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若年性パチンコ研究脳
2020.12.11
研究#03-2:まさかの『ドキドキゲート』復活? GANTZ式小当りラッシュの革命。
どうもこんにちは、GANTZの原作を雑に読んでいたら終盤の展開についていけなくなっていたraraです。
さて、今回は小当りラッシュ機についての第2回となります。軽くおさらいしますと、小当りラッシュ機には……
★電サポ中に出玉が増えてはいけない
★小当りの確率変動は出来ない
という2つのルールが存在。その制約の中で幾つか台がリリースされるものの、イマイチ自由度が低く、大人気になった台も出ていない……という状態でした。詳しくは前回の記事をご覧になっていただけますと。
そんな状況が一変したのは、年が明けた2017年の初っ端である1月。今もなお小当りラッシュ機最大のヒットと言える、CRGANTZの登場です。
★圧倒的完成度! 現代小当りラッシュ機の礎となった「CR GANTZ」
2017年最大の話題作だったと言っても良いでしょう。
小当りラッシュ中にハマればハマる程出玉が増えていくという従来のパチンコから逸脱した仕組みが話題を呼び、導入前の前評判は非常に高かったと記憶しています。その盛り上がりを見た僕は、一人で「ハマればハマる程増えるシステムはソルジャーが既にやってたし、その時は全然話題にしてなかったじゃないか……!」と歯噛みしていたのでした。ドットじゃ駄目だってのか。綺麗な液晶が無いとやっぱ流行らないのか、と。
が、詳細スペックを見て驚愕。時短中に増やすことが出来ないという制約を持つ小当りラッシュ機なのに、右打ちに時短が存在しているうえ、小当りラッシュ状態では無い、単なる確変状態まである……!
そう、GANTZは単に話題作というだけではなく、システム的な革命機でもあったのです。それも、後に出る全ての小当りラッシュ機に革命を与える程の!
★歴史的発明! 回収する電チュー
さて、ここからは『GANTZが何故このような仕組みを搭載することが出来たのか』の解説です。
答えは単純明快。アタッカーの手前に始動口、それも電チューを置いたからです。……しかし、今までの小当たりラッシュ機もアタッカーの手前に電チュー、ないしは始動口が置かれていました。GANTZが違うのは、まずアタッカーまでのルートを固定したこと。
▲釘が一切無く、アタッカー(EXTRA)の前に必ず電チュー(START)を経由します。
『START』と書かれている部分に電チューがあり、その奥の『EXTRA』と書かれている部分が小当りで開くアタッカーになります。アタッカーへ向かう玉は必ず電チューの上を通る仕組み。
そして、電チューの形状がスライド式で滞留するタイプになっています(シンフォギア等、最近の一種二種混合機で搭載されている事が多い確実に拾わせる為のアタッカーと同じ構造)ことと、電チュー性能を極端に向上させていることです。
打った事がある方ならお分かりになると思いますが、GANTZの電チュー性能は本当に高いです。それこそ全ての球を呑み込むほどに!
改めてですが、小当りの確率はどんな時でも変えられませんし、アタッカーの開放時間も変わりません。結果、時短中でも小当りにはガンガン当たりますし、アタッカーもイケイケで開いてしまいます。
しかし! 当たり前ですが、どんなに高頻度でアタッカーが解放されていようと、そこに球が入らなきゃ出玉が増えることは無いのです……そう、GANTZの電チュー性能は出玉を増加させない為にあるのです。
と言ってもちょっと分かりにくいと思うので、こちらの動画を御覧ください。
▲パカパカと開放する小当り用アタッカーに注目
こちらの動画が、GANTZにおける時短中・電サポ付き確変中の電チュー挙動になります。STARTと隠れている部分にある電チューにほぼ全ての玉が吸い込まれています。結果、奥に潜むEXTRAと書かれているアタッカーにまったく届いていません。つまり出玉は増えません。空虚にパカパカと開くアタッカーが虚しい。
という事で、GANTZの小当りラッシュで増やせるのは電サポが無いタイミングのみとなっています。こちらがその動画。
遂に出玉増加状態。そこそこ電チューは開いていますが、あくまでも非電サポ状態です。
電チュー性能が低下することで、玉がアタッカーまで辿り着くようになっていますね。遂に出玉増加!
