第3話：ハイスペックな人にパチスロを打たせてみた。

なぜ某上場企業の役員さん（通称やっくん）とパチスロを打ちに行くことになったか、ということ、やっくんの基本スペックを紹介させて頂いたところで、いよいよ実戦当日を迎えるわけです。

前日までに聴き出した情報は「ゴッドかまどまぎ」が打ちたい、ということ。なぜか？と問うと一応勉強したらしく「人気あるんやろ？」とのお答え。……現在一番人気の絆が入っていないという中途半端な知識に、そこはかとない不安を感じますが、まぁよし。質はどうあれ情報を入手するという努力はして来たことにひとまず満足しておきましょう。


「まどまぎって原作見たことあるんですか？」

「あらへんよ」

「キャラクターって見たことありますか？」

「あらへんよ。可愛いんやろ？」

「まぁかわいいというか独特です。ちなみにホームベースとか言うと抹殺されますのでご注意を」

「そんなんあるん？ 気をつけるわ」


本来、初心者にはゴッドをおすすめするのが正解かもしれませんが、私、ゴッド、苦手、です。というわけで魔法少女での実戦に決定。


さて、当日ということでまず気になるのは「ハイスペックな人はどんな服装で来るのか」そして「軍資金をいくら持参してくるのか」というところ。この2点は当日を迎えるまで、私の方からは話を振りませんでした。観察したかったからですね。


はい、では服装。

うん、普通です。あまり面白くありません。休日のお父さんって感じです。減点です。時計は三浦的なもののホンモノでしたね、ええ。


で、個人的に最も気になる軍資金。

え～と、なにそれ？ 何枚あります？ 「とりあえず20万あれば一日は保つ」とまわりの方から聞いた、ということらしく現金20万円を持参されました。

我々ユーザーからしたら軍資金20万円って、勝負をかける日であればそこまで珍しいものではありませんが、ほぼ未経験の方がいきなり20万円持参というのは、ハイスペック感を匂わせるには充分。

20万という金額に抵抗はなかったのか？ と聞いてみたところ、「一日で20万負ければインパクトあるやろ？ どうせ負けるなら20万負けたいんや。20万以上負けれるならそれだけ持ってきたわ」 うんうん、そうだねそうだね。インパクトあるね。


そんなこんな話をしていると、整列の時間がやってきます。ここでやっくんが我々は既に感じることが出来ない感想を吐き出します。

「ああ、こうやって仕切られると、こっち側に来たって感じやな」

「なんすかこっち側って(笑)」

「見てみ、世間の方は大体が出勤途中や。俺らは線を引かれたこっち側や」

「ああ、そういうことっすか。これが逆に気持ち良かったりするんですけどね、慣れれば」


うーむ、分かるような分からないような。でもやっくんがそう思うってことは、普段ホールの並びを見て、そういう風に感じてたってことですよね。「こいつら、朝から仕事もせずに」的な印象を持っていたってこと。でもね、やっくん、今日は貴方もこっち側ですよ、どうです？ ご感想は？


「越えちゃならんもんを越えた気がするわ。強制的ではなく、自ら越えてるってのもなかなかやね」


そんな大袈裟な(笑) とも思いますが、一般的には多分そうですよね。ハイスペックなやっくんでもこの感想は変わらないんです。でもですよ、さっきも言いましたが「非日常感」を得られる瞬間でもあるわけですよ。なんかスイッチが入るというか。


「ああ、それも分かるわ。実際、ワクワクしとる部分もある」


さてさて、入場です。我々の前に並ぶは30名程度。本当は強い日に実戦して、もみくちゃになるやっくんを見たかったのですが、スケジュールの都合上断念。ゆったりとした入場となります。

我々が目指すはまどまぎ。さぁ、どんな実戦になるのでしょうか。


第4話に続きます。

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