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若年性パチンコ研究脳
2021.02.05
研究#06:太古のロマン!? 規制待ったなしの出玉性能!? 現代に蘇った伝説の『確変2回ループ機』
近所の店から初代シンフォギアが撤去されて、CR機が徐々に姿を消していくという事実を再認識して寂しいraraです。
CR機が誕生したのは1992年、今から29年前。僕が産まれる前からあった基準が消滅するって考えると、大きな歴史の転換期に立ち会っているのだなぁ、と実感します。
さて、みなさま『総量規制』という言葉はご存知でしょうか。ざっくり言いますと、確変1回から得られる平均出玉(期待値)に対する規制です。
現行内規では、初回大当りを含まず6400個以下というのが決まり。初回出玉の上限が1500個ですので、初当り1回に搭載できる最大の期待値は『1500+6400で7900個』という事になります。最近の台で言うと、牙狼冴島なんかはギリギリを攻めたスペックでした。初回含め出玉1500固定×ST80%継続は本当に凄い。その結果があの速度だった訳ですが……。
さて、この6400個という数字は、幾つかの規制を通したうえで産まれた数字です。遥か昔、29年前のCR機誕生時にはこのような概念はありませんでした。そうなると気になってくるのが、歴代で出玉期待値が一番大きかったスペックは何だったのか?という事です。
★史上最強のスペック!? 『確変2回ループ機』
CR機の歴史上最も出玉期待値が多かったのが、1994年に発売された初代黄門ちゃまに端を発する『確変2回ループタイプ』と言われるジャンルです。(正確な元祖は初代花満開ですが、かなり特殊な台なので今回は割愛)
読んで字の如く、確変を1度引くと2回続けて通常を引くまで終わらないというスペックです。
確変突入・継続率こそ1/3なものの、初回確変時の平均継続回数は4.75回。当時の台は基本的にラウンド振り分けなど搭載しておらず、全ての大当たりが15賞球×10カウント×16ラウンドの2400個払い出しですので、初回確変時の期待出玉は2400×4.75=11400とまさに圧倒的なパワーを誇ります。
そのうえ時短を搭載していた台も存在。有名なのは初代大工の源さんで、平均11400個の確変が終わった後に、時短が100回付いてきてしまうという恐ろしいスペック。まさに一世を風靡しました。
▲初当たり確率1/400で突入率1/3の恐怖。引けば最低7200発。
そんな2回ループ機は絶大な人気を誇り、当初低調であったCR機の導入を凄まじい勢いで促進したと言われています。しかし、行き過ぎた出玉性能は規制されるのが世の常。2回ループ機は3年程で規制が入り、確変は“最大でも次回大当りまで”となり、継続回数の上限は“最大5回まで”となってしまいました。いわゆる5回リミッターですね。
その後、5回リミッターの規制は解除されたものの、未だに確変2回ループは認められていません。
……こう書くと、なんだか違和感を持たれる方もいるかもしれません。そう、『出ているんですよ2回ループ機』が。それも結構な数が。もちろん、平均で万発以上という出玉性能を再現できているわけではありませんが、ゲーム性を再現できているだけでもワンダフル!