一見、電チューがそこそこに開いているため、電サポ状態にも見えてしまいますよね? ですが、電サポというのはあくまで"解放確率や解放時間の抽選が優遇"されている状態を指しますので問題ありません。あくまでも、この状態は通常時と同じ"非電サポ状態"です。
となると、通常時は増やせてしまうようにも思われるのですが……前回のエウレカ等と一緒で、通常時の特図2変動はめちゃくちゃに変動時間が長いため、そもそもアタッカーが開かず、出玉を増やすことは出来ません。通常時に右打ちして電チューをかいくぐったとしても、開かないアタッカーの上を虚しく滑るのみ。ということで、出玉を増やすことが出来るのは、電サポ無しかつ変動時間が短くなる確変中のみとなります。
と、いざ解説してみるとなんだか単純な発想にも見えてしまいますが……電チューが搭載できるということの影響はとても大きく、様々なメリットがあります。
まず、調整による影響を減らせること。
小当りラッシュ機の始祖であるエウレカは、アタッカー前に配置されている始動口への釘を締めるとそもそも回す事が出来ず、かといって開けるとそこに吸い込まれてアタッカーまで球がたどり着かない……という圧巻のゲージだった事は前回でも触れました。
しかし、GANTZのような電チューとアタッカーの間に釘が存在しない配列にしてしまえば、そこのバランスを調整する必要がなくなります。
次に、特図2での時短が付けられるという点! GANTZまでの小当りラッシュ機3機種を見ると
★初当たり時に100%小当りラッシュ突入、ゆえに期待値を下げざるを得なかった台(エウレカ)
★小当りラッシュ突入率65%だけど時短が無いため、非突入率の絶望感が強かった台(ソルジャー)
★小当りラッシュ突入率50%で時短も付いているけど、特図1での時短なため、引き戻しと初当たりに差をつけられていない台(逆転裁判)
という塩梅でした。
しかしGANTZ式の吸い込む電チューならば、右打ちで特図2を消化しているけど増やせないという状態を作る事が可能です。つまり、特図2の時短を付ける事が出来ます。時短が付いているという事によって与えられる印象の良さはとても大きいです。
当然、時短を付ける事で、スペックの中から突入率だったり、出玉量だったり……他の何かが削られているだけですので、甘くなったというわけではありません。ただ、パチンコのスペックって実際に甘いかどうかよりも、パッと見た時にどんな印象を与えるかが大事だと思ってます。そういう意味で特図2の時短付与は革命的です。
そしてもう一つ、上でも書きましたが、非小当りラッシュ状態の確変を作れるということ。
『確変=小当りラッシュ』だった今までの台と違い、GANTZは確変65%なのにも関わらず、小当りラッシュの突入率は特図1で20%。特図2でも30%しかありません。こうやって突入率を絞る事によるメリットは何か……突入時の期待度を上げる事が出来ることです。
GANTZでは小当りラッシュ突入時に必ず2400発の16Rを経由するうえ、小当りラッシュ1回に規則ギリギリの750発程の期待値を設けています。
例えばですが、GANTZの確変突入率と大当たり出玉はそのままに、全ての確変大当たりで小当りラッシュに突入するような設計だった場合……どんなに高く見繕っても、小当りラッシュの期待値は250発程度になっていたはずです。
トータルの性能が同じだとしても、そのスペックで人気も同じ程出たかというと……無理だと思います。勿論、安定感は高くなりますが、小当りラッシュというそもそも出玉が安定しないゲーム性の台は、ハナから安定感は求められていません。
(余談ですが、小当りラッシュ一回の期待値は大当りによって生まれる出玉に影響を受けます。GANTZは2400発搭載機としてのギリギリを攻めている台のため、小当りラッシュ1回の期待値がもっと高い台も存在しています。)
また、先程も触れた電チュー周りの構造によって増加速度も大幅に改善。まさにラッシュと呼ぶに相応しい性能と言えるでしょう。
そしてこのシステムは通常時の右打ち攻略対策にも一役買っています。大当たり抽選は勿論するのですが、通常時に特図2で当たった16R大当たりには100%次回までの電サポが付きます。
つまり、2400発は得ることが出来てもラッシュには突入出来ない、ということです。
普通のパチンコにおいては、電サポ突入率というのは電サポ滞在中の方が優遇されるものですが……電サポの価値が逆転しているGANTZ式小当りラッシュ機においては、通常時の方が電サポが付きやすいという設計になります。
そして、GANTZの革命は出玉面だけではありませんでした。
通常時から特図1と2が同時変動し、増やさせない為に特図2の変動時間はとても長い。というシステムによって生じていた、”誰も座っていないのに突然当たってしまう問題”。コレを、過去に別の用途で使われていたギミックを利用して克服しているんです。
★まさかの『ドキドキゲート』 過去の技術を別方向で開花!
