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  4. 『純増13枚ATって本当?』微増と激増の複雑怪奇。 社名を背負った『クラブロデオ』のしくじり物語。

元店長カタギリのしくじり機種~歴代パチンコパチスロ事件簿~

元店長カタギリのしくじり機種~歴代パチンコパチスロ事件簿~

2022.05.05

『純増13枚ATって本当?』微増と激増の複雑怪奇。 社名を背負った『クラブロデオ』のしくじり物語。

元・店長カタギリ 元・店長カタギリ   元店長カタギリのしくじり機種~歴代パチンコパチスロ事件簿~


真実はいつもひとつ、雪見だいふくはいつもふたつ。マングローブはいつもミッツ。頭脳は中学2年生、肉体年齢は68歳。どうも名探偵カタギリでございます。冒頭から何故こんなことを書いてしまったのか、自分でもサッパリわかりません……。

さて皆様は『名は体を表す』という諺(ことわざ)をご存知でしょうか? この言葉は文字通り、名前は実体そのものを表しているという意味でございます。人が対象を判断する場合、名前の影響は非常に大きいものです。冷たくて美味しそうなお菓子を連想させ、やっぱり冷たくて美味しい雪見だいふく、まさしく名は体を表していますよね。ミッツ・マングローブさんも同様に、高身長で妖しげな風貌が熱帯地方の植物を連想させます。ま、こちらはご本人がマングローブをご存知なく名前の響きだけで付けたそうですが。

ちなみに私は本名に『健』の文字が含まれております。母は私が健康でさえあれば良いと願って名付けたそうですが、実際の私は数千人に一人レベルのレアな病気を複数ストックしている肉体年齢68歳。マザーの期待に応えられず全くもって名が体を表せなかったジャンルの人間でございます。

……湿っぽい話はこれぐらいにして、さっそくはじめましょうか。今回はアラフォー、アラフィフ世代が何故かアツく語りがちな迷機をご紹介いたしましょう。

 

★4号機純増13枚?AT機『クラブロデオ』

▲クラブロデオ/2002年

ホール導入日は2002年の10月。AT機の全盛期も全盛期、そんなタイミングで飛ぶ鳥を落とす勢いで人気機種を輩出しまくったロデオが自社名を冠して世に送り出したマシンでございます。正直、ルックスだけなら20年前の台だとは思えません。2022年現在にホールに設置されていても普通に最新台と見間違えるレベルで洗練されていますよね、ボタン以外。

 

しくじりポイント:複雑な内部システムと出玉の不安定なAT

クラブロデオは通常時とAT中いずれもシングルボーナスが13分の1で当選する『通常状態』と、シングルボーナスの当選確率が10倍(1.3分の1で当選)となる『集中状態』の移動を頻繁に繰り返しています。

AT中に通常状態であればメダル微増の『レイブモード』に、集中状態であれば(もしくは移行すれば)1Gあたりの純増枚数13枚オーバーの『スーパーレイブAT』に突入する仕様です。AT当選時はゲーム数ではなく『シングルボーナスのナビ回数』で決定されるため、AT中はナビ回数が尽きるまでメダル微増&激増モードを繰り返すという仕様です。

ナビ回数が残っていればATは終了しない、AT中は内部状態で出玉が大きく変化する。この2点を理解していればクラブロデオの醍醐味を存分に楽しめるのです。が、中身を良く理解せずに遊技した場合はAT中の不安定な出玉により、機種への不信感が芽生えてしまうのです。

AT当選中なのに通常時の滞在が長くメダルがほとんど増えない、スーパーレイブATの告知が発生したのに即座に通常状態に転落してしまうといった「当たっているはずなのにメダルがイマイチ増えない」といった機種への不満につながってしまいました。

もちろんAT中に集中状態が続けば純増13枚オーバーの恩恵を存分に受けて大量獲得のチャンスはあるのですが、そこは全て運次第。知識のある人はどれだけ出るかの高揚感より通常状態に落ちるなという不安感が上回り、知識の乏しい人は出玉微増&激増のATに戸惑うばかり。いずれにせよ複雑な仕様のため最大の見せ場となるATの魅力が多くのユーザーに伝わりきらなかった、それが本機最大のしくじりと言えますね。

 

しくじりポイント:導入直後から攻略の噂

複雑な内部システムゆえクラブロデオには導入後まもなく攻略法の存在が噂されておりました。実際に初期ロットでは、変則押しで強制的にビッグボーナスを発動させられるキズネタが存在したため一部ホールには「変則押し禁止」の貼り紙もあったそうです。

私が当時勤務していたホールでは未導入だったため検証できませんでしたが、なにしろ前年の『コピー打法騒動』が記憶に新しい時期。クラブロデオには攻略法が存在するらしいぞ、ウチは買わなくて良かったな。当時、営業課長がそう話していた記憶が思い出されました。

悪い噂を聞いた機種は、どうしても敬遠しがちになってしまいます。事実、私もクラブロデオの攻略の噂を耳にしていたので実際に打ってみたのは2~3回程度。出なければ「攻略法対策で全台低設定だな」と邪推して嫌な気持ちになるでしょうし、出れば「攻略法で出していると思われやしないか」と店員の視線が気になるでしょう。

ま、私は極端にネガティブ思考なので攻略の噂なんて気にしない方もいらっしゃるでしょうが、悪い噂が気になって遊技を敬遠した、もしくは私のように軽く触れるにとどまった方も多かったのではないでしょうか。

