果し状（BOØWY）

私は音楽が大好きです。

今でも生活の一部になっているくらい音楽を聴きますし、懐かしい曲を耳にすると当時の想いや風景、遠い過去が、すぐそこにあったかのように脳裏に浮かぶのです。

TM NETWORKのBeyond The Timeを聴くと、「将来の夢は赤い彗星ことシャアになりたいです！それが叶わぬならば、最悪でもカイシデンにはなりたいです！」
大声でそう叫びながら街を練り歩いていた自分を思い出し、ブルーハーツのTRAIN TRAINを聴くと、初老の女性教師が宿直室に干していた下着を触ってくる、という根性試しを友人達としていたところ私だけが捕まり、「この変質者が！」と脳が揺れるほどの往復ビンタをくらった痛みが蘇ります。

中3の頃、ザリガニ釣りを楽しんだ後帰宅し、自室に戻ると隠しておいていたはずの裏ビデオが何故か机の上に置いてあり、母のメモが添えてありました。

「あなたは変態ですか」

X のEndress Rainは傷ついた私の心を癒してくれたし、紅はその裏ビデオのタイトルが「紅白SEXダンス合戦」であったことをいつだって思い出させてくれます。

そして、私が人生で一番愛したバンド、それがBOØWYです。

特にボーカルの氷室京介様の歌声を初めて聴いた時のことは、今でも忘れられません。

友人の家で「かっこいい曲を聴かせてやるよ」と、彼がハイポジのカセットをCDラジカセに差し込み再生ボタンを押した瞬間、流れた曲はMarionetteでした。まずは布袋さんの奏でるリフに心を揺らぶられたのですが、その後に真の衝撃が待ち受けていました。

なんつー声や！！

自分が求めていた最高の声に、わずか11歳の頃に出会ってしまったのです。

それからというもの、一週間のお小遣いが50円だった私は、正月お年玉を貰うたびにその全てをBOØWYに注ぎました。

その頃すでにBOØWYは解散していたのですが、彼らの残した名盤を聴くのは本当に幸せな時間でした。

人生で一番聴いたアルバムは間違いなくJUST A HEROです。今でも頭の中で1曲目からアルバムを再生し、ラストのWelcome To The Twilightまで流し終えたとき、丁度アルバムの再生時間46分37秒である自信があります。すいません、それは言い過ぎでした。

勉強は全くせず英語は最も苦手な教科でしたが、歌詞に出てくるヴェーゼ、キュラソー、ボナンザグラムなど、普通の暮らしを送るに当たって最も必要のないであろう言葉たちを、ネットのない時代に必死に調べるような中学生でした。

「スマック」という意味を知ってからは、「お前昨日スマックした？俺はした！」と、他のBOØWY信者たちとキャッキャ言いながらはしゃいだものです。

今でもカラオケにいくと、どのアーティストの曲を歌う時でも「さ」は「シャ」、「た」は「ツァ」、「そ」は「シャオ」など氷室様独特の歌い回しを自然と真似てしまいます。

ソロになってからの氷室様ももちろん大好きです。CDを買う機会が昔に比べて激減しましたが、未だに新譜が出るたびに購入するアーティストは、氷室様とフーファイターズくらいでしょうか。

「ANGEL入ったCD、もう他に5枚持ってるんだけどな…」

ベストアルバム出し過ぎ！

心の中でそう思ったことはない、といったら嘘になりますが、氷室様に使うお金には、1000超えの凱旋に突っ込むくらいの価値があるのです。

しかしながら、さすがの私も東芝EMIのいわゆる「BOØWY商法」には辟易せざるを得ません。

信者ともあってLAST GIGS COMPLETEまではがんばりましたが、さすがに1224 -THE ORIGINAL-はやりすぎでは…（誤解があったらアレですので詳しい内容は割愛します）。

時は過ぎ、氷室様がライブ活動を引退されてからもCDの作成は続ける、という言葉を信じて新作を心待ちにする日々を送る中、BOØWYがスロットになると知りました。

あの、BOØWYが、です。

もう一度、いいます。

あの、BOØWYが、です。

これまでブルーハーツやBON JOVIがスロットとなり、どちらも好きなアーティストだったのでもちろん打ちました。

感想は、これ誰が得すんの、です。

ごめんなさい、本当のことをいうとBON JOVIは割と楽しかったのですが、それでもこれをBON JOVIで出すという意味がどこにあるのかと考えると、首を傾げてしまいます。

海外暮らしが長い氷室様のこと、恐らく「パチスロ」というものをご存じなかったと思うのです。きっとマネージャーにパチスロ化のことを知らされても、
「チャ！パチスロ？ラスベガスにあるような奴か？オゥケイ…いいゼ？」
と言ってしまったのでしょう。

あるライブで氷室様が落ち込んでおられたそうで、理由をきくと、
「2回音を外した…」
と、おっしゃっていたそうです。

そんな氷室様がパチスロでアニメになり連続演出発展！！→滑って転ぶ→ライブ会場に間に合わず→miss…ハズレなんて演出をご覧になったとしたら…。

ここは、私が信者としてメーカーのD-lightに赴き、台の内容次第ではレイを痛めつけたときのユダのように、「ヒャハハ！きれろ！きれろぉ！」と懲役覚悟で全てを無かったことにするしかあるまい、と決意したのですが、先日YouTubeで確認したところ、最大の心配は杞憂に終わったようです。

アニメなどはなく、硬派なゲーム性、奇数揃い、CZ、リプ連でAT当選…ほう、ミリオンゴッドか、と誰もが抱いた感想を私も抱きました。

BOØWYファンの沖ヒカルさんが楽しそうに打っておられる姿を飲酒しながら拝見していたのですが、高揚している自分に気が付きました。

あれ、俺ちょっと打ってみたくなっている…？

CDはもちろん、DVDも全て持っています。ATに当選すると見ることができるBOØWYのライブは、家でディスクをプレーヤーに挿入すればいつだって無料で観ることができます。

しかしながら、私はBOØWY解散後のファンであるため、お金を払ってチケットを購入し、ライブに参加する、ということができませんでした。

もしも大金を払ってたどり着いたATというライブで、大好きなルージュオブグレイが聴けたら、俺は死ぬかもしれねえ。

スロットと距離を置くようになって5年以上が経過しました。そんな私を再び修羅の道へ進まそうとしているというだけで、スロットBOØWYはもう成功なのかもしれません。見事なまでのオッサンホイホイです。

とりあえず妻には「一生のお願いです。二万か三万、五万でもいいので一度だけ下さい」と、宣言しております。妻も私のBOØWY好きは知っておりますので、まさに「苦虫を噛み潰したような顔、とはこのことか」的な表情を浮かべながら首を縦に振ってくれました。

久々のパチスロ、しかもBOØWYと一戦交えることに、胸が高鳴っております。

打てそうな日が導入から1ヶ月後なのですが、たまたまTwitterで知り合いになった方から
「俺が働いていた店では新装でも機械代回収するまでオール1でしたよん」という、夢も希望もない話を聞いてしまったので、ちょうど良いかもな、と思いつつその日を指折り数えておりましたが、衝撃的な情報を目にしてしまいました。

ルージュオブグレイ、収録されてないそうです。

それでも、打つけどね（泣）！！

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