最低2回は大当りをもらえる安心感、残り2回で確変を引いたときの嬉しいんだけど、なんか1回無駄にした気がする感、残り1回で確変を引いた時のやってやった感……そのどれもが、2回ループ機特有のものです。出玉性能が再現できていないとしても、独特な仕組みの面白さは残っています。
ということで今回は、現代に蘇った2回ループ機について。
★現代2回ループ機のスタンダード 『一種二種混合残保留タイプ』
▲CR麻雀姫伝:2015年/サンセイR&D
2回ループ機復活の狼煙を上げたのが、2015年にサンセイより販売された『CR麻雀姫伝』です。
約20年振りの2回ループ機復活ということで、大々的に宣伝されていましたが、実は確変搭載機ではありません。変態スペックでお馴染みの一種二種混合機でして、搭載されているのは時短のみです。
その仕組みはいたってシンプル。特図2の保留は1/1で大当たりするというものですが、肝心なのは『時短付き大当りには保留が1つ付いてくる』ということ。時短に突入すれば特図2が2回転出来るため、最低でも2回は当たります。時短付きの大当りを引くたび、保留をチャージできますので、2回連続時短なし大当りを引くまで終わりません。今度出るアイマスにも通じる所があるシステムですね。
この時点でゲーム性としてはかなりの再現度と言えます。当時と違うのは、1/1で大当りする為、通常図柄でのリーチでハズレを祈ったりだとかの一喜一憂が出来ないこと。最初の1回転目で必ず決着が付いてしまいます。
また、時短がループに直結するシステムなのでループ終了後の時短も搭載出来ません。と言っても、2回ループ機全盛期のときも時短が付いている台は、かなり少なかったようなので、その手の台をリメイクしない限り問題は無いとも言えます。
トータルで見るとかなりの再現度を誇り、なおかつシンプルなこのシステムが、現在最もメジャーな2回ループ機の方式で、多くの台で採用されています。
▲P結城友奈は勇者である:2020年/西陣。P真・黄門ちゃま:2020年/平和
現行基準のP機ですと、All1500+継続率33%というスペックから初代再現へのこだわりを感じる『真・黄門ちゃま』や、時短突入=最低2回は大当り、という特性上『遊タイムの恩恵がとんでもないこと』になっている『結城友奈は勇者である』あたりが設置多めで、ホールでも打ちやすいはずです。
そして麻雀姫伝の登場から4年後。より再現度の高い2回ループ機『元祖大工の源さん』が登場します。
★伝説を(出玉性能以外は)完全再現! 「小当りラッシュ機応用V確変式」
▲PA元祖大工の源さん:2019年/三洋物産
2019年に発売されたのが『元祖大工の源さん』。2回ループ終了後に時短を付ける事で伝説となった初代のリメイク機です。
詳しく書くとかなり長くなってしまったため、仕組みの詳細解説は後半のおまけパートにまとめていますが……小当りラッシュ機の応用+V確変機という独自のスペックで2回ループ終了後に時短を搭載しています。
そのうえ、一種二種を採用しないことで確変中の確率も1/1ではないため、確変消化中の演出も元祖を再現する事に成功しています。出玉性能はともかくとして、ゲーム性は完全再現と言ってもいいのではないでしょうか。
麻雀姫伝が発売された時点で、そのシステムを流用した源さんを作る道もあったと思うのです。ですが、敢えてその道に進まず、より再現度の高いスペックを完成させた三洋開発陣の熱意に感服です。
約半年後に出た韋駄天の人気が凄まじすぎて、なんだか影が薄くなってしまった感のある元祖大工の源さんですが、そこには執念と愛が詰まっています。メインスペックは甘デジで打ちやすいですし、是非1度伝説の2回ループを体感してみてください!
★おまけその1~元祖大工の源さんスペック、詳細解説~
ここからは恒例にしようと企んでいるおまけのコーナーです。
完全再現とも言える源さんの仕組みは、文中でも触れたように小当りラッシュ機を応用したV確変機となっています。
源さんは1部の小当りラッシュ機と同じで、右に特図1と特図2、ふたつの始動口があり、状況によって回せる特図が変化する台です。このシステムについての詳しくは、この仕組の元祖であるGANTZについて解説した過去の回を参照していただけますと。
さて、小当りラッシュ機の場合、右打ちで特図を分ける理由は、ラッシュ突入率やラウンド振り分けの違う複数の状態を作るためでした。それを応用した2回ループ機においては確変突入率を変化させるために利用されています。
特図2での大当たりは100%で確変に突入。1度特図2で当てるとずっと確変なVST機を想像してもらえると分かりやすいかなと。
VSTと違うのは、確変がSTでは無く次回まで継続なことと、特図1消化に落とされる可能性があることです。特図1での大当りには通常大当りが存在するため、そこを引くと確変終了となります。 フローチャートにするとこんな感じ。
▲特図2は次回まで続く確変が100%……だけど、67%で特図1送り。
▲シンフォギア2での小当りからV入賞させる参考動画。アタッカーの上で球が滞留してパカパカ!
見ての通り、特図2で消化する限り、大当り後にも必ず確変に滞在します。落ちる時には必ず特図1を経由するため、最低でも2回は大当たりが確約されているということですね。もしこの記事を読んだ後、はじめて源さんを打つ人がいたら、確変中の電チュー挙動に注目してみてください。状況によって全然違う動きをしています。
特図2消化の確変だと全然開かないので、電チュー下の特図2ポケットにどんどん入ります。逆に特図1消化の確変中には電チューが鉄壁ガード。全玉回収の勢いで動いてきます。
さて、このスペックを理解した時、誰もが考えるのが、攻略法です。
通常時は電チューによるガードが働かないため、いくらでも特図2の保留を貯める事が出来ます。そしてもしその保留で当たれば……100%確変に突入します。ならそこだけ打っとけばいいんじゃないかと。
実際、導入当初はこの手段を試す人が多く見受けられ話題にもなっていました。ですが、当然ながら完璧な対策が施されています。
過去に紹介した小当りラッシュ機の攻略対策とほぼ同じ内容で、
★通常時の特図2は1回転当たり10分近くかけて消化
★同時変動する特図1で小当りを引く度、特図2はハズレで強制停止
という鉄壁の二段構え。一応、特図1の保留を貯めなければ特図2消化は出来なくも無いですが……とにかく時間効率が悪いですし、Vに入れて始めて確変に突入するV確変機ですので、当たったタイミングでしっかり消化しなければ確変は消滅してしまいます。取り敢えず全台右打ちしといて放置……みたいのは通用しないという事ですね。
また、特図1の小当りに関してはほぼ毎ゲーム当選していますので、あっという間に特図2保留が消えていきます。絶対に攻略させないという強い意志を感じる。なので、元祖源さんを打つ時には左打ち中でも右のアタッカーを見てみて下さい。毎ゲーム律儀にパカパカやっててカワイイです。癒やし系。(?)
★おまけその2~麻雀姫伝はパンクに注意!~
今回、現代版2回ループ機の元祖として紹介した麻雀姫伝ですが、まだギリギリ設置が残っています。
歴史に残るべき偉大な1台ですし、当たった時の役物の光と音がとにかく凄まじ過ぎるので是非打ってみて頂きたいです……が! 打つ前に注意しなければならない事があります。
一種二種混合機を活用した2回ループ機には、システムの特性上、確実にV入賞させないと大きな損になってしまう、という弱点があります。
麻雀姫伝発売当時の一種二種混合機は、AKBやハルヒを筆頭に、高い役物確率の時短を100回転というような、時短突入でほぼ次回大当りを確約して、保留は無し。というシステムがほとんどでした。このシステムなら、小当り時に玉が入らなくても特に問題はありません。時短100回転以内に成功させればいいだけです。
しかし、残保留を利用した2回ループ機の場合そうはいきません。時短中なら問題ありませんが、時短無し状態での残保留を1回外せば即権利消滅です。今でこそ、一種二種の役物アタッカーは滞留式になり確実に拾うようになっていますが。
小当りでのアタッカー開放時間は1.6秒と定められていますが、上に玉を滞留させるようにしたうえで、0.2秒程度の開放を繰り返せば、実質の開放時間は15秒程になります。余程の悲運が無ければパンクはありえないレベル。
それに対し、まだその手法がメジャーになっていなかった頃の台である麻雀姫伝ではアタッカー開放時間が本当に1.6秒です。
そのうえ、アタッカーが滞留式でもなんでもないため、ほんの2秒玉が飛ばなかっただけでパンクという悲劇が全国的に多発しました。今から打つ際にはお気をつけください。(ちなみに、麻雀姫伝より半年以上前の台であるT.M.Revolutionの時点で滞留アタッカーは採用されていました)
という無意味かもしれない警鐘を鳴らしつつ今回は終了です。またお会いしましょう。
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- rara
- 代表作:若年性パチンコ研究脳
北海道に蠢く24歳のスロパチ好き。珍古店を探して全国を駆け巡ったり、大きいホールに一台だけ置いてあるマイナー台を打って、悦に浸ったりするタイプの人。最近のマイブームはパチスロミルキィホームズ。
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