 

しくじりポイント:自らハードルを上げ過ぎ! 社名を冠したタイトル。

2000年にガメラ、翌年にはインディジョーズ、ダブルチャレンジ、サラリーマン金太郎と立て続けにヒット作を輩出。クラブロデオの導入前には一撃帝王やギンギン丸をヒットさせた上で「ロデオの名前は伊達じゃない!」のキャッチコピーでTVCMや雑誌広告でド派手に宣伝活動を展開。デビュー前からホールの、そしてユーザーの期待を煽りに煽り倒します。

そうなりますよね、大人気機種を連発しただけでなくメーカー名を機種名に冠した機種の事前告知なのですから。

はい出ました、自らハードル上げ過ぎちゃって失敗しちゃういつものヤツが。期待し過ぎたホールが、そしてユーザーが「思っていた程じゃないな」と落胆するヤツが。もちろん出玉のポテンシャルは十分な機種ですが、デビュー当時の2002年の下半期といえば初代ミリオンゴッドを筆頭にコンチ4X、アラジンA、そして同社のサラリーマン金太郎も現役稼働している戦国時代。そこにロデオの名を冠して導入される機種であるならば、最低でもそれらの機種と肩を並べるマシンであることが期待されて当然。並の台などお呼びじゃありません。

かくして名前負けした台の烙印を押されてしまったクラブロデオ。せめてデビュー時期が2002年じゃなかったらどうだったか、と考えずにはいられません。

 

しくじり店長とクラブロデオ

本機のデビュー当時、私は池袋に住んでおりました。今よりもパチスロが熱い時代、当然ながら近所には現在とは比較にならないレベルのパチスロ激戦区であり、私も休日だけでなく早番の仕事を終えると即座にホールへ駆け込んでいた時期でありました。クラブロデオと対峙していたのは激戦区の中から早々に脱落していった某スロ専。他店舗では主力であったAT機を上階に設置し、1階ホールに怪しい連チャンが発生する沖縄スロットを並べていた独特のホールでございます。

その店で私は本機屈指の爆裂契機である『JACハズレ』を引き当てました。クラブロデオのJACハズレは設定によってAT中のナビ回数が大きく変動する仕様。高設定であれば最大で300回のナビに期待できるため大爆発の夢が一気に広がりました。あわよくば万枚の期待を抱いて懸命にナビ回数を数えながら消化しましたが、上乗せ無しで終了したナビはキッチリ150回。JACハズレで150回のナビが選択されるケースは唯一、設定2のみ。そう、AT終了と同時に設定2が確定してしまいましてね……。

出率100%以下の台でプレミアフラグを引き当てただけの一撃。当然ながら即ヤメ、からの買い物に出かけます。そして数時間後、再び店内を覗いてみると私が遊技していた台には『設定4・5・6確定!』と書かれた派手なピンク色の札が刺さっており、まるで札など存在しないかのように誰も遊技していない光景が目に飛び込んできたのです。

ホールコンピューターで差玉だけ見てガセ札を投入。こんなインチキイベントを行っていたから早々に潰れたのだろうなと思う反面、今になって考えると既に赤信号レベルの営業内容だったホールがベタピン営業じゃなかったのか、と妙に感心した気持ちにもなりますね。

クラブロデオを思い出す時、場末のホールで信用を失い切った輝かしいガセ札もワンセットで思い出されて私は切ないけれど何故か笑えてしまうような、複雑な気分になるのです。

 

★まとめ ~クラブロデオの挑戦と評価~

そんな訳でホール・ユーザー双方の期待に応えられなかったクラブロデオですが、私の周りには実は好きだったとおっしゃる方々が意外と多くいらっしゃいます。そして、私もその中のひとり。

パチスロ歴ウン十年の猛者たちから高評価を得たのはサウンド面

当時を思い出しながら「アレ、音が良いよね……」と恍惚の表情を浮かべながら呟くベテランユーザーを私は何人も見てきました。クラブロデオ。その機種名を「名は体を表す」という意味で考えると荒馬、つまり時代の波を乗りこなせず落馬したロデオライダーを連想させてしまいます。しかしながらクラブ、つまり音楽を楽しむ空間の意味においては後世まで高い評価を得ることができました。

ロデオが世に放ったクラブ系パチスロ。文字通り体を表した名前ですね。スーパーレイブAT突入時に筐体から飛び出す「アー、アー、アー」の絶頂ボイス。思い出せば今でも即座に脳裏に響き渡り、当時の興奮を再現させてくれるのです。文字にすると全く伝わらないのが残念ですが、当時のAT機にありながらもゲーム性や出玉とは違った部分で現在でも評価されているのが、何とも趣深い『しくじり機種』なのです。

 

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元・店長カタギリ
代表作:しくじり店長

シルバ〇アファミリーみたいに小さなパチンコ店の責任者から一転、 雑巾がけがメインの業務となってしまった事務員へとグレードダウン。 そんな設定①のスランプグラフのような半生を、隔週水曜日に連載させて頂いております。 タイトルは「しくじり店長」。 パチ屋の店長が平社員へと降格していく逆サクセスストーリーを、 海物語シリーズの泡リーチを見つめるような気分でお読みください。

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▲3店舗を潰した『しくじり店長』の人生録をお楽しみください。(完結)

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