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修羅場に立ち会った話。
修羅場に立ち会った話。
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玉のゼロさん
すっかり使われなくなっちまった。 そんな哀愁を込めてこの名前を着けました。 - 投稿日:2017/05/28 09:24
ベランダで朝日を見ながらビールを飲んでおります。ただの思い出話を紡いでいきましょうか、
いわゆる『コワイ』方々が店舗近くに事務所を構えておりました。当時の私はまだまだ『新人』という区分けされてまして、日々是勉強也とホールを走っておりました。
お昼が過ぎ、早番のピーク時間帯がやってきます。近くの事務所よりセカンドバックを持ったお客様や犬のプリントジャージのお客様がご来店されました。徐々に増えていくのですね、まあハマらない限りは静かにご遊技して頂けますし、そこまでめんどくさいとも感じてはいなかったのですが。
この日はなんだか、怪我してる様子の方がチラホラと。
で、そうこうしているとあまり見慣れないそれっぽい方達がご来店。こちらも何故か負傷している方が多い。
海物語のシマが、それらしき方達で埋め尽くされました。それっぽい方達の立ち見で一般の方達辞めちゃうんですよ、そこへ雰囲気プンプンの方が座る図式です。
で、『コワイ』方ではないと信じて今もご遊技いただいておりますが、自称『テキ屋』の元締めをしてるお客様が近くに来まして。
『あそことあそこ昨日モメたらしいやー』
いや、そりゃパッと見での怪我人の数を見ればただ事じゃないとわかりますよ、
しかし何故当店を決戦場に選んだのでしょうか。待ち合わせですかと言わんばかりにシマ内の空気が濃くなります。当時の私の暴対法の知識と言えば自分から宣言したらアウトくらいの認識でしたから。
ええ、この先もしかしたら死ぬんじゃないかなと、玉をはじいてるこの人たちがいつ弾をはじくのかと、そして玉を流してる私は流れ弾を食らい地獄へ流されるのではないかと。
目を合わさないようにする班長へ無言の助けを求めますが颯爽と親指を立てるのみ、回天特別攻撃隊の方々もこういう心情だったのでしょうか。死んでこいと言われている気がしながら巡回を続けます。
何も起こるなと思っていても、起こそうとしてる方々の前ではムダなことでして
『ガシャーーーーーン!!』
大きな音が海物語のシマから聞こえます、
班長は何故か担当じゃないシマの交換をしています。海のシマはおかしな光景でした、積んでいたドル箱を蹴り飛ばしたのでしょうね。玉が散乱して、怒号が鳴り響きます。もはや、開戦直前の様相なのですが玉が予想以上に散らばっていたのでしょう。今にも殴りかかろうとせん雰囲気ですが力んで踏み込んだら転んでしまうシマ状況です。
『んだこらー!?』
『なにしてっかわかってんのか!!』
『間違いですまねえぞ!?』
と、皆様怒号をあげますが動きません。勢いよく動いたら間違いなく転びます、
とりあえず玉磁石を手に取り、玉を拾おうとシマに入ります。すると
『見ねえ振りして離れとけ』
と、舎弟と呼ばれているお兄さんから言われました。とはいえ、そうもいきません。ヘタれですが担当しているシマの責任は私にあります。
『死ぬの?俺?死ぬの?』
と、SOSをもじったメッセージをインカムで入れ突撃しますが誰も返事は返しません。左手にドル箱を抱え、右手でカチャカチャと玉磁石で玉を拾い集めながら
『お客様ー!!』
と叫ぶ光景を思い浮かべてください、
シュールですが、勇気を振り絞っています。30人ほどの『コワイ』方々のど真ん中で転ばないように玉を拾いながら叫んだ小僧、それが私です。
しかし、私の呼び掛けに誰も反応しません。すっこんでろという雰囲気は感じますが誰も何も言いません。ただただ、怒号が飛び交うのみ。私は叫びながらも玉を拾い続けます。
『殴られたアイツ新車買ったや』
ほのかな希望はこれのみ、暴力沙汰に巻き込まれた場合、もしかしたら得する事もあるかもしれない、でも死ぬかもしれない、私は叫ぶ『落ち着いてください!!』カチャカチャと玉を拾い続けます。
床の玉は半分程度は拾いました。
ドル箱三箱溜まりました。
きれいになった私の後ろは身動きを取りやすくなった方達で埋まっています、なんという事でしょう、拾うことで見出だそうとした活路だったのに栄光の架け橋だった私の退路が断たれていきます。しかし、今日のシフトには密かに思いを寄せていたあの娘がいます。情けないところは見せられません、私は叫びます。
『お客様ー!落ち着いてくださいー!』
私の叫びは届きません・・・
しかし、あの人の腕が届きました。
― 店 長 降 臨 ―
⊂=====(^ω^)=====⊃
店長のラリアットが炸裂しました。
『○○呼んでこいボケ!!』
店長が名指しで誰かを呼んでいます。
お前に関係ないだろと、言われています。
店長はゆっくり近寄りました、
野次った方へおでこをくっつけました。
『俺に言ってるのか?』
大声だけど落ち着いた声でそう言います。
混沌の中で私は玉磁石を再開します。
店長は罵詈雑言を食らっていますが笑っています、一人一人『落ち着け!!』といいながら肩に手を乗せる店長、怖いです。
そうこうしていると呼ばれた方でしょうか、新しい方が来ました
店長は頭を深々と下げた後、話をしています。二人の間に緊迫感はありません、二人とも笑っています。ただ、店舗近くの事務所の方々は固まっています。
『せいれーーーーつ!!!』
○○さんが叫びます、
え?何が起こったの?
私を含め皆そんな表情ですが
近場の方がビンタされます。
順番にビンタされます。
ホールが旧日本軍と化していきます。
一通りビンタした後、
遠い事務所の方達へ頭を下げていきます。
店長も一緒に一人一人頭を下げます。
『良くやった、あとは俺に任せろ。』
最後の方へ頭を下げた店長は私にそう言いました。
素直にシマから出る私、目を背けるように違うシマを巡回し始める。
しょうがないよ、私の力不足だ。さすがにキャパシティ越えてるよ。
恐かったなあ、
助かったなあ。
悔しいなあ・・・悔しいなあ・・・
俺が店長の立場になったら、あんな大人数に立ち向かえるのかな、部下を守ってやれるのかな、そんな度胸あるのかな、店を守れるのかな、そんな器量あるのかな、
あれから何年経ったでしょうか、部下を守れる上司になろうと思いました。でも今の子達って助けに行く前に、きっちり明確に助けを求めてくるんですね。自分の力でなんとかしようとしない、でもそれが正解ですよね。自己防衛的には。助けて貰えませんでしたが私も班長に助けを求めましたし
いきなりラリアットかます力はありませんが、部下を守るために法律を勉強しました。自分なりに助けてきたつもりです。
私のようになりたいと思う部下はいるのだろうか、私はあの時の店長に近づきたかった。転勤してしまった後も迷ったときの相談相手は当時の店長と決まっている。
しかし店の為と、私の知っている限り六年間一日も仕事を休まなかった店長は家庭を崩壊させた。
『帰ってこない人を支えられないってさ』
店長は寂しそうにそう言った。
『私がいれば大丈夫ですよ!!
たまには連休とりましょう!!』
なんて言えるだけの実力が当時の私にあれば、頼りがいがあれば、旅行にも行けたのかもしれないのに。
ふとあの時の店長と今の自分を重ねてみる、
店の事を思えば思うほど上役は幸せからは遠ざかるのかな。家族が幸せに暮らせるように、その為に自分の時間を会社に捧げて給料に変換する。
稼働の良いお店であることで従業員の待遇は良くなる、部下の暮らしを守るためにも店が良い状況であり続けなければいけない。
あの店長は厳しかった、その厳しさからくる緊張感を持ちながらお客様の為を思って各々が働くこと、それが店の為であり、皆がそれぞれの生活を守ることに繋がっていたのだ。
私の幸せは次の日の勤務を気にせずビールを飲む事、次に店舗に顔を出すのは20時間以上先、それが確定している状況で飲むビールは私の血となり肉となる。そして家族が起きる頃、私はアラームを切って眠る。私が目を覚ます頃には朝日は既に夕日、世間ではこんばんわの時間に私はおはようと口走る。
その4時間後には早朝〜深夜勤務に向けてまた眠る、寝たくても寝れない日々が続く前提で寝れるときに眠る。
体を休める事でせいいっぱい
エア○スターのワンシーンで家族に言い訳、ごめんね・・・
20時間拘束×4日の日常を終え。
給料明細の『残業&深夜勤務=0時間』
ツッコミ所満載の明細が滲むあ。
あの時より、今の方が修羅場なのかしら。
気付けばあの日守ってくれた時の店長と同じ年齢になったけれど。あの背中はまだまだ遠い。カタギリ様の言うヒロタ店長のように
現在時刻は6時30分。
朝日を見ながら飲むビール。
嫁が起きてテレビを見始めた。
さあ、死ぬほど寝るか(白目)
と、思ってたのに今会社にいる私・・
改めて帰って寝ます。
6
玉のゼロさんの
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このコラムへのコメント(12 件)
コメントありがとうございます。
志は常にあの人を追いかけます、仕事の電話すらまともに掛けれない私をちゃんと育ててくれました。
コラムだけだと悲壮感漂う展開ですが、四人のお子さんのうち長男だけは
『親父と一緒に暮らす。』
と。戻ってきてくれました。
家事と仕事の両立きちいなオイ!!っていう電話越しの声は少し幸せそうでしたよ。
本当に、本当にその一言ですね。○○さんに関して、店長が高校時代に殴りあってパイルドライバーで勝利を収めたそうですが、今は難しいだろうなーって語ってました。普通に、恐いです。褒められることに慣れてないのでなんだか、浮き足だってしまいますが今後も紡いでいきたいと思います。
あの時を考えれば、というかあの人についていった数年間を考えているとツラいときも頑張れます。
あの人以上にツラい思いを私はしていませんから、明日も頑張る!
ホントに、凄いなって。永遠に追い付けないんだろうなって思います。もう、この仕事は辞めようって思っても。あの人を見てるとそれはただの逃げなんだど踏みとどまり続けて今があります。
安心させたいんですけどね、ガキんちょを見てるときの自分を思うと
『あっ、これか』って思いました。
色んな方がいますし、尊敬できない店長もいれば尊敬できる店長もいます。私も人を○○めた店長に採用されましたが、その後転勤で店を正した店長に育てていただきました。
エピソードはまだまだ濃いのがいっぱいありますので、また閲覧いただけますと幸いです。
でも、褒められることに慣れてないので焦ります(汗
爆睡できました。おはようございますw
ポカーンですよ、ただひたすらに目の前で人が叩かれていく様相を見る状況は。
こんな店長にはなれない誰も
しかし志は!!!
それにしてもこのエピソードは強烈ですね!
笑いながら読めるのに想像したら冷や汗が出ちゃう。
抜群のセンスと表現力で毎回、とても楽しく拝見させて頂いております!
自分が守られる側故に家族という一番大事なものを守る力を残せてあげられなかっあのかなと
もし私が同じ場所にいたら同じく悔しい思いをしてしまうかもしれません。
でも、悲しくて悔しいけどそれ以上に
そういう人のもとで働いた経験があるっていうのが強いかもしれませんね。
やっぱね、なんやかんや言って勝てないと言いますかね…
僕らも同じようにこの先に場数を踏んで行くんでしょうけど、永遠に背中は見続けると思うんすよ。
で、やっぱね、見守られ続けるんでしょうね。