むかしむかし……という程昔でもありませんが、2012年にDaiichiから、CR天才バカボン4 決断の瞬間というパチンコが発売されました。
バカボン4には、ある画期的な機能が搭載されていまして、その名を「ドキドキゲート」と言います。
図柄が揃った後、一定時間毎に切り替わるゲートのどちらかを任意で狙い、通したゲートによってラウンドの振り分けが変わるというとんでもないシステムです。荒波ルートを選ぶと16ラウンドと4ラウンドが50%ずつで振り分け。安定ルートは10ラウンドで固定。期待値はどちらのルートでも同じですが、遊技者のスタンスが出るとても面白いシステムです。
▲液晶の右横にあるのがドキドキゲート。レレレのおじさんが一定間隔で荒波の赤と安定の緑に振り分けてくれます。
そして、このゲートのもう一つの特徴が”ゲートを通すまで”大当たりが始まらない事。どんなに迷っても問題無いからゆっくり考えて大丈夫ですよ……という優しい機能。ただ、ドキドキゲートはいまいち定着しないまま、滅多に使われないシステムになってしまいました。
ですが、そんなドキドキゲートを転用したのがGANTZなんです! ゲートを1つにしてしまえば、ラウンド振り分け選択の機能は無くなり”ゲートを通すまで大当たりが始まらない”という機能のみが残り……誰も座っていない台が突然当たりだすなどという怪現象は起こらなくなります。まさに枯れた技術の水平思考(©横井軍平)。
▲ゲートに通そうと頑張っている動画。回されていない状態で残っていた特図2保留が当たっていた場合、このような画面上での指示は出ずこっそりと右打ちランプが点灯。
……ただ、このシステムには功罪がありました。
右打ちランプ点灯台のハイエナです。ゲートを通せば当たりという状態になった時点で、右打ちを指示するランプが絶対に点灯してしまいます。その状態の台を右打ちしてゲートに通せば投資1000円で大当たりのスタートです。一時期かなり話題になりましたし、狙っていた人も多いのではないでしょうか? 僕も狙っていましたが、1回も拾ったことありません。
ノーリスクで得をする遊技者が出てしまう……つまり、ユーザー間で格差が出るこのシステムには賛否両論があります。ただ、突然当たるという怪現象が起こるリスクを考えると、最もユーザーと店舗双方に配慮出来ている形式なのではないかと思っています。事実、GANTZ後に出た小当りラッシュ機の殆どがこのシステムを採用していますし。
……と、仕組みだけでもコレほど語る内容があるのがGANTZです。
そのうえ、演出の出来も素晴らしい物でした。16R大量出玉の後、間髪入れずに大当たりが続いているかのような演出でラッシュへ突入し、大名曲「人間ビデオ」をバックに、小当りで増えた出玉を小気味よく『+10! +10! 』と告知しまくり。こんなもん楽しいに決まってます。完成度がずば抜けている。これはもう小当りラッシュの時代が来る! 確変継続率規制がある中での希望になる!!
そう言われていた2017年の1月から3年が経過した今、小当りラッシュ機がどのような扱いを受けているかはホールを見ての通りです。
確変継続率規制が撤廃され、小当りラッシュ機というジャンルそのものへの求心力が低くなってしまったのが要因なのだとは思いますが……最大の原因はGANTZの完成度が高すぎたからなのではないかと思うのです。ストレートな魅せ方1/319小当りラッシュ機でGANTZを超える事は並大抵ではありません……いや、今に至るまで出ていないと言っても良いでしょう。
ストレートでない、より複雑化した特殊な小当りラッシュ機は、その後もいくつか出ていたのは事実です。なんだかんだ言ってもホールの主役はミドル帯の分かりやすいスペック。奇を衒った特殊スペックはコアな人気こそ出ても、メインストリームにはなり難いものです。新ジャンルを一気に広めた時代の旗手が、新ジャンルの隆盛を逆に阻んでいたというのは、何とも皮肉じゃあないですか……
……ですが! 僕が着目していきたいのはメインストリームになり難い特殊スペックの方!
GANTZ以降イマイチパッとしないぐらいに世間で扱われている小当りラッシュ機ですが、愉快な発想から産まれた特殊極まりない革命機がまだいくつもあります。桃剣斬鬼、ぷよぷよ、そしてPリーグ……と、なんだか名前を挙げる程マイナージャンルと化していく様を実感してしまいますが、それらの集大成的存在が年明けに大都技研より発売されるPリゼロなんです。以下次回!
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- rara
- 代表作:若年性パチンコ研究脳
北海道に蠢く24歳のスロパチ好き。珍古店を探して全国を駆け巡ったり、大きいホールに一台だけ置いてあるマイナー台を打って、悦に浸ったりするタイプの人。最近のマイブームはパチスロミルキィホームズ。
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