Ｘデーまであと僅か

【Ｘｍａｓ】～知られざる戦い～

街に出ると周りは浮足立って見える。そう、もうすぐクリスマス。残念ながらパチンコ業界では最も稼働が落ちると言われているクリスマスだが、逆にラブホテルの稼働は爆発的に上がる時期でもあり、どこもかしこもホテルはカップル達で溢れかえっている。そのクリスマスから約10ヶ月程で生まれてくる子供が多い事を、世間は暗黙の了解で納得している。私もまだ純粋な子供の頃はサンタクロースの存在を私も信じており、兄に「サンタって父ちゃんと母ちゃんがプレゼント用意してんだぜ」と言われる5歳まで、朝起きるのを楽しみにしていたものだ。幸か不幸か今現在、嫁も彼女も居ない独り身な私は勿論ラブホテルは利用しない訳で、ホテルの稼働が上がろうが下がろうが知ったこっちゃない。今年の（今年も）クリスマスは独りが確定的な状況の中、話しを戻し毎年クリスマス当日のパチンコホール内で行われている、壮絶な戦いについてお伝えしたい。





【ＳＩＮＧＬＥ】　～苦悩～

クリスマス当日。パチンコホールは夕方からの稼働が絶望的な状況となる訳だが、そればユーザーは皆何かしら予定が入っているであろう状況であり、パチンコホールのスタッフも正直なところその日は働きたい訳ではない。恋人達はラブホテル前の食事に向かうべく、予約していたお店へとホールをあとにする。子供たちが家で待っているお父さんも今日ばかりは「仕方がないな」「景品のお菓子でも持って帰ってやるか」と足早にホールをあとにする。私の勝手な独断と偏見で言わせて頂くと、12月24日及び25日、19時前後のパチンコホールには、クリスマスに予定も何もない、いわゆる独り身ユーザーがホールに残る状況となり、ホールの「独り身率」が爆発的に上がり、全国のホールはデンジャータイムへと突入する。映画「トップガン」のテーマソング、ケニー・ロギンスの「Danger Zone」が頭の中で流れ出し、お互いが微妙な距離感（席ひとつ以上がマスト）で同じ空間に居るのだが、間違って19時以降に隣でお互いが出してしまったら最後、本当は距離感を保ちたい状況である筈なのに、最悪閉店まで一緒に打たなければならない状況となってしまうのだ。これが若い女の子であれば少しは嬉しいのだが、お互いがオッサンであった場合は悲惨であり、「こいつクリスマスなのにひとりでパチンコかよ？」「寂しい野郎だな」と、自分が思っている以上に相手も同じ事を思っているものだ。
このデンジャータイム中に最悪の事態を緩和出来る唯一無二の特等席。つまり「角台」の人気は凄まじく、オッサンとオッサン「対子」ならまだしもオッサンとオッサンと更にオッサン「暗刻」つまりは両サイドオッサンに挟まれる、若しくは良さげな台がオッサンの嵌張（カンチャン）待ち状態の危険性も兼ね揃えており、クリスマス当日の「角台」は、独り身達の「角台争奪戦」が静かに繰り広げられているのだ。
この争奪戦に毎年参加している上級者ともなれば朝イチからの確保を心がけており、我々（独り身）の業界ではこの行為を「ワンサイド（片側）ディフェンス」略して「ワンD」と言い、朝の入場から気を抜かない高等技術となっている。





【ＰＲＩＤＥ】　～限界のその先へ～

独り身達にとって、19時以降21時までは何とか自分を保てる時間帯であり、ホールスタッフの目を気にはするが、それでも今から彼女と待ち合わせの体がギリギリ保てる時間である。「いや～まだまだ出そうなんだけど、彼女待たせちゃってるからね！」「ほんとはまだ打ちたいんだけど、彼女待たせちゃってるからね！！」ホントは誰も待ってはいない。そこから先、未知の領域となる21時から閉店までの地獄の時間はデスタイム。打ち続けるにはそれ相当の理由がなければ、周りは決して納得しない。閉店まで爆裂に出し続けられるARTゲーム数を担保する。若しくは明らかに高設定挙動の台でなければ、打ち続ける「理由がない」＝「予定が無い」事が確定するのだ。限界（デンジャータイム）のその先は、ツワモノ達の意地とプライドを賭けた「我慢比べ」が行われている事は、業界内でもあまり知られていない事実である。中には確固たる理由は必要とせず、己のプライドだけで閉店を迎える経験豊富なパイセンも存在するが、その領域に達するには私はまだ若すぎるようだ。





【エピローグ】

12月23日、パチ7「4周年記念オフ会」の翌日。今年は25日が平日であり、「Ｘデー」は12月24日だと私は判断している。来るその日に現れる、全国のホールに集う「ツワモノ達」に私はエールを送りたい。そして、私にもエールを送って頂きたい。



知られざる戦いに挑む勇者達へ・・・

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