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カタギリのホール非攻略『ホール就業規則』

元・店長カタギリ元店長カタギリのホール非攻略～パチンコパチスロ情報バラエティ～

▲今回は『ホールスタッフ就業規則』について

コーヒーガールに視線そらされがち、毎度おなじみカタギリでございます。

以前、パチンコ店がお客様に対してのお願いやお断りを示した『ハウスルール』（※ホール非攻略・第5回参照）について述べましたが、今回のテーマは逆です。

パチンコ店がホールスタッフに対しての決まり事を定めた『ホールの就業規則』について書いてみたいと思います。様々な規則の中でも、特にパチンコ店ならではというものをピックアップしてご紹介して参りますので、ホール勤務経験者にも共感して頂けるものも多いはずです。そして、パチンコ店でアルバイトしてみたいという方のご参考にもなれば幸いです。

★ホールスタッフさんに対しては、どのような規定があるの？

まず基本的なルールとして「系列店を含めて自分が勤務するホール及び、その近隣店での遊技禁止」という縛りがあります。

自店での遊技禁止は他のお客さんの目もありますから、ほとんどのホールが禁止しているのは、ご理解いただけるでしょう。近隣店舗での遊技に関しては問題無しのホールもあるようですが、他店のアルバイトスタッフがウチの店で掛け持ち遊技や台パンを繰り返して、自店の社員とトラブルを起こした経験があります。私自身は少なくとも『頭取り』（※ホール非攻略・第1回参照）を行っているホールでの遊技は控えるべきかな、と考えております。

次にご紹介するのは「社内恋愛の禁止」ですかね。昔からパチンコ店で馴染み深い当ルールが存在する理由は、恋愛関係が破綻して男女スタッフが同時に退職する、というケースが後を絶たなかったためです。とはいえ、このルールが完璧に守られているホールで勤務したことは一度たりともありませんが。

その他には「お客様からの金品等の授受や、食事代を支払って貰う行為はNG」というルールもあります。これは金銭や物品によってスタッフを懐柔して不正行為を行なわせたり、スタッフの弱みを握って不正を見逃させようと考える輩から身を守る「自衛手段」でもあります。ま、常連客のお婆ちゃんからジュース1本いただいた程度なら問題ありませんが、いずれにせよ遊技客から物を頂いた場合は責任者へ報告するのが原則となりますね。

似たような理由で「ホール内で現金や貴重品を習得した場合も即、報告」という決まりもあります。店内で拾った財布を責任者に報告せず、アルバイトスタッフが倉庫内に放置。その後にお客様から財布を落としたという申し出があり、そのタイミングで当該スタッフからようやく報告。この状況だと店員が盗んだと疑われても仕方無いですよね……。これもスタッフが自らの潔白を証明するためにも厳守すべきルールのひとつです。

総じて言えるのは「対人関係のルールが多い」という点でしょうかね。スタッフの行動によって会社に大きな損害を与えることが比較的簡単に行えるため、お客様に対してだけではなく他店舗を含めた地元地域や、同僚に対しての決まり事も多く存在するのがパチンコ業界の店舗ルールの特徴ですね。

★昔はどんなスタッフルールがあったの？

▲でれでれって(笑)

写真はウチの店にかつて存在したスタッフルールを古いファイルの中から引っ張り出して撮影したもので、社歴30年の常務に尋ねてみたところ「たぶん平成5～6年頃に私が作ったやつだと思う」とのこと。つまり今から約25年前のパチ屋では、こんなほのぼのとしたルールが存在していたという訳です。

当時は強面のパンチパーマ店員が、台鍵を振り回しながら通路を闊歩していた時代から、ある程度は常識的な接客を行うホールが少しずつ増えつつあった業界の過渡期。今では当たり前過ぎて、いちいち書くようなことでも無いこんなルールが文書化された1枚の藁半紙。当時はこんなことすらルール化しなければならなかったスタッフの接客意識の低さと、このままではいけないというホールの意識の変化が伺えますね。

★変わりつつあるスタッフへのルール

昔はヤンキー、今はアニオタ。パチ屋のアルバイトスタッフに多いタイプをやや偏見も含めつつ挙げると、概ねこんな感じでしょうか。

以前は単純に時給が良いから、あるいはギャンブル全般が好きで借金もあるから。といったアウトロー気味の店員が非常に多かったのですが、現在はギャンブルよりもアニメやゲームが好き、というスタッフが圧倒的に増えました。その原因は間違いなく「版権モノのパチンコ・パチスロが増えたから」でしょうね。

アルバイトの採用面接でも自分の好きなアニメがパチンコ・パチスロ化されたのをきっかけに遊技を始めて、それが高じてホールで働きたいという志望動機を挙げる若者がとにかく多くなりました。かく言う私もエウレカセブンやコードギアス、まどか☆マギカや化物語といったアニメの鑑賞はパチスロがきっかけ。彼らには共感できますな。それに伴って店のルールも大きく変化しつつあります。

ひと昔前はキチンとした制服と身だしなみでお客様に丁寧なお辞儀というのがパチンコ店の様式美でしたが、近年ではスタッフを確保するために身だしなみは比較的自由に、制服もフォーマルなものからカジュアルなものに。またアイドルの衣装のような可愛らしいコスチュームを用意するホールも以前より増えてきていますね。

ウチの店も10年前は長髪・茶髪NG、ピアスやネイルなんて論外でしたが現在は金髪OK、ピアスやネイルも問題ナシと身だしなみルールは緩和されましたね。その理由のひとつに遊技台に各台計数機が付いて、ドル箱を運ぶ肉体労働の必要性が減ったことも挙げられます。加えて、スタッフの個性をお客様にアピールする必要性にホールがようやく気付いたことも大きいですね。

名札にスタッフの好きなアニメや好みの機種などを書いて、お客様との会話のきっかけにしてもらったり、可愛らしい制服を用意して女性が働いてみたい環境を作る、というホール側の努力が、そんなところから垣間見えたりしているのです。

アルバイト募集の広告を出しても応募が来ない、せっかく採用したのにスグに辞められてしまう、そんなお悩みをかかえるホールの店長さんは、一度その原因をスタッフに聞いてみてはいかがでしょうか。「ウチ、制服がダサいですからね……」とか「今どき、ピアス禁止とかウケるんですけど！」といった指摘を受けて、ようやく時代の変化に気付けるかも知れませんよ。

★カタギリ物語。

私が最初にホール勤務を始めたお店にも「近隣店舗での遊技禁止」という厳しい掟がありました。隣接するホールでの遊技は勿論、隣の駅にあるホールでさえも遊技禁止。

ウチの客も隣の駅でよく見かけるからダメに決まってんだろ、そう言って若手社員を指導していたのは、横浜銀蝿も顔負けの巨大リーゼント頭でおなじみのトキタ班長でした。

とはいえ、休日にパチスロを打ちたい欲求が抑えられる訳もなし。店休日に後輩のミト君を誘って飛び込んだホールは、隣駅のM店。バレなきゃ大丈夫、その考えはミト君も同じでした。二人仲良く『フリッパー』という台に座って休日パチスロを堪能していました。

「テメーら、何やってんだ！？」

騒がしい店内でもハッキリと聞き取れる、耳慣れた怒号が響き渡りました。二人が慌てて振り返ると、そこには真っ赤な顔で立ち尽くす小柄なリーゼント男の姿が。そう、トキタ班長がゴミ屋敷の主人のような怒りの表情を浮かべていたのです……。

「テメーら、この店で打つのは禁止だって知ってるよなぁ、あ？」

もちろん、返す言葉はありません。ええ、知ってます。ホントにスミマセン。……で、どうすれば？

「……カタギリは出てんのか、まあイイや。ミトは負けてんのか？」

私の台は少ない投資額からコンスタントに大当りを連発してドル箱2つ。ミト君は3万円近く使ってようやく出現した中段イルカ揃いが、フリッパー特有の「ガセリーチ目」だったこともあって、思わず台パンしたところを、タイミング悪くトキタ班長に見つかってしまった、という訳なのです。

「……ミト君よぉ、ヨソの店で台を殴ってんじゃねーよ。テメーがウチの店で客に同じことを注意してみ？　『お前もＭ店でフリッパーを殴ってただろ』って言われたら、何も言い返せなくなるだろうがよ。まあ、今日は見逃してやるから早めに帰れ」

既に3万もヤラれている上に、おっかない班長からの説教ですっかり意気消沈するミト君。対する私も先輩として彼に忠告すべきことを言われて、すっかり気まずい空気に。

「ここでヤメて、もう帰ろうか。俺、まあまあ勝ったから今日は焼肉おごるわ！」

私のその言葉ですっかり明るい表情を取り戻したミト君と共に、パチンコフロアに設置されている景品カウンターへと向かいます。が、そこで我々が見たものは……。

当時人気の『CRフィーバーワールド』に着席している、テカテカのリーゼント頭。どうやら、大当りが全く引けないようで、かなりエキサイトしていらっしゃるご様子。激しい貧乏ゆすりをしながら、タバコの灰を思いっきり床に落としていらっしゃるのですが……。

「ミト君、アレは見なかったことにしよう。さて、カルビを食べに行こうか……」

まさに、お前が言うなよ状態。ちなみにミト君、この3日後に独身寮から失踪してしまいましたが、今でも元気にやっているのでしょうか？　もし私の事を覚えていたらパチ7編集部までご一報を。また焼肉でも食べに行こうね……。

★『ホール就業規則』のまとめ。

パチンコ店のスタッフに課せられたルールには、

◎トラブルに巻き込まれないために自ら守るべきもの
◎ホールがお客様に安心して遊技して頂くためにスタッフに守ってもらうもの
◎お客さんにルールを守って頂くために自分を律するもの

などなど、多くの意味を持って存在するのですが、その意味をスタッフに説明して理解してもらうことが実は一番大切なのです。このルールは、何のためにあるのですかとスタッフに聞かれた場合、ホール責任者は必ずその理由を説明する義務があるのですから。説明して、相手が理解して、それが実践されて、はじめてルールは成立するのです。

スタッフに一方的に押し付けるものではなく、納得して業務に取り組んでもらえるための指針。それがホールスタッフへのルール作りであり、まさしく教育なのです。私が上司として自信を持って実行していた数少ない業務のひとつでしたので、今回は最後にちょっと良いことを書いてみました。

ま、その店もとっくに潰しちゃいましたけどね、テヘッ！

★いつだってテーマ募集。

必ずしもお答え出来るわけではありませんが、テーマとして取り上げて欲しいことがございましたら、どうぞお気軽にコメント欄に書き込みをお願い致します。

ネタ切れしましたら、当連載は終了でございますゆえ。

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この記事へのコメント（4 件）

元・店長カタギリ: 投稿日：2018/11/29; ざきゃさま。

店舗スタッフと常連客の距離感、かなり難しい問題なんですよね。
ウチの店も「地域密着型」をスローガンにしているために、ホール内での常連さんとスタッフの会話もかなり頻繁に行われているのですが、そういった光景に違和感や不快感を示すお客様もいらっしゃる訳で・・・

こういったケースもパチンコ店らしい問題ですよね。

元・店長カタギリ: 投稿日：2018/11/29; FLEAさま。

来店していたコンパニオンを見ていた同僚がオーナーから「デレデレしてんじゃねぇよ！」と怒鳴られているのを目撃したことがあります。

昔のルールは現在でも一部有効なのだな、そう痛感させられた出来事でしたw

ざきゃ: 投稿日：2018/11/16; 一度池袋の某店にて店長さんのブログに注意喚起をした事がありますね。

常連と仲良くするのはいいけどレバーオンとかしてましたしね…あまり仲良いと変な疑いかかりそうですし。

FLEA: 投稿日：2018/11/16; 恋愛禁止は辛いかもですね‼️いや、私はPV と仕事はしっかりと分別出来る人間ですからアレっすけど(ｹﾞﾌﾝｹﾞﾌﾝ)
やっぱ特殊な就労規則ではありますよね。うち、そんな特殊なやつは無いっす。デレデレしないにはほっこりしました！

元・店長カタギリ: 代表作：しくじり店長

シルバ〇アファミリーみたいに小さなパチンコ店の責任者から一転、雑巾がけがメインの業務となってしまった事務員へとグレードダウン。そんな設定①のスランプグラフのような半生を、隔週水曜日に連載させて頂いております。タイトルは「しくじり店長」。パチ屋の店長が平社員へと降格していく逆サクセスストーリーを、海物語シリーズの泡リーチを見つめるような気分でお読みください。