ出すのか?
皆さんはそう疑問に思いませんでしょうか。

私の理解はこうです。

ナビが無い時=【押し順サイコロ目】濃厚
左第一停止ナビが出る時=リプレイまたは【単独サイコロ目】(どちらも押し順は関係ない)

つまり、

ナビが無い時は、押し順を楽しんでほしい。
左第一停止のナビが出たときは、レバオンの結果を楽しんでほしい。
そして、その法則性に気付く楽しみを感じてほしい。

そんな開発者からのメッセージを、私はこの演出から受け取りました。
【サイコロ目】を入口に演出を読み解いていくと、こういった発見が沢山あるのです。

……さて、まだまだ語りたい事は沢山ありますが、
そろそろ【サイコロ目】の次の話へと進めさせて頂きます。

とはいえ、【サイコロ目】について最初に触れたのは、
【サイコロ目】がフェアリーグランプリという台の面白さを担保する、
すべての土台になっているからです。
ですからこの後も【サイコロ目】については、度々言及していきます。

【サイコロ目】は、それほどの存在感を放っているのです。
でなければ「発明」などという大げさな表題はつけません。




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到達点②
『ゲーム性』を超えたゲーム

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私はフェアリーグランプリを「ゲーム」と認識しています。

これまで何度か「この台」という言葉を使ってきましたが、
本当は「このゲーム」と表現したい。

しかし一般的に「パチスロ=ゲーム」として認識されているとは思えないため、
控えさせて頂いていた次第です。

ゲームと思えたパチスロ台は、フェアリーグランプリが初めてでした。

そうして、いったんパチスロがゲームであると気付くと、
他のパチスロ台も「ゲームとして楽しめるか」という視点で観察するようになりました。

パチスロのシステムが複雑になったとき、それを「ゲーム性」と表現する事があります。

「ゲーム性」は、「ゲーム的なもの」あるいは「ゲーム的な要素」とも言い換えられるでしょう。

この時に使う「ゲーム」という言葉には、
大きく2通り意味があるのではと、考えています。

ひとつは、遊びや勝負事の全般を含んだ、幅広い「遊戯」としてのゲーム。

例えばパチスロの押し順6択当ては、「どれにしようかな」的な、
時代を問わない遊戯の普遍性を持っていますよね。

もうひとつは、デジタルゲーム的な要素としてのゲーム。

「ボタンを押すとジャンプする」
「攻撃の成功でダメージを与える」
「敵を倒すと得点がもらえる」

といった、それこそブロック崩しやインベーダーゲームの時代から、
脈々と受け継がれているもの達。

現代のゲームは、ファミコンの時代にはすでに発明されていた要素を、
大量に重ねて複雑化させたものである……とも考えられると思います。

そういう視点で考えると、
「パチスロはデジタルゲーム的要素の集合体である」事に気が付きます。



・パチスロとゲームの壁

1960年代には既にスロットマシン型の遊技機は存在していた様ですが、
デジタルゲームが本格的に販売される様になったのは、1970年代に入ってからです。
(参照:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%81%E3%82%B9%E3%83%AD

むしろスロットの方が先輩であり、以後60年以上、
「リールをまわし、ストップボタンを押す」というゲームに特化して成長してきました。

対してTVゲームのコントローラーは、
ゲームの複雑化に併せてボタンの数が増えていきました。

入力のデバイスという意味では、
ゲームのコントローラーと、ストップボタンは同じです。

しかしパチスロは、ストップボタンの数の変化やリールの液晶化など、
細かな変化こそあれど、本質的な要素は変わらないままです。

その理由は、いうまでもなく規則があるからでしょう。

この規則は、いわゆる「ゲーム」と「パチスロ」を隔てかねない、
大きな壁の一つといえるのではないでしょうか。

そしてもう一つの壁として挙げたいのは、
「結果にどれだけ関与できるか」という問題です。

デジタルゲームは、キャラクターを操作したり、選択肢を選ぶ事によって、
敵に勝ったり、話を前に進める事ができたりします。
往々にして、ゲームプレイの技術が、結果を大きく左右します。

パチスロの方はどうでしょうか。
パチスロは技術介入の要素がなければ規則で認められないので、
小役の取りこぼしを防いだり、ボーナスをなるべく早く入賞させる程度の事は出来ます。

それ以外は「抽選」で成り立っているのがパチスロです。
その抽選結果に関与できるような攻略法は、昨今あまり聞きませんね。
攻略法がない以上、打ち手が抽選の結果に関与する術はありません。

では、レバーを叩いて、抽選受ける。
……それは「ゲーム」なのでしょうか。

多様な意見があると思いますが、これが「ゲーム」と言えるなら、
パチスロの複雑化したシステムのことを、「ゲーム」にわざわざ「性」という単語を加えて「ゲーム性」と表現する必要もないと思うのです。

しかし私はあえて言いたい。
『抽選は、ゲームです』と。

たとえば、ジャンケン。
ジャンケンはゲームでしょうか?
こう聞かれたとき、首を縦に振る人の方が多いのではないでしょうか。

では、相手の表情や癖を読む、といった要素をジャンケンから排除した時。

ジャンケンと、パチスロの押し順3択の違いって、何でしょうか?

たとえば、スゴロク。
スゴロクはゲームでしょうか?
「アナログゲーム」「ボードゲーム」と呼ばれる位ですから、
これはゲームで間違いないでしょう。

では、スゴロクで使うサイコロが、完全にランダムで目を出す時。

パチスロのレバーオンで受けている抽選との違いって、何なのでしょうか?



・フェアリーグランプリの中にあるゲーム

そう突き詰めて考えると、
パチスロとゲームの違い=壁などはなく、ゲームという幅の広い定義の中に、
ひとつのジャンルとしてパチスロがあるのだと気付いたのです。

それも、デジタルゲームに近い位置のゲームとして。

かつて「七色未来」(開発:SNKプレイモア)というパチスロがホールにありました。
稼働開始は2009年です。

ボーナス中に表示される選択肢によって、
異なるエンディングにたどり着く事で話題になり、今でも根強いファンが多い機種です。

後継の「シスタークエスト」も、
BIGボーナスの度にストーリーが進行するのが特徴でした。

これらスロット台と、デジタルゲームにおける恋愛シミュレーションや、
サウンドノベルといったジャンルを比べた時、違いなど無い様な気がしてなりません。

……で、あるならば。
フェアリーグランプリは、ゲームの塊です。

現代のデジタルゲームは、
『すでに開発された要素を大量に重ねて、複雑化させたもの』と前述しました。

まさにフェアリーグランプリは、
これまでにパチスロやデジタルゲームが生み出してきた要素を重ねに重ね、複雑化し、
塊となったゲームなのです。

例としてパチスロのストーリーやエンディングについて挙げましたが、
フェアリーグランプリはマルチエンディングとなっています。

枚数完走とセット継続完走とでは、違うエンディングが展開される仕組みになっているのです。

また、前述の通りフェアリーグランプリの通常時は、スゴロクマップ上で進行します。
デジタルゲームでいえば、桃太郎電鉄などに近い感覚で打つことが出来ます。

むしろフェアリーグランプリの方が、現代のデジタルゲームよりも、
ゲームとしての作品性をより高めているとさえ思える時があります。

なぜなら、現代のデジタルゲームは、「更新」が不可欠なものとなっているからです。



・「更新」と「作品性」

いま、あらゆるゲーム機は、ネットワークにつなぐ事が前提のものとなっています。
リリースされたソフトに、もしもバグが発見されれば、
修正されたデータが「更新」されるのは、当たり前になりました。

また、新しい武器やマップを追加したり、
ゲームバランスを調整したりするための「更新」も、
日常化しています。

以前「スプラトゥーン」というゲームをプレイしていましたが、
定期的な「更新」は、楽しみである反面、環境の変化に適応する手間に、怯える事もありました。

「更新」については、ソーシャルゲームが最も顕著でしょう。
ガチャを回してもらうために、次々とコンテンツを生み出す必要がありますから。
いつかサービスが終了してしまうという宿痾は、パチスロと似ているかもしれません。

しかしパチスロには家スロで遊ぶという選択肢が残されている一方、
サービス終了してしまったソシャゲは、ゲームそのものが遊べなくなってしまいます。

それらゲームの「更新」を悪いと言うつもりは全くありません。
昔のゲームは良かった、などとも思いません。
この事に言及したのは、それが良い・悪いという価値基準の話ではないからです。

しかし、「更新」をしつづけるという事は、
”作品としての完成”に、いつまでも到達しないという事ではないでしょうか?

スマホの普及でライトユーザーが増えたいま、
むしろゲームは、道路や通信回線のような、時代にあわせて修繕と改良をしつづける、
インフラの様なものになってはいないでしょうか。

一方、パチスロはリリースした時点で、「完成」されたものであることが要求されます。

この「更新」と「完成」の差は、おそらく制作者サイドにとって、
全く違うスタンスが必要になってくるのではないかと察します。

もちろんユーザーにとっても、これ以上「更新」される余地が有るのと無いのとでは、
ゲームに向き合う態度に、大きな差が生まれるのは当然です。

そしてユーザーのひとりである私は、この「更新」と「完成」の差に、
大きな「作品性」の違いを感じるのです。

たとえば、ダ・ヴィンチのモナリザが、毎年表情を描き直される絵画だったとしたら。
ベートーヴェンの第九が、毎週末リズムを微妙に変えて発表され続ける曲だっとしたら。

……破天荒な妄想ですし、それはそれでアリかも?って思えなくもないんですが。
現代において作られるものの多くは、これに近いもので溢れていると思っています。

恒久性の有無は、「作品性」に大きな差を生むのです。

細部に至るまでの完成度を求められるパチスロの作品性は、
ネットワークインフラが充実した昨今において、とても稀有な存在になりました。

私はこれを、誇ってもいい事だと思っています。
そしてこの視点は、新しいユーザーを取り込むヒントにもなりえると思うのです。

ここまでパチスロ=完成されたゲームであるという事を証明するとともに、
その優位性について紙幅を割いて説明してきた理由は、そこにあります。

更新のない完成された、攻略甲斐のあるゲーム。
それがパチスロなのだという認知がすすめば、
広範なゲームユーザーを取り込める可能性があります。

これまでそのことが言語化されて来なくとも、
そういった魅力が、一定程度のユーザーを引き込んで来た様にも思えます。

そしてパチスロの恒久的な”作品性”は、後世まで引き継がれるものですし、
いまだ愛されるレトロ台の多い事が、それを証明しています。



・ルールがあってもゲーム

パチスロがゲームとして認識されない壁のひとつに、規則の存在を挙げました。
しかし考えてみて頂きたい。

どんなスポーツにだって、ルールはあります。
e-sportsだって、全くのルール無しに大会が開かれる事は稀です。

そのルール=規則の範囲内で、どれほど完成された作品を作り出せるのか?

そう考えると、パチンコホールというのは、
台と台の面白さを競わせるオリンピックを連日開いている様なものだと、
思えなくもありません。

今現在、世評はパチスロ=ギャンブルのそれかもしれませんが、
メーカー、ホール、そしてユーザーの意識と努力があれば、
本質的に「遊技」として大多数から評価される未来もあるはずです。

私はそういう将来も十分あり得るのではないかと、結構本気で思っています。

……思わせてくれたんです。
フェアリーグランプリというゲームが。

さぁ、やっとフェアリーグランプリの話に戻れます。

「フェアリーグランプリはゲームの塊」と前述しました。

これまでお伝えしてきた価値観や未来志向でフェアリーグランプリを捉えたとき、
恒久性を持ったゲームの塊であるフェアリーグランプリの様なパチスロは、
私にとって希望そのものなのです。

パチスロも、パチスロを取り巻く環境も、
前向きに進歩しているのだと、感じさせてくれました。

パチスロの”ゲーム性”が、”ゲーム”そのものへと昇華していき、
パチスロの”作品性”が、やがて”作品”として輝けるのではないかという事を。

次の章では、
フェアリーグランプリが”ゲーム作品”と表現するにふさわしい所以を、お伝えしたいと思います。



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到達点③
 高ベース機としてのポジティブデザイン

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フェアリーグランプリを最もゲームたらしてめいるのは、【サイコロ目】です。

これからご紹介する「ミッション」は、大発明であるその【サイコロ目】が、
最大限活躍できるために組み込まれた、名脇役のようなゲームシステムです。

ミッションは、CからA,そしてSの4段階があり、
それぞれの段階で難易度の異なる条件が設定されています。

たとえば、ミッションランクCには「60G以内に目的地に到着」というものがあります。

この文言の通り、通常時のスゴロクマップで60G以内に目的地へたどり着けば、
「スゴポイント」というものが貰えます。
ミッションは、このスゴポイントを稼ぐことを主目的としています。

スゴポイントを1000まで貯める事ができると、「桃サイコロ」を獲得します。
この「桃サイコロ」が、非常に強力。
成長ポイントを一気に押し上げる可能性を秘めており、
スゴポイントを貯めるモチベーションを担保しています。

通常時のポイント制は珍しいものではなく、
例えば同じKONAMIの「戦コレ」シリーズでは「コレポイント」がありました。
「Re:ゼロからはじめる異世界生活」(以下リゼロ、開発・大都技研)では、
通常時のポイントの蓄積が、AT突入確率を上げるための重要な要素になっています。

その性質は機種によって大きく変わりますが、
ポイントシステムは、かなり一般的な仕組みと言えます。

ところがフェアリーグランプリのスゴポイントは、一味違うのです。
それは、ポイントを「ミッション」で稼ぐことの面白さが、
とても豊かな打感と感情をユーザーに与えるからだと思っています。

小役をそろえたり、ゲーム数が進んだりしてポイントが増える機種は数多いですが、
フェアリーグランプリのそれは、【サイコロ目】の効果もあって、
新規性にあふれているのです。



・ミッションと【サイコロ目】

ここでミッションの一覧を書き出してみましょう。

---
Cランク
■60G以内に目的地到達
■3G以上連続でサイコロ獲得

Bランク
■50G以内に目的地到達
■10G以上サイコロを振らない
■5G以上連続でサイコロ獲得

Aランク
■40G以内に目的地到達
■レア役成立ゲームで目的地到達
■サイコロ保留オーバー

Sランク
■30G以内に目的地到達
■80G以上で目的地到達
---

ミッションはランクが高いほど大きいポイント獲得に期待できますが、
低ランクのミッションでも、抽選によっては一気にポイントが増える事もあります。

また、上記のほかに、ベル・リプレイ・スイカの成立でもポイントが増加します。
こちらも獲得ポイントは固定ではなく、抽選による変動制です。

では、ミッションの例をいくつかご紹介させて下さい。

■3G以上連続でサイコロ獲得

サイコロを獲得する条件は、【サイコロ目】または「レア役」の成立です。
つまり、【サイコロ目】または【レア役】を続けて3回引けば、ミッション達成です。

【サイコロ目】は約1/3で成立するので、
最も頻繁にクリアできるミッションとなっています。

とはいえ、1/3の3乗は1/27なので、
レア役の合算確率と同程度の達成頻度と言えます。

このミッションが大変面白いのは、3連続だけでなく4連続目でも適用される点。
その場合、連続してスゴポイントが増加します。

そして5連続目に突入すると、ミッションの達成ランクがアップ。

■5G以上連続でサイコロ獲得

となって、一度に増加するスゴポイントの量も上昇。
さらに6,7連……と続けば、グングンポイントが貯まっていきます。

もしもサイコロを持っていない状態から7連以上したなら、

■サイコロ保留オーバー

という、最大3つであるサイコロストックを、
オーバーフローさせる事で達成できるミッションも同時に狙えます。
つまり、ダブルでポイントが入ってくるわけです。

一方で、サイコロを獲得しないことで、達成できるミッションもあります。

■10G以上サイコロを振らない

このミッションは、達成確率はそこまで高く無いものの、
1度到達してしまえば、サイコロを獲得するまで毎Gポイントが加算されていきます。
達成してからの継続率は【サイコロ目】を出すよりも高いので、
かなりの興奮トリガーとなっています。

さらに【サイコロ目】のヒキがあまりにも良くなければ、

■80G以上で目的地到達

のミッションを逆に狙って行きたい所です。
このミッションをクリアするのは容易ではありませんが、
500スゴポイントの獲得が確定します。
(ちなみに100G以上かけて目的地に到達すると、AT突入濃厚です)

基本的に、スゴロクマップを進んで行かなければ、
成長メーターを上昇させる機会は訪れません。
この上記2種類のミッションは、
スゴロクを進まない事で桃サイコロをゲット=成長契機にできる、
貴重な手段なのです。



・タイミングよく成長させる楽しさ

ところで、成長ポイントは「CZでのガチ抽選が有利になる」と前述しました。
つまり、出来るだけ成長ポイントを貯めて、予選レースに勝利し、CZに臨みたい。

しかし、そうは問屋がおろさない。
がんばって成長ポイントを上げても、予選レースに敗北してしまう事は茶飯事なのです。
そして大して成長していない時に限って周期天井に到達し、
CZの突破難易度が高くなってしまう事もしばしば。

私もまだ打ち込めていない段階では、
「なぜこんなシステムにしたんだろう」
と甚だ疑問に思ったものでした。

頑張ってスゴポイントを貯めたり、
レア役を引いたりして成長させたものが無駄になるのに。
一方でなんの成果も得られなかった周期が、
たまたま天井だったというだけでレースに勝ってしまう……。

成長せずにレースに勝ってもベルナビが数回出るだけで、
ATに入らなければ意味がない。
普通の感覚だと、打ってて不満を持つのも無理はない訳です。

しかしこの「ただ勝てばいい訳ではない」という要素が、
非常に絶妙な面白さを生んでいるのだと気付いてからが、
フェアリーグランプリの真骨頂を味わうステップの、第1段目なのです。

その理由をひと言でまとめると、「タイミングよく成長させる楽しさ」となるのですが、
その言葉の中には、様々な葛藤と興奮が詰まっているのです。

たとえば、これまで説明してきたスゴポイント。

スゴポイントが1000になると、桃サイコロへと変換されます。
そうすると、もちろんスゴポイントは消費され、また0から貯める事になります。

ですから、スゴポイントが1000になるタイミング。
それが非常に重要となってきます。

基本的には、なるべく多く獲得したいのがスゴポイントなのですが、
いったん「次の周期までプールしておいた方が得」となると、
なるべくスゴポイントを獲得しないように願いながら、レバオンすることになります。

そういう時、2連続で【サイコロ目】を引いてしまったら、
3連続で引かないように願います。
サイコロをゲットできないまま8G,9Gと続いてしまったら、
【サイコロ目】が引けるように祈ってレバオンします。

「引きたい!」と「引きたくない!」が、コロコロと目まぐるしく入れ替わる。
これがとっても面白いし、
上手くいった時の気持ち良さといったら、本当にたまらんのです。



・時間軸のある立体的な打感

打ち込んでいくと分かる情報も、その面白さを倍増させます。

たとえば周期には「周期天井の割り振りが高い周期」があるため、
基本的にはその周期が天井だという前提で打ちます。
しかし周期天井の示唆も演出として頻繁に出るので、
示唆が予想と違った場合は、それに合わせてプランを立て直すこともしばしば。

また、育成特化ゾーンは、すぐに解放せずストックされることがあります。
だいたいマップの終盤になって解放されるのですが、
そのストックの有無を示唆する演出が出たときは、
成長ポイント獲得の余地を加味して、プランに修正を加える事もよくあります。

そうして考えたプランに沿って、スゴポイントや成長ポイントを貯められるよう、
祈りながらレバーをオン。
もしも予想外の事が起きたら、プランBを急遽立てたり、
あるいはプランをかなぐりすて、僅かな希望をかけてレバオンしたりすることも。

その「僅かな希望」は、AT濃厚となる「100G以上かけて目的地到着」だったり、
「500G以内に8周期目的地到着」だったりする訳です。

目的地到着の長短を左右するのはやはり【サイコロ目】なので、
いずれにしても「サイコロ目を出す・出さない」がキーとなっています。

出すべきか? 出さないべきか?
めっちゃ頭を使います。

もちろん頭など使わなくても、抽選には関係ありませんし、
きっと結果に変化も無いでしょう。

けれども、
「いまここで~を引きたい」
という気持ちはホンモノなのです。

そしてその願いは、頭を使わないと生まれてこない願いなのです。

「願ったものを引けた」という感覚は、パチスロを打つ醍醐味です。

こういった感覚を楽しむ行為は、
まさにゲームであると言えるのではないでしょうか。

もちろん、「引く」だけでもゲームは成立します。
しかし麻雀で牌を、ポーカーでカードを引くだけでは、
ゲームとして楽しんでいるといえるでしょうか。

今、どんな牌が来たら熱いか?
何の数字を引いたら有利になるか?

それら予想を経た上で、結果に一喜一憂する。
それだけで、ゲームとしての楽しみ方を、無限大に広げる可能性を感じます。

もっというと、【サイコロ目】を最初に解説した際、
「結果と成果の紐づけ」という話をしました。

それだけでも十分興奮の契機となるのに、
フェアリーグランプリは、さらに「予想」という時間軸を掛け算している訳です。
常に中期・長期の予想を描きながら、目の前の1打1打を積み重ねているのです。
ですから、打っている時の感覚は、非常に立体的です。

さらに、レア役待ちが少ないという事もあって、とにかく飽きない。
しかも単純に強い役を引けばいいという訳でもなく、
頭を使うから「作業ゲー」になりにくい。
やりこみ要素もあるから、いつまでも遊べる。

フェアリーグランプリは、そんな多様な面白さを持った「ゲームの塊」でできており、
まさに「ゲーム」として楽しめるパチスロなのです。
本当に素晴らしいゲームです。

……本当の本当に、とても素晴らしいゲーム、なんですよ?
フェアリーグランプリというパチスロは。



・フェアリーグランプリとリゼロ

しかし、フェアリーグランプリに対する世評は、前述の通り。
一般的には、決して良い評価を与えられてはおりません。

稼働当初よく目にしたものは、「劣化リゼロ」という表現でした。
これがどういう意図で使われているのかは分かりませんが、
リゼロと共通している点がふたつほど思い当たります。

ひとつは、「突破型」と呼ばれるAT突入契機を採用している高ベース機である点。
もうひとつは、AT突入時の演出が似通っているという点です。

後者については、フェアリーグランプリは明らかにリゼロの演出を意識しており、
そのシーンは実践動画でも「どこかで見たことがある」などと、必ず言われます。

しかし、フェアリーグランプリとリゼロの中身は、
「高ベース突破型」という共通点こそあるものの、全くの別物です。

リゼロは、有利区間の仕組みを利用した、特徴的なATを持っています。
ただ、そのメカニズムを「やらせ」などと批判する方を、SNSでよく見かけます。

この「やらせ」という表現についての評は、私自身まだ勉強が不足しており、
ここでは避けさせて頂きたいと思います。

ただ、フェアリーグランプリを打てば打つほど、
その「やらせ」をどこか気にしているのでは、という印象を受けます。

というのも、リゼロを彷彿とさせる演出を用いる一方で、
「ガチ」や「自力」を意識した演出が随所にあるからです。

たとえばCZは「押し順ベルの第一停止」の位置で勝率が決まる事は、前述しました。
しかしその回数は基本的に3回なので、
リゼロのCZ「白鯨討伐戦」を揶揄した言葉「3戦突破」を彷彿とさせます。

AT中の「バトル」は、前述した通り【サイコロ目】を引く自力感が魅力ですし、
通常時の自力感についてはこれまでお伝えしてきた通りです。

話は少し逸れますが、批評をする際、対象が何であれ、
必然性のない安易な比較は避けるべきだと私は考えています。
特に優劣を決めるような行為は、慎重を重ねるべきです。

ですから、私は今回のこのテキストで扱っている他のパチスロ台についても、
優劣を判断する意図を持ち合わせていません。

しかし、フェアリーグランプリというパチスロが、
どういった背景を持って生まれたのかを考察する上で、
どうしても避けられない為に、こうして比較検討をしています。

フェアリーグランプリの導入開始は、2020年11月です。
前作に当たる「GⅠ優駿倶楽部2」の導入は2019年2月。
リゼロは、2019年3月です。

リゼロは、2019年7月には全国の設置台数ランキング1位を達成し、
2020年1月ごろまで半年間にわたって維持したようです。
(P-WORLD機種データより)

設置から2年半経つ現在でも、設置台数は7位であり、
根強いファンが多いことも伺えます。
もしかすると、人気が出て設置台数が多い分、批判もそれに比例したのかもしれません。

リゼロの躍進時期とフェアリーグランプリの開発時期は、
ちょうど重なっていると思われます。

あくまで推測なのですが、フェアリーグランプリは、
リゼロを批判するユーザーの、受け皿になろうとしていたのかもしれません。
開発者にインタビューでもしない限り、結論は見えない妄想でしかないのですが。

ただひとつ確かなことは、
そんな情勢の中でフェアリーグランプリの開発が進んだ、ということです。

そういった背景を紹介した上でお伝えしたいのは、
リゼロとの共通点のひとつである「高ベース」を、
フェアリーグランプリがどのように料理したか、という点です。



・高ベースとしてのポジティブデザイン

フェアリーグランプリのコイン持ちは、50枚あたり約52Gで、
リゼロのそれとほぼ変わりません。

通常時のコイン持ちが良い=吸い込みの遅い機種を「高ベース」と呼びます。
対して吸い込みの早い機種は「低ベース」と言います。

一般的に、前者は少ない投資で長く遊べますが、
「初当たりが重く、展開がダラダラとしがち」といった批判をよく受けます。
後者は吸い込みが早い分、高ベースに比べてATなどが軽くなっている場合が多いです。

6号機に高ベース機が多いのは、検定に機械割の下限試験があるためで、
50G/50枚程度でなければクリアできないそうです。
(もちろんペナルティ等の仕組みがある台は別です)

高ベースと低ベースのどちらが優れているかは、好みによる所なので結論は出せません。

しかし、どちらも長所・短所があるのは前述の通りです。
フェアリーグランプリも例外ではなく、
AT初当たりは設定6でも1/500以上となっており、非常に重い部類と言えるでしょう。

ATが重い場合、獲得枚数が多ければつり合いが取れます。
フェアリーグランプリのATが、獲得平均枚数・約700枚なのも、そのためでしょう。

ですが問題は、どうしても長時間滞在しなければならない通常時です。
フェアリーグランプリのAT初当たり確率であれば、
運が悪いと1000Gや2000Gも滞在しなくてはいけなくなります。

では、その「間」をどうやって持たせるのか?
ここまで読んで下さった方なら、もうお分かりかと思います。

「ゲームとして楽しめる」

それが、フェアリーグランプリの選択だったのではないでしょうか。

フェアリーグランプリが仕方なく高ベースという道を選んだとは、私には思えないのです。
むしろ、高ベースであることを前向きに選択して、工夫に工夫をこらし、
「通常時をいかに楽しんでもらえるか」に苦心を重ねた……としか受け取れないのです。

6号機であるフェアリーグランプリにとって、
「もしも低ベースだったら」という議論は、あまり建設的とは思えません。

しかしあえて実現したとして、
通常時のベルの獲得枚数を減らしたり、確率を下げたり、
ペナルティを課したりといった方法が考えられます。

そうすると、押し順ベルのハズレ目=【押し順サイコロ目】はどうなるでしょうか。

きっと、約1/3という適度な確率や、押し順と単独の5:2という比率も、
再現は難しいことでしょう。

また、自力感を大切にしている台でもあるので、
打ち方に制限が必要なペナルティも相性が悪いように思えます。

そしてなにより、通常時のコイン持ちが悪いと、
1周期当たりの投資額がかさみ、「タイミング良く成長させる」ことに、
楽しみよりもストレスの方が勝ってしまうような気がしてなりません。

そんな風に、フェアリーグランプリに備わっている要素のひとつひとつを読み解けば、
高ベースである事を前向きに捉えて開発されたのだと、本当によく伝わってくるのです。

私はこの開発姿勢を「高ベース機としてのポジティブデザイン」と名付けました。
これは、ひとつの到達点と言えるのではないでしょうか。

私がこれまでご紹介してきた到達点
 ①【サイコロ目】という発明
 ②『ゲーム性』を超えたゲーム
このふたつは、
「③高ベース機としてのポジティブデザイン」
に集約され、リンクしています。

【サイコロ目】はフェアリーグランプリというゲームを、多様かつ奥深くしていますが、
高ベース機でなかったならば、発明されなかったかもしれません。

フェアリ-グランプリが、『ゲーム性』を超えたゲームという舞台でなければ、
【サイコロ目】はこんなにも輝かなかったかもしれず、
また高ベース機であったからこそ、飽きずに楽しめるゲームである必要がありました。

そうしたひとつひとつの考え抜かれた分子が折り重なって、
奇跡のような化学変化の末に生み出された、
時代の到達点たりえるパチスロ。

それが、ガールズケイリンGⅠフェアリーグランプリなのです。





・御礼と意図


フェアリーグランプリの通常時G数天井は、500Gです。
1000円50枚のホールでも、1万数千円あれば安心して勝負ができます。

もしも500Gまで引っ張られ、ATに入らなかったとしても、
私はいつも不満に思いません。
本当に、これっぽっちも思わないのです。

十分な金銭的リターンの可能性があった中で、
500Gもの間、フェアリーグランプリというゲームを楽しめているのですから。

「楽しい」という感情は、それ自体が報酬です。
そして、パチスロ=ゲームは、楽しむためにあります。

フェアリーグランプリは、パチスロが本来、当たり前に持ち得ているはずの、
そんな本質的な「楽しい」を実感させてくれる台なのです。

私は、そんなフェアリーグランプリを作り上げた全ての人に、
心の底から、感謝を伝えたい。


夢中になるものを与えて下さって、
ほんとうにありがとうございます。
……ありがとうございます。


-----


ここまで、フェアリーグランプリの弱点については、ほとんど触れては来ませんでした。
なぜなら、その弱点に関する批判は、既にそこかしこに溢れているからです。
私が伝えるまでも無いのです。

また、キャラクターの魅力などにも触れませんでした。
テーマを絞る必要があったからですが、
「見た目」は、ユーザーの「入り口」として果たす役割の荷重が大きく、
それを私の論旨からブレずに伝えるには、力が及びませんでした。

私が毎日の時間と労力と睡眠を削ってこれを書き残した本当の目的は、
これから生まれるパチスロが、よりよいものであってほしいという願いからです。

なるべくフェアリーグランプリの面白さの本質をあぶり出し、
それをフィルターとして、普遍的なものを提示してきたつもりです。

すぐには役に立たなくとも、いつか誰かに拾ってもらえ、
このテキストが何らかの力になれたのなら、それ以上の喜びはありません。
ずっと頭の中にしまっておいても、その可能性すらありませんから。

いま、5号機の完全撤去が迫ろうとしており、
6号機の段階的な規制緩和がすすんでいます。

しかし今後生まれてくるパチスロの後進は、
規則や規制がなんであろうと、
どうか「楽しい」ゲームであってほしい。

そして、できるなら。
どうか人を幸せにするものであってほしい。

そう願って已みません。

4

アリオリ侍:Reさんの

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このコラムへのコメント(2 件)

プロフィール画像
アリオリ侍:Re
投稿日:2021/10/17
御代澄 ちせさんさま
大好物とのお言葉、そしてお読み頂きありがとうございました。
自己満足の長駄文にもかかわらず、本意を汲み取って頂き恐縮です。
プロフィール画像
御代澄 ちせ
投稿日:2021/10/15
ヤケドしそうな熱量で語っていただきましたわね、わたくしこういうの大好物でしてよ!
勝ち負けはどうしてもついてきますが、遊技機である以上「楽しい」ゲームであることはどこまでも目指していただきたいですわね!

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