苔から滴る水滴-第一章-

川は、どこから始まるの？
山の上の、朝露からかもしれない。
苔から滴る水滴が、
大きな水流を産む、
自然界の母の一滴だとすれば、
小さな水滴は大海を紡ぐ美しき涙の欠片。

皆様おはこんばんちわ、玉のゼロです。

前回盛大なネタバレ次回予告しましたが、
あれは実はフライング、
第三章(仮)でした。

という訳で今回は、正真正銘第一章。

『役職者の面接話』を

お送りさせて頂きます。


夜が明けきらぬ、朝焼けも見えぬ、
暗がりの高速道路を走る車。

『面接は関東本社で14時から行います。』

転職アドバイザーに聞いた住所をカーナビへ入力。

『目的地まで6時間20分です。』

無機質なナビ音声が語るその言葉、

朝四時に家路を立つ。

私の安全すぎて逆に危険な運転では

『8時間です。』

そう言われているように感じながら、
ヨーロピアンブレンドを流し込み続けた。

13時20分。
面接会場へ到着。
ナビへの自己補正の完璧さに苛立ち、
緊張の動悸を怒りのせいと思い込ませる。

『なあに、緊張せずに笑いの一つも取れればOKですよ』

アドバイザーのアドバイスと思えない言葉

アドバイスと言うなら必ず笑える
一発ギャグでも用意してくれればいいのに

自身の根暗な性格は自覚している。

幾重にも、

『しちゅれれいいいちしみゃしゅ』

失礼致します。
それすらこうなるだろうと、
悪い方向の考えだけは加速しながら
刻一刻と迫る面接時間を車の中で
噛み締め続けた。


結果から言えば、笑いは取れた。


そして、『採用通知』が届いた。


待ちわびていたハズの無機質な『採用』が
何故か、嬉しくは無かった。

どちらかと言えば、後戻りできない

不安、
無常、
緊張、
焦燥、

そんな負の意識が全身に付きまとう感覚、
それでも憧れる未来図で、
全てを誤魔化し続けながら
その後も面接をこなした。


流れは同じ。

『世間話』

『業界話』

20分程すぎた辺りで数字の強さの見極め。

40分も経てば終わり、
その後はピリオドのキッカケを探しながら

『世間話』


ただ、一つだけ。
引っ掛かった会社があった。

調整時の質問をされた。
ジャグラーのアウトは全台一万きっかり。
100.2%の割に抑える。
赤字は絶対に許されない。
その状態での配分はどうしますか？？

計算は出来ても、想像は出来なかった。

如何に高設定でアウトと稼働を引っ張り、
低設定で粗利を稼ぐ。

その為には、明日のお客様を想像する。

そうして、調整し続けていた。

それが当たり前だと思っていた。

設定表にはお客様の顔が見え、
血が通っているべきだと考えていたから

閉店後に送られてくる設定表。
その通りに設定する世界を青い私は
知らなかった。


鼻で笑われる、私の設定感。
お客様の顔を想像しながら、明日を考える
そんな毎日が楽しかったから、

ノルマがある中で、
利益を頂戴しながら、
少しでも楽しんでいただけるように、
そう考えていた。

上記の100.2%の問いに、
計算上での配分を答えた後。

上記の旨を伝えた、


『それはただの自己満足だよ』


一刀両断された後に届く採用通知。


コーヒーに落ちるミルクの一滴のように、
主張の後、飲み込まれる、
自身の無力さと、様々な矛盾を感じつつも

加速する不安に身を投じるしか無かった。


明るい話だけを家族に伝えながら・・・



-次回予告-

オッス！オラ玉のゼロ！
なんでも快楽を一回だけ叶えてくれる
そんな夢みてえな話が有るって聞いてよ
オラわくわくしてきたぞお！！

次回、限界ギリギリ爆発寸前！
『送別品はTENGAの詰め合わせ！』

次も絶対読んでくれよな！

※次回予告と次回は必ずしも
リンクしているとは限りません